☆感謝☆一年間のプロジェクトを終了しました
ようやく暖かな春の陽ざしを受け、さくら満開の美しい季節を迎えましたが、みなさまに於かれましても健やかにお過ごしのことと存じます。
この度、『子どもたちが笑わない町。ルワンダ最貧困地域に生活の基盤を!』のプロジェクト支援にご賛同頂きましたみなさまへ、一年の支援期間が終了しましたことをご報告するため、3月20日より29日までルワンダを再訪しギチュンビ市にも二日間滞在、その間で一人一人への聞き込み調査を行いました。一年間でこのコミュニティーにどのような変化があったのかを以下にお伝えいたします。
<プロジェクト内容>
期間:2018年4月~2019年3月 1年間
対象:ルワンダ共和国 北部県 ギチュンビ市 ビュンバ、ミヨベ(村)にある歴史的に虐げられた人たちのコミュニティー 25家族114名(2018年12月現在)及び、緊急食料支援に於いては、そのコミュニティー内にあるECD&Fセンター(早期幼児施設)に通う子どもたちを含む。また、職業訓練についても、近隣住民を数名含む。
支援内容:
ECD&Fセンターに於いて緊急食料支援(10時のおかゆと12時の給食を支給)
年少34名、年中44名、年長41名、就学前の乳幼児、計4クラス119名でスタートしました。給食が支給されていることを人伝いに聞き、周辺の家からセンターへ来る子どもの数が増えてきたため、最終的には、計154名へおかゆと給食を支給していることとなっていました。
この現状を受け、2018年の年末辺りからセンター長のマルタより、給食の一人当たりの量が減って来ているため、食糧費を上げてほしいとの要求が始まったのですが、行政から牛乳の支援が始まったことや、子どもたちの栄養状態が著しく悪い様子もなかったため、すぐには支給額を上げずに様子を見ながら3月まできていました。
これは、結果的に安易に支給額を上げずに良かったと私は感じています。職業訓練や意識改革の働きかけにより、後に職業訓練の部分でも触れますが、住民の意識は大きく変わり家庭での食事も以前よりきちんと摂るような傾向が見受けられました。それにより、子どもたちが再び極度に飢えることはなく、元気になっていっている様子が報告されています。
ECD&Fセンター及び、そこに通えない場所での訪問ベースセンターへ絵本の寄贈
4月より準備を始め、揃ってから2018年6月27日に英語の絵本を13冊、現地語であるキニヤルワンダ語の絵本を35冊、各クラスに配布できるよう寄贈しました。
2018年12月には、訪問ベース13か所あり、地域の担当者3名と共に大江さんが全部を訪問し、正確な数を把握して公平になるよう考慮して英語の絵本を計91冊、キニヤルワンダ語の絵本を計29冊配布しました。
まだまだ十分な冊数とは言えませんが、各教室の担任、また訪問ベースのソーシャルワーカーから聞き取り調査を行ったところ、絵本を読み聞かせしたり、絵本からストーリーを自分で話したり、また絵本から知識を得たり、と有効に使用されている様子が伺えました。また、どのクラスからも共通して聞こえてきたのは、親も絵本を買える状況ではないため、喜ばれているとの声でした。
先生から子どもたちの変化を伺うと、“クラスに落ち着きが見られるようになった”、“子どもたちの興味が広がった”また、年長さんのクラスでは、“ストーリーの道徳的な教えから、子どもたちがそれを学んでいく姿も見られた”との声を聞きました。子どもたちの吸収力は本当にスポンジのようなものなんだと感じました。学ぶことへの刺激やアクセスが少ないミヨベのような地域では、例えそれぞれの子どもたちが触れられる絵本の種類が少ない冊数だったとしてもその効果は大きく表れるのだと感じました。私も、最後の数回の訪問で子どもたちが真剣なまなざしで絵本を開いている姿を目の当たりにして、本当に嬉しかったことを思い出します。
職業訓練指導及びそれに伴う材料・道具の寄贈
このコミュニティーは、最貧困地域ということがあり、緊急的に食糧支援を行う必要があるとの理事長マリー・ルイズの判断により、ECD&Fセンターでのおかゆと給食の支援を2017年7月から行っていますが、それを継続することが、このプロジェクトの支援金から可能になりました。
また、食糧支援を始めたときから、おかゆと給食の調理をコミュニティーの保護者から募り、ローテーションを組んで週ごとに交代して働く機会としています。想像がつかないかもしれませんが、人々は、人としての生活を送る日常以前の状況でした。国の施策でECD&Fセンターが2015年に完成しましたが、そこに集まる歴史的に虐げられた人たちのコミュニティーからくる子どもたちは特に、着ている洋服が汚れているため匂いがすることもあり、周囲からも集まってくる子どもたちの親に嫌がられるということも当初はあったようでした。このような中で、緊急的に食料支援を行うことは必要ですが、それと同時に取り組まなければならない課題があると考え、ネクストゴールによってこのコミュニティーの人々の意識改革ワークショップと職業技術訓練を行うに至りました。緊急的な支援は、ずっと続けられるものではありません。いつか、時間がかかっても自発的に自立していくのでなければ永遠に支援をし続けなければならなくなり、それは可能かどうか分かりません。職業訓練は、優先順位としては後かもしれないし、すぐに結果が出てくるものではありませんが、長く細く継続していくべきものだと考えています。
人の意識を変える、ということは簡単なことではなく、正直、大きな国際支援機関が手を付けないであろう(なぜなら、変化の期待値が低く、数値化して結果をはかることが難しいため。)コミュニティーで結果がでるのは期待したいけれど難しいと予想していました。字を読むことや書くことができない、学校に行ったこともあまりない人たちのグループに於いて、技術支援を始めたからと言って、収入に繋げるのは簡単なことではないからです。やっても意味がないという意見もありました。でも、私自身は、数値に現れる結果が全てではない、と思っていました。インタビューで一人一人に話を聞いて、それを確信しました。
職業訓練は、色々考慮したうえで三種類準備しました。刺繍、洋裁、石鹸・ワセリン作りです。受講者は、最終的に刺繍が10名中9名が残り、洋裁26名中最後まで25名が残り、石鹸・ワセリン作りは19名が訓練を受けました。
一つ目のA:刺繍のグループは、2018年6月から1ヵ月に1週間の集中訓練を9ターン2019年3月まで続けました。最後の練習の週を私の来訪に合わせて3月最終週に調整してくれた、とのことで私が訪問した時には同じ場所に集まって練習をしていました。6月にスタートしたころから、とても意気込みを感じる参加者の様子でしたが、それは変わることなく、最初から最後まで真剣にただ黙々と布に向かっていました。刺繍の内容は、動物や花を数種類、デザインは指導者の先生方が考えてこられたものをいかに丁寧に忠実に刺繍していくかを幾度も繰り返してきました。
刺繍に関しては、2時間近く離れた場所にある協同組合から先生が交代で来てくれていました。その組合にも訪問して話を聞いてみました。
良かった点について、”自分たちにとっても普段働く場所で誰かを受け入れて教えることはあったが、別の地域に行って定期的に教えることは初めてだったので、新しいレベルに達せた気持がしてとても良い経験になった。”難しかった点については、”月に1週間しか教えられなかったことが彼らの習得の上での一番の難点であった。覚えたことが次の月には忘れてしまってなかなか次の課題に進められなかった。がしかし、刺繍の技術に関することだけではなく、日常生活に関すること、衛生面だと一緒に活動する中で話をすることで彼らの行動も少しずつだが分かってきた。習得速度についての質問には、”基本的には半年の期間で毎日トレーニングしてやっと基本的な技術を習得するところを間3週間が自主練習という扱いだったため速度の加速はできず、ゆっくり教えていくことが必要であった。”今後の展望については、”生徒からも継続してトレーニングが出来たらという声があったのもあり今後また教えることができるのであれば、継続的に教えられる日程でできたら良い。”とのコメントを頂き、この訓練が、双方にとって良い機会となったことが分かって帰ってきました。
二つ目、B:洋裁の参加者は、人数が多いのに対して指導者の先生が一人だったので2つのグループに分けて先生には、月2週間来ていただき、受講者は各グループ月に1週間の訓練を同じく9ターン続けました。ミシンは3台しか調達できなかったのですが、それでも全員が洋服を作れるようになっていました。挑戦した課題は、半ズボン、シャツ、ズボン、スカート、ワンピース。全部ができるようになった人は26人中15人で、60%の人が全部の課題を終了、と言った感覚です。
先生の方針で、まずは自分の着るものを自分で作る、ということから訓練は始まりました。皆で自分の制服を作れるように練習をし、それを着て訓練を行うことでみんなの意識が高まります。こうしたことから少しずつ自信を養って、受講者を鼓舞して下さいました。この指導に当たってくださった、Claudineという先生は、以前にも同じ背景を持った別のコミュニティーを指導した経験があるため、的確なアドバイスと考え方や生活指導を意識改革のワークショップなどを担当しているスタッフと共に取り組んでくださいました。
三つ目のC:石鹸・ワセリン作りは、先生の確保が難しかったこと、材料費がかさむことや他の訓練より1回あたりの予算が大きかったこともあり、最終的に1週間の集中ワークショップを受講することになりました。
この訓練の参加者も興味を持って真剣に取り組み、1週間通して遅刻や欠席はしないし、他の人で習得が遅い人に自分が習ったことからアドバイスするくらい積極的に習得していた人もいました。しかし、残念ながら一週間の集中講座1回のみの開催に終わってしまったので、他の大ぜいや、習得速度が遅い人には特に、復習の機会が足りなかったという印象でした。
全ての訓練で受講者に一人一人インタビューを行い、共通して言われたことは、もっとやりたい、続けたい、またこの訓練を行ってほしい、という声でした。それと同時に、仕事をして収入を得て生活をする、ということを知ったこと。またそれに関心を持つようになったことが大きな一歩であると感じました。
受講者全員が、すごく変わったわけではなく、中には数名、この機会があっても受け取る人の意欲によって意味の大きさは小さなものになってしまう人もいるのだと感じた方もいました。でも、それよりも8割9割の人が発言したことは、この訓練を受けることによって生活や家族、自分の考え方がとても変わった、という声でした。技術を習得できたという実感を持っているかという質問に自信を持って答えた方は約半数ほどでしたが、それは自分たちの技術習得にはもっともっと鍛錬が必要だという先への意欲でもあります。
その変化のなかで、コメントをご紹介します。A:刺繍のグループより。“家族の中に会話が増えた。共通の話題をするようになった”“今まで、洗濯をしたり身体を洗ったりすることは考えなかったが、お互いに刺激が生まれ生活は大きく変わった”“上手になったらマーケットで売りたい(46歳女性)””初めは無理だと思っていた。針と糸を使えるようになってきた。この地域に刺繍を出来る人は少ないので、それを売って収入に繋げたい(23歳男性)”“食べるものがなく、ずっと寝ていたのですが、そうじゃなくなりました”“働いて時々入る収入で、家族を養っている”(23歳女性)“自分が訓練に来て、学んでいることによって、子どもがちゃんと朝起きて自発的に準備をして出ていくようになった(45歳女性)”“家族の中で、お掃除をしたり、洗濯をしてから外に出てくるようになった。以前は、人前に出てくるのがおっくうだった。今はみんなで交われるようになった(38歳女性)”“お嫁さんにも将来教えられるようになりたいです(20歳男性)”。
B::洋裁のグループより。“奥さんと喧嘩は辞めた。奥さんを手伝い、お掃除もするようになった(38歳男性)”“根気強く学ぶことを覚えた”“収入を得るには、時間がかかるのだということも分かった(36歳男性)”“自分で生地を持ち、裁断してそれから作るということは、人生の大きな変化です(35歳女性)”“考え方が変わってきた。前は収入があると飲みに行っていた。今は、お金が入ったら子どもたちに食べさせたり着せたりするようになった。得た技術を子どもたちに託し、子どもには物乞いをさせたくない(41歳男性)”“訓練の中で、礼儀作法も習うので生活のなかで自分の態度が変わっていった。皆と一緒に働くことの大切さを学んだ。協同組合を作り、もっとスキルアップできると思う(23歳女性)”“市場に行って技術を売りだす。まだ問題はあるけれど頑張ります。諦めない(38歳女性)”“収入につながるには長いが、でも道は繋がっているはず(45歳女性)”“子どもの服が破れたら修理をするようになった。子どもたちも喜んでいる。自分も清潔にするようになり、家族のことをもっと思うようになり、養わないといけないという思いから、お酒を飲むのを減らして家族にお金を入れたりするようになった。将来は、ミシンを手に入れたら、組合と協力して縫うものが出来て売れるようになると思う。(27歳男性)”“畑に行こうと、どこに行こうと清潔をよく考えている。学校にも子どもたちを綺麗にしてから送っている。もう汚くて学校を追い返されるようなことはない。(前はあった)この考え方は、地域に浸透している。赤十字の働きかけもあったが、NPOが特に力になったと思う。意識改革によってすごく変わったし、清潔クラブまで作ったのでお互いに刺激し合っている。⦅※清潔クラブでは、家を掃除してからくること、野菜を作る小さな畑を作ることなどを行っている。⦆先生が、清潔を保つことがいかに大切かということを何度も教えてくれた(41歳女性)”。”前は何もしなかったのだが、今はダラダラしていると嫌な感じがする。先生にしどうしてもらって、家族みんなで力を合せて頑張るようになった。昔は本当に今の自分からすると情けない。知識を得て、仲間と一緒に話をしながら縫物が出来るようになった自分が、すごく好き。(19歳女性)”
C:石鹸・ワセリン作りより、“子どもたちがちゃんと学校に行っていること。自分たちは畑で働いて、飢えはしていない(35歳男性)”“前は、ワセリンを買うことしかしてなかったが、自分で作れるようになって、良かった。ワセリンを作り、石鹸を作ってそれを売って食事が買えるようになるのが、目標(21歳男性)”。”自分の中で働く意欲が湧いてきた。技術を使って、色んなものを知って家族を養えるようにしたい。(47歳男性)“前は自分の周りを清潔にするとか、畑を耕すことをしなかったけれど、積極的にするようになりました。(24歳男性)“”自分の生活を責任を持ってやらないといけないという気持ちが生まれた。(48歳女性)”
抜粋にはなりますが、このような声から、多くの人が、通常の日常生活に気力を持つ第一歩になったことを実感しました。水が十分に無いということは物理的に大きな理由ではあるものの、それよりも、生きるということへの意欲や気力また、意識の持ち方が人の行動を変え、前を向いて生きられるんだということに感動を覚えました。また、コミュニティー全体的に自信が生まれ、みんなで協力してなんとか物乞いをするのでない生き方を進んでいこう、という意気込みが感じられました。多くの方から出てきた家族の変化で、家庭が円満になった、とか喧嘩が減った、という意見が出てきました。飢えに苦しみすることが無い日々には荒んでいた人間関係にも好影響を与えたのだと感じました。これらのコメントから感じられると思いますが、辛い日々を忘れようとお酒を飲んでいましたが、今はちゃんと僅かでも貯蓄をして家族を養ったり子どもを学校に通わせることを大事だと思ったりできるようになったことも以前には難しいことだったので、これも改善してきました。
そんな小さな変化、と思うかもしれませんが、これらは、大きな前進だと捉えています。また、インタビューを受けること、1人で話を聞かれて答えるということが初めての人が多い中、緊張していたであろう状況でこれらの発言を聞くことができ、多くの人から将来への希望の言葉が含まれていたことにも注目したいと思います。
関わっている人たちの気づきとして、1人1人が本当に笑顔になったこと、また、綺麗になったこと。これも一年を通しての大きな変化だと思います。こちらの挨拶として、抱き合ってハグをしながら挨拶を交わすのが習慣ですが、この瞬間の匂いが劇的に減ったのは、衛生に気を付けて生活していることの証です。見た目も心の持ち方にも光が見えてきたことは、本当にみなさまの応援とご支援の賜物です。
バラバラの洋服を着ていた子どもたちも洋裁を学んだグループが作った制服に揃えて身を包んでいます。↓
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このお母さんも穏やかな笑顔になっていました。
プロジェクトサイト表紙のダビデ君も素敵な笑顔になりました!
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ここに至るまで、私は何度も皆さまからのコメントを読み返し、みんなと一緒に進んでいるんだという実感を思い出して進んで参りました。
お一人お一人の、気持ちのこもったご支援のお陰で、また実施にあたっての資金を皆さまが助けて頂いたから見られるようになったひとりひとりの笑顔と、前に進みたいという気持ちを持つことができての第一歩。
本当にありがとうございました。団体スタッフ・関係者一同、心より、感謝申し上げます。
よく寄せられるご心配の声に、今後の継続支援はどうなるのですか、というご質問があります。NPOルワンダの教育を考える会の方針としては、ミヨベのこのコミュニティーへの支援を可能な限り続けていくべく、他団体への予算申請も行いながら、また技術訓練も強く要望があるため再開を望みながら、皆さまが蒔いて頂いた種を育てていける活動を目指し取り組んでまいります。今後もどうぞ応援よろしくお願いいたします。
収支報告:
- 緊急食料支援(おかゆ・給食)費:617,795円
- 絵本寄贈費:(英語及びキニヤルワンダ語、計264冊)184,620円
- 職業訓練費:(刺繍/洋裁/石鹸・ワセリン作り、における講師雇用費、材料費、交通費、講師宿泊施設費、等諸々) 7109,904円
- 意識改革ワークショップ指導者雇用費:258,942円
- Readyfor手数料・税金: 364,284円
- リターン費用:14,767円
- 両替時の手数料、及び年間を通しての為替差額等雑費:34,688円
計 2195,000円
以上