【第6弾】歌舞伎や映画、銀幕が伝えた記憶を宝箱で守る。

お早うございます。松竹大谷図書館の武藤祥子です。

本年は、日本を代表する名匠、小津安二郎監督の生誕115周年にあたります。今年の5月8日～19日に開催された第71回カンヌ国際映画祭では、クラシック部門にて『東京物語』の4Kデジタル修復版のワールドプレミア上映が行われ、普遍的な小津作品の魅力を改めて世界に伝えました。

そして、この『東京物語』を含む小津監督の名作7作品が、「小津４K　巨匠が見つめた７つの家族」と題して、４Ｋデジタル修復版で新宿ピカデリー(6/16～6/22)、角川シネマ新宿(6/22～7/7)にて上映されます。

上映作品は、『晩春』(1949年)、『麥秋』(1951年)、『お茶漬の味』(1952年)、『東京物語』(1953年)、『早春』(1956年)、『東京暮色』(1957年)、『浮草』(1959年)の7作品です。なかでも、『東京物語』『東京暮色』『お茶漬の味』『早春』は、今回の上映が、4Kデジタル修復版での日本初上映となります。この機会に、美しく蘇った珠玉の名作をスクリーンでご覧になってみませんか？

上映作品のうち、『浮草』(大映製作)以外の松竹6作品について、当館では台本やスチール写真、そしてプレスシートやスクラップなどの資料を所蔵しており、これまで『麥秋』、『お茶漬の味』、『東京物語』のスクラップブックについて新着情報などでご紹介いたしました。

これまでの紹介記事はこちらです

■『麥秋』→プロジェクト概要、新着情報2017年09月06日「第６弾プロジェクト始動のご挨拶＆お知らせ」

■『お茶漬の味』→新着情報2017年10月22日「木下惠介・黒澤明・小津安二郎作品の映画スクラップ紹介」

■『東京物語』→2017年09月19日「お礼の文庫本カバーのご紹介『助六由縁江戸桜』『東京物語』」

そして、今回は『晩春』のスクラップブックをご紹介します。

1949年に公開された『晩春』は、小津安二郎監督の戦後第3作目で、原節子の記念すべき第1作目の小津作品出演作です。左のページには、当時の新聞広告の切り抜きが貼られており、右のページには批評記事とグラビアが貼られています。グラビアには、「松竹の小津安二郎が原節子と初顔合せの作品」との文が添えられており、他のページにも初顔合わせについて書かれた記事が載っています。この作品で、原節子は「紀子」という名の女性を演じますが、後に続く『麥秋』、『東京物語』でも、同一人物ではないものの、同じ名がついた女性を演じており、この3作品はいわゆる「紀子三部作」と呼ばれています。

「小津４K　巨匠が見つめた７つの家族」で上映される作品では、『早春』(1956年)、『東京暮色』(1957年)もスクラップを所蔵していますので、映画をご覧になってご興味を持たれた方は、是非当館にもお立ち寄りくださいませ。

生誕115年記念企画「小津４K　巨匠が見つめた７つの家族」

2018年6/16～6/22新宿ピカデリー、6/22～7/7角川シネマ新宿にて

HP: http://cinemakadokawa.jp/ozu4k-115/