5-7月の展示「松竹家庭劇 -朝ドラのモデルとなった喜劇団-」

お早うございます。松竹大谷図書館の武藤です。

 

当館は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2021年4/27(火)より臨時休館しておりましたが、本日5/12(水)より開館いたしました。そして、本日より新しい閲覧室ミニ展示も始まりました。5-7月は、「松竹家庭劇 -朝ドラのモデルとなった喜劇団-」です！

いよいよ放映最終週を迎えているNHK朝の連続テレビ小説「おちょやん」ですが、このドラマのヒロイン千代は、昭和期の名優、浪花千栄子の半生をモデルとしています。映画やTVドラマ、CMでの活躍が印象的な浪花千栄子は、朝ドラで「鶴亀家庭劇」として描かれている喜劇団「松竹家庭劇」に所属し、戦前は主に舞台女優として活躍していました。今回の展示は、この松竹家庭劇の戦前の資料を展示します。

 

松竹家庭劇は、昭和3[1928]年9月大阪角座にて、曾我廼家十吾、二代目渋谷天外（当時渋谷一雄）を中心に結成された上方の喜劇団です。十吾は茂林寺文福、二代目天外は舘直志の筆名でそれぞれ脚本を執筆し、観客を爆笑の渦に巻き込み、そして時にはほろりとさせる人情喜劇を生み出しました。松竹家庭劇は、昭和13年から定期的に東京公演を行うようになり、東西で人気劇団となっていきます。

特に、当館では昭和10年代の東京劇場公演の舞台写真を所蔵しており、現在も上演される人気演目『人生双六』や『先づ健康』、本年7月南座で上演予定の『愛の小荷物』の当時の舞台写真など、計11枚を展示します。曾我廼家十吾、二代目渋谷天外、浪花千栄子、そして新派出身の小織桂一郎や初代石河薫など、個性あふれる俳優たちのいきいきとした舞台姿が写っています。

 

下の写真は当時の東西の劇場のプログラムの一部です。昭和11年から昭和18年まで並べてみました。

 

上の2段はすべて東京劇場(16冊)、最下段は関西の劇場で、左より南座(3冊)、中座(3冊)、大阪歌舞伎座(1冊)、神戸松竹劇場(2冊)です。「松竹家庭劇」の字のデザインがほぼ統一されているのがわかります。また、表紙の絵柄も、お婆さん役で人気を呼んでいた曾我廼家十吾の写真やイラスト、喜劇を思わせるユニークなイラスト、また、戦時中であったことが伝わる表紙など、さまざまです。今回は、上から5点を選んで展示しています。

 

そして、戦後の昭和21[1946]年6月に、二代目渋谷天外、初代石河薫、浪花千栄子が松竹家庭劇を脱退し、劇団すいと・ほーむを結成しますが、昭和23[1948]年11月、十吾率いる松竹家庭劇、曾我廼家五郎没後の曾我廼家一派と合流、松竹新喜劇が誕生し、12月に大阪中座にて松竹新喜劇新結成初公演が行われることとなります。

 

また、浪花千栄子の著作である『水のように』(昭和40[1965]年六芸書房発行)も展示します。

その生い立ちや芸、日常について自ら語ったエッセイで、松竹家庭劇時代、そして二代目渋谷天外との約20年間の結婚生活についても触れています。巻頭には、10歳の姿の写真から始まる24ページの豊富なグラビアが収録されており、装丁も自身によるものです、朝ドラを見ていた方には特に興味深い資料なのではないでしょうか。

 

なお、緊急事態宣言のため、当館は席数の制限、時間の短縮を継続し、開館しております。展示の観覧に関しましても、前日までの予約制のためご不便をおかけしております。今後も、新着情報やFacebookで展示に関する関連資料をご紹介いたしますので、ぜひご覧ください。

 

展示期間：2021年 5/12(火)～7/28(水)
展示場所：松竹大谷図書館　閲覧室
※現在、入館は前日までの予約制となっております。展示をご覧になる場合も、ご予約の上ご来館下さい。
※開館日につきましては、状況の変化にともない変更の可能性があります。随時当館のホームページをご確認下さい。また、お電話でもご案内いたしますのでお問い合わせ下さい。
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