【第12弾】開場100周年、大阪松竹座の歴史を紐解く資料を未来へ。

支援総額

2,687,000

目標金額 2,500,000円

支援者
196人
募集終了日
2023年10月25日

    https://readyfor.jp/projects/ootanitoshokan12?sns_share_token=
    専用URLを使うと、あなたのシェアによってこのプロジェクトに何人訪れているかを確認できます
  • Facebook
  • X
  • LINE
  • note
2023年10月11日 12:31

『松竹座ニュース』ご紹介その4 表紙絵を描いた人たち(その1):山田伸吉と川村秀治

お早うございます。松竹大谷図書館の武藤祥子です。

 

現在126名の方から156万5千円のご支援をいただき、達成率が62%、目標額まであと94万円となりました。プロジェクトの募集終了まであと14日!より一層のご協力・応援を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

今回は、「松竹座ニュース」の表紙絵についてご紹介します。

 

プロジェクト概要でも触れましたが、大阪松竹座で無料配布されていたプログラム「松竹座ニュース」は、その表紙絵もまた魅力のひとつでした。週毎の発行という頻度にもかかわらず、毎号デザインが変わり、数多の絵が表紙を飾って劇場を訪れた観客を楽しませていました。特に、大正末期より昭和6年頃までの「松竹座ニュース」は、当時のモダニズムを色濃く反映しており、さながら絵画を観賞するかのようです。

 

表紙絵を描いた人の名前は記されていませんが、なかにはサインが施されているものもあります。今回は「松竹座ニュース」の表紙絵を描いた、山田伸吉と川村秀治の2人をご紹介します。

 

 

当館が所蔵する「松竹座ニュース」の表紙絵を描いた人物でもっともその数が多いのは、山田伸吉です。その表紙絵のデザインや画風も実にバリエーション豊かです。

昭和3(1928)年発行の『松竹座ニュース』。全て山田伸吉画

 

image.png
「松竹座ニュース」9・8号(昭和2(1927)年7月15日)
右下に「伸吉画」のサイン

 

 

image.png
「松竹座ニュース」8・23号(昭和2(1927)年5月27日)
左下に「SHIN-」のサイン

 

image.png

「松竹座ニュース(SY)」No.43(昭和9年(1934)年3月20日)
左下に「SHIN-」のサイン

 

山田伸吉は松竹座宣伝部に所属し、松竹座のポスターや「松竹座ニュース」の表紙絵を描きました。また、松竹楽劇部で舞台装置・舞台意匠を担当し、「春のおどり」をはじめとした多くの舞台に携わり、「松竹座ニュース」やプログラムにその名がよく見られます。また楽劇部だけでなく、海外の舞踊団や古川ロッパの公演なども手がけました。

 

image.png
「レヴュウを生む人々」より「東西松竹の打合せ」
左)山田伸吉(舞台装置・大阪松竹楽劇部) 右)青山圭男(振付・松竹少女歌劇)
【映画と演芸臨時増刊「レヴュウ号」特集
(朝日新聞社、昭和8(1933)年5月20日発行)】

 

「松竹座ニュース」には、山田伸吉が表紙絵と舞台の装置・意匠をそれぞれ手がけたことがわかる号があります。

image.png
「松竹座ニュース」VII・V( 7・5)号(大正15(1926)年9月2日)

 

右下に縦書で「”青い鳥”妖女の御殿舞台之図・山田伸吉画」と印字されています。『青い鳥』は、現在でもお馴染みのメーテルリンク原作の童話劇で、松竹楽劇部が総出演しました。この作品は四週連続で上演され、その全てに山田伸吉は大森正男とともに舞台意匠で参加しています。この表紙絵の舞台図「妖女の御殿」は2幕目にあたり、第1週に上演されました。

 

 image.png image.png image.png

「松竹座ニュース」VII・V( 7・5)号(大正15(1926)年9月2日)『青い鳥』あらすじと配役・スタッフ一覧

 

このように舞台美術家として活躍した山田伸吉ですが、一方で本の装幀や雑誌の挿絵なども手がけています。以下の写真の資料はいずれも、当館で閲覧できる山田伸吉の関連資料です。

 

image.png
左上より『劇場歳時記』(戸板康二著、昭和45(1970)年読売新聞社)
『新・おんながた考』(長谷川幸延著、昭和45(1970)年読売新聞社)
『大阪芸人かたぎ』(長谷川幸延著、昭和52(1977)年読売新聞社)
左下より『木戸哀楽 新派九十年の歩み』(柳永二郎著、昭和52(1977)年読売新聞社)
『道頓堀物語 小説 上方芸人譜』(三田純市著、昭和53(1978)年光風書店)

 

image.png
昭和53 (1978)年に雑誌『演劇界』で「回顧 劇場スケッチ」のタイトルで1年間連載。
中座や歌舞伎座、角座、東京劇場などのスケッチを描いた。
手前に昭和53 (1978)1月号、2月号、奥に3月号-12月号

 

 

そしてもうひとつのサインの人物、川村秀治(川村芳久)をご紹介します。戦前は松竹歌劇の舞台装置を手がけ、戦後は映画の美術監督として30作以上の作品に携りました。

 

image.png
「松竹座ニュース」VIII・XVII(8・17)号(昭和2(1927)年4月27日)
右下に「秀治」のサイン

 

image.png
      「松竹座ニュース」9:11号(昭和2(1927)年9月8日)
左下に「歌舞伎子役楽屋之図 秀治画」のサイン

 

この2冊にはどちらも漢字で「秀治」のサインがあります。「懐かしの復刻版 プログラム映画史 大正から戦中まで」(昭和53(1978)年、日本放送出版協会)で、元浅草電気館支配人の山野雅章が、昭和5(1930)年に松竹座図案部に入社した当時の話として「大阪の山田伸二先生のところで修業した川村芳久(秀治)先生がわたしの師でもあり、職場の上司でした」と述べています。文中の「山田伸二」は「山田伸吉」のことと思われ、川村秀治と山田伸吉の関わりが推測できます。
また、「キネマ旬報別冊 日本映画人大鑑」(昭和34(1959)年キネマ旬報社)には映画の美術監督として「川村芳久」の名があり、別名として「川村秀治」の名も記されています。また、「昭和3(1928)年に松竹本社嘱託となり昭和6(1931)年に松竹少女歌劇「先生様はお人好し」を担当、以来舞台装置に専心」とあり、戦後の昭和25(1950)年に松竹京都撮影所に転じて美術監督となったことが書かれています。

 

当館の所蔵資料で調べてみますと、東京松竹楽劇部(後の松竹歌劇団(SKD))発行の雑誌「楽劇」昭和7(1932)年4月号には、「一つの経験 自分の至らなさのべんかい」と題した川村秀治のエッセイが掲載されています。浅草松竹座がレビュー劇場になったときに支配人から勧められて舞台装置を始めたこと、初めての舞台「先生様はお人好し」や二回目の「海」のことや舞台装置の仕事を始めたばかりの苦心や反省などについて、2ページにわたり語っています。

image.png image.png

雑誌「楽劇」昭和7(1932)4月号

 

image.png image.png

浅草松竹座「SHOCHIKU REVIEW NEWSNo.2(昭和6(1931)615)。楽劇「海」のスタッフ一覧に「意匠」として川村秀治の名前がある

 

image.png  image.png

また、映画の資料としては、いずれも川村秀治が美術を担当した映画のプレスシート(部分)のスタッフ欄に名前があります。左は昭和26(1951)年2月24日公開の『嵐の姉妹』(佐々木康監督)で「川村秀治」とありますが、映画の美術監督としては「川村芳久」の名での活動がほとんどで、右の同年8月10日公開の『夏祭り三度笠』(丸根賛太郎監督)では「川村芳久」となっています。

 

他に、当館が所蔵する資料では、昭和20年代の新橋演舞場プログラムに川村秀治の名前があり、表紙絵を手がけていたことが分かります。

image.png image.png

新橋演舞場プログラム 「表紙 川村秀治」と名前が印刷されている

上左より: 昭和23(1948)5月「第一回文藝公演」プログラム、「新橋演舞場ニュース筋書No.2

下左より:昭和23(1948)8月「納涼八月歌舞伎」プログラム、「新橋演舞場ニュース筋書No.5

 

また川村秀治も図書の装幀や雑誌の挿絵も手がけており、山田伸吉と同様に活動は多岐にわたっていたようです。このように、「松竹座ニュース」の表紙絵を手掛けたふたりの芸術家の軌跡はとても興味深いものがあります。

 

次回は、「松竹座ニュース」で名前が判明していないサインの表紙絵を、画像でご紹介します。

リターン

3,000+システム利用料


alt

活動報告+サンクスメール+HPにお名前掲載

■サンクスメール
■松竹大谷図書館HPへのお名前掲載(ご希望の方のみ)
■報告書(2024年4月末に送信予定)

支援者
28人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2024年4月

5,000+システム利用料


松竹大谷図書館開館65周年記念オリジナル文庫本カバー

松竹大谷図書館開館65周年記念オリジナル文庫本カバー

3,000円のリターンコース内容に加え、
■オリジナル文庫本カバー 松竹大谷図書館開館65周年記念ロゴのデザイン2枚1組

支援者
49人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2024年4月

10,000+システム利用料


オリジナル文庫本カバー+台本カバーにお名入れ

オリジナル文庫本カバー+台本カバーにお名入れ

5,000円のリターンコース内容に加え、
■台本カバーに支援者様のお名前をお入れします
【歌舞伎・新派台本】【映画台本】【寅さん台本】の3つの作品リストより、ご希望の1作品の「台本番号」と「タイトル」を応援コメントかメッセージでお知らせください。

※作品リストはプロジェクト本文「リターンについて」の台本カバーの説明部分にリンクがございます。
※今すぐ決まらない方は、プロジェクト達成後にもご希望をお伺いいたします。

支援者
67人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2024年4月

10,000+システム利用料


alt

【1万円 全力応援コース】

こちらのコースは、いただくご支援のほとんどをプロジェクトの実行費として使わせていただきます。

■サンクスメール
■松竹大谷図書館HPへのお名前掲載(ご希望の方のみ)
■報告書(2024年4月末に送信予定)

支援者
23人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2024年4月

30,000+システム利用料


オリジナル文庫本カバー+台本カバーにお名入れ+オリジナルクリアしおり

オリジナル文庫本カバー+台本カバーにお名入れ+オリジナルクリアしおり

10,000円のリターンコース内容に加え、
■オリジナル組上燈籠絵クリアしおり
組上燈籠絵「歌舞伎座新狂言侠客春雨傘中之町場組上ケ三枚續」の登場人物と「組上燈籠付属絵」の引幕をデザインに使用したオリジナルクリアしおり
※ デザインは全て同じです。

支援者
12人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2024年4月

50,000+システム利用料


松竹大谷図書館見学会(歌舞伎記録映像上映付き)+オリジナル文庫本カバー+台本カバーにお名入れ+オリジナルクリアしおり

松竹大谷図書館見学会(歌舞伎記録映像上映付き)+オリジナル文庫本カバー+台本カバーにお名入れ+オリジナルクリアしおり

30,000円のリターンに加え、
■松竹大谷図書館見学会にご招待
【2023年11月30日(木)開催 午前(15人)/午後(15人)】
「午前」か「午後」のご希望をお選び下さい(ご希望は先着順)

※11月30日に見学会に参加出来ない方には予約制で、松竹大谷図書館の書庫を1時間ご案内するガイドツアーへの招待券をお送りします
有効期限:2023年12月~2024年7月の平日
(開館日及び整理休館中)
※台本カバーの作品のご希望について、今すぐ決まらない方は、プロジェクト達成後にもご希望をお伺いいたします。

支援者
9人
在庫数
20
発送完了予定月
2024年4月

50,000+システム利用料


alt

【5万円 全力応援コース】

こちらのコースは、いただくご支援のほとんどをプロジェクトの実行費として使わせていただきます。

■サンクスメール
■松竹大谷図書館HPへのお名前掲載(ご希望の方のみ)
■報告書(2024年4月末に送信予定)

支援者
10人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2024年4月

記事をシェアして応援する

    https://readyfor.jp/projects/ootanitoshokan12/announcements/290476?sns_share_token=
    専用URLを使うと、あなたのシェアによってこのプロジェクトに何人訪れているかを確認できます
  • Facebook
  • X
  • LINE
  • note

あなたにおすすめのプロジェクト

注目のプロジェクト

もっと見る

新着のプロジェクト

もっと見る