ドキュメンタリーで福島に生きる人達と「津波の記憶」を伝えたい

ドキュメンタリーで福島に生きる人達と「津波の記憶」を伝えたい

支援総額

2,360,000

目標金額 1,200,000円

支援者
152人
募集終了日
2015年12月8日

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2016年07月28日 22:41

【福島をみつめる活動日記2】5年4ヶ月ぶりの“帰郷”/後編

【福島をみつめる活動日記2/福島滞在2016.7.10.〜7.12.

《5年4ヶ月ぶりの“帰郷”/後編》

 

〜復旧復興のために、費やされた5年〜

 福島第一原発の事故により「避難指示」が続いた原発20km圏内では、これまで何が行われてきたのでしょうか。私は、震災直後から立ち入りが制限されていた南相馬市の20km圏内(小高区と原町区の一部)を中心に、年を追うごとの状況の変化を、映像で記録してきました。
“復旧復興”を目指すとして、国は住民不在の地域の中でも、様々な事業を進めてきました。瓦礫の分別や家屋の解体、道路の整備や開通、そして除染などです。もちろん、震災からの復興のためには必要なものばかりです。

 

   

(写真:2011年 バリケード設置、2012年「警戒区域」の解除 / 南相馬市)

   

   (写真:2013年 瓦礫の分別開始、荒廃したビニールハウス / 南相馬市)

   

(写真:2014年 本格的な除染開始、保育園の校庭の除染廃棄物 / 南相馬市)

 

しかし、必ずしも住民の方々の希望通りとはいえない部分もありました。

その状況を見ながら、そして迎えた7月12日を、住民の方自身はどのように想い、過ごしたのでしょうか。

 

〜待ちわびた5年、長すぎた5年〜

 2016年7月12日。南相馬市の20km圏内に出されていた「避難指示」が解除された当日の朝。私は南相馬市北部の鹿島区にある、仮設住宅にいました。知り合いの80代の男性が、引越しの荷造りに追われていました。

避難指示解除の当日、妻と娘の家族3人で、20km圏内の小高区にある自宅に戻ることを決めたといいます。

 

   

   (写真:引越しの荷造りの様子/2016年7月12日撮影)

 

軽トラックに荷物を積み込んで、走らせる道。これまで避難指示が続く中、何度も自宅へと往復したこの道も、きっとこの日は、特別な気持ちで車を走らせていたことでしょう。

そして、同行した20km圏内の自宅の庭先にあったのが、この石像でした。

 

 (写真:カエルの石像 南相馬市小高区にて/2016年7月12日撮影)

 

台の上には、カエル。そして、「無事帰る」の文字。

引越しの3日前に男性が建立し、神主を呼んで神事まで行ったといいます。

台座の側面には、「東京電力福島第一原子力発電所爆発事故により、避難生活5年」と記されています。

 

ようやく戻った我が家の居間で、男性は、自分の座椅子が置かれた定位置に腰を下ろし、語ってくれました。

「この像を見ていると、この5年が蘇るんです。だけども、悔んでるだけでは仕方がない。それも自分の運命だと。でも、これからは平穏に暮らします。」

そんな想いを込めました。「自宅に戻る」という、ささやかな“夢”。5年4ヶ月越しの悲願が叶ったのです。

 

 (写真:避難指示解除後の小高駅前商店街/2016年7月12日撮影)

 

 またこの日は、旧避難指示区域内で震災以来不通となっていた列車の運行が、ようやく再開されました。エリアの中心部に位置する常磐線の小高駅は、開通を祝って記念乗車する人や取材の報道陣で溢れていました。

 

   

 (写真:小高駅の駅舎、ホームに入る電車/2016年7月12日撮影)

 

 しかし、ひとたび山間部に目を向けてみると、そこには相変わらず、ひと気のない風景が広がっていました。南相馬市では、沿岸部や町の中心部より、西側の山間部が、より放射線量が高い傾向があります。

 南相馬市内で最も線量の高いエリアの、ある集落に足を運びました。ここには震災の翌年から、私自身も度々訪れては、避難中の住民の方の話を聞き、変わりゆく様子を記録してきた場所です。空間線量は0.44μSv/h(マイクロ・シーベルト毎時)。4年前の5分の1程に下がっています。それでも、周辺には除染作業員が細々と作業をする姿を除き、住民の姿は見えません。

 

  (写真:南相馬市の集落 空間線量0.44μSv/h/2016年7月撮影)

 

「私は、もう自宅には戻らないかなー。」

この集落に暮らしていた70代の男性の言葉です。いまから1年ほど前のこと、初めて、そんな気持ちを口に出されました。その方の息子さん一家は、震災後すぐに町を出ていました。その方のご両親は、避難先の慣れない環境の中で体調を崩し、震災の翌年に相次いで亡くなっていました。

7月12日、その方のご自宅の周りに設置された「除染作業中」ののぼり旗が目に入りました。作業員の姿はなく、これから除染を行うため準備中のようでした。

 

   

    (写真:スモモの実、ニホンザルの群れ/2016年7月撮影)

 

 静まり返った集落を歩いていると、たわわに実ったスモモの果樹園が広がっていました。木々からは甘い香りが漂います。そして、熟して次々と地面に落ちる果実の、「ボタ。ボタ。」というだけ音が、あちこちから響いてきます。

そして集落を後にしようと、車で走り始めてすぐのことでした。草むらでうごめく、“何か”が目に入りました。車を降りてみると、それは道路を我が物顔で横切る、数十匹のニホン猿の群れでした。

 

 同じ “避難指示が解除された” 地域とは言っても、ここまで実情に違いがあるということです。国の発表が報道される時、実際の状況は決してひとくくりには出来ないという事を、改めて多くの方に知っていただきたいと思っています。 

 

リターン

3,000


【最新の取材情報お届けコース】

【最新の取材情報お届けコース】

・お礼メール
・最新の福島取材と制作状況の情報提供

支援者
62人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2016年1月

10,000


【上映会へご招待コース】

【上映会へご招待コース】

3000円の引換券に加え
・上映会へのペア招待状
・「福島の津波」を伝えるメッセージカード

支援者
50人
在庫数
12
発送完了予定月
2016年1月

30,000


【DVDお届けコース】

【DVDお届けコース】

10,000円の引換券に加え
・エンドロールへの名前掲載
・完成したドキュメンタリーDVD
・福島の復興支援団体「福興浜団」タオル

支援者
19人
在庫数
-5
発送完了予定月
2016年5月

30,000


【菜種油お届けコース】

【菜種油お届けコース】

1万円の引換券に加え
・エンドロールの名前掲載
・完成したドキュメンタリーDVD
・福島県南相馬の菜の花畑生まれ、菜種油『油菜ちゃん』270g

支援者
17人
在庫数
2
発送完了予定月
2016年5月

30,000


【11月27日 追加コース!】

【11月27日 追加コース!】

1万円の引換券に加え
・エンドロールの名前掲載
・完成したドキュメンタリーDVD
・福島県南相馬の菜の花畑生まれ、マヨネーズ『油菜ちゃんマヨ』170g入り、1個

支援者
1人
在庫数
19
発送完了予定月
2016年5月

100,000


【あなたの街で上映会コース】

【あなたの街で上映会コース】

30,000円の引換券に加え
・完成したドキュメンタリーの上映会開催権
・福島の復興支援団体「福興浜団」Tシャツ

支援者
4人
在庫数
1
発送完了予定月
2016年5月

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