まると私（1）「受傷」

2017年１月。元日から天気のよい日が続き、その日も天気がよく自転車日和でした。

趣味のロードバイクで、20キロ先の馴染みのカフェに、アップルパイを食べに行こうと娘と2人で出かけました。いつもの走り慣れた道、私が先頭で下りのカーブのきついところに差しかかりました。道路きわに砂利があり、後ろに手信号で知らせようと思いました。ところが、スピードが出過ぎていてハンドルから手を離せず、手信号はあきらめました。そこで、私の記憶は途切れています。

娘の話では、カーブを曲がったところに、落車し倒れた私がいたそうです。娘は看護学生でした。冷静に脈をとり、気道を確保して救急車を待ちました。ドクターヘリでの搬送になるということで、ヘリポートまで救急車に同乗しヘリを見送った、とあとで聞きました。私が運ばれた先は千葉大学病院でした。

私は頸椎を損傷して、首から下の感覚がなくなりました。昨日まで普通に動かしていた手足を、どう動かしていたか分からなくなりました。しびれと痛みで身体じゅうが熱く、油の煮えたぎった中にいるみたい。まったく動かない手足はコンクリートに固められたようでした。人が触れても感じないのです。熱さや冷たさも感じなくなりました。

毎日リハビリを必死にがんばれば歩けるようになる、自転車にまた乗れるようになると本気で思っていました。しかし、ベッドに寝た状態から少し上半身を起こすと、血圧が下がり気を失いそうになる、そんな状態です。歩くどころではありませんでした。

見舞い客や家族、親にも自転車のせいだと思われたくなくて、なんでもない顔をして極力笑って必死で耐えていました。とうとう熱が出ました。

２月の後半、リハビリをしっかりやっているところだと聞いて、次の病院を千葉リハビリテーションセンター（以下、千葉リハ）に決めました。