お早うございます。松竹大谷図書館の武藤です。

 

さて、紙資料修復工房さんに送って頂きました、【音貞アルバム】の処置の過程に撮影された写真と作業の進捗状況のご報告について、11月28日の新着情報に続いて第4弾をお知らせいたします。

 

前回までのレポートはこちら

その1 その2 その3

 

主な作業の流れは【解体】【ドライクリーニング】【スポットテスト】【脱酸性化処置】【補修】の順で行われ、今回は補修作業のうち「補填(ほてん)」作業についてのご報告を送っていただきました!「補填」とは、紙資料の破損や欠損してしまった部分に、和紙の繊維を補って修復する技術です。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

台紙と同色に染められた和紙を台紙の欠損部分に重ねていく補填作業

 

補填(ほてん)は、極薄い典具帖紙(てんぐじょうし)をアクリル絵の具で資料同色に染色し、裂け目には前回のご報告同様に細かく仕立てた補填用紙で、欠損部分は写真のように、欠損部分同型にメスでくり抜いて、象嵌(ぞうがん)をするように紙を積層させ補填を進めます。

補填前
補填後
補填前
補填後
補填前
補填後
補填前
補填後
折れ、裂け 修復前
折れ、裂け 修復後
シールが貼られた部分が裂けた状態
シールを除去して裂けを修復した状態
ごく薄い典具帖紙で蝶番のように台紙に留められた状態
表も見られるようにしてある

 

赤い枠のインデックスシールで台紙に留められていた資料は、裏側で同じ様に典具帖紙で蝶番のように仕立て、表裏が見られるようにしました。

 

補修の糊はすべて可逆性のある生麩糊(しょうふのり)を使用しています。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

今回のプロジェクトを計画した当初、松竹大谷図書館のスタッフと紙資料修復工房のスタッフとで、この貴重なアルバムを、どのような方針で補修をすべきかを話し合いました。その結果、費用を最小限に抑えながら、出来る限り原本の状態を損なわないような方向性で、処置をして頂く事を決めました。そして、今回は外した台紙の再製本は行いませんが、将来、冊子に戻す際に、今回の処置が支障をきたすことが無いよう、十分な配慮の下に処置を進めて頂きました。

 

そんな中でも、大きな裂けや欠損など、このままの状態だとより破損が進んでしまいそうな、気になる部分もあり、そういう場合は何度もメールと写真でご相談をして、その都度方針を決めて、補修を進めて頂きました。

 

「世界へ翔んだ、川上音二郎・貞奴の軌跡」の記録が残された、世界で唯一のこの貴重なアルバムを、未来へ引き継ぐため、処置前と処置後の写真の間には、気が遠くなるほど細かく、そして地道な処置が施されているのです。

新着情報一覧へ