
支援総額
目標金額 4,000,000円
- 支援者
- 252人
- 募集終了日
- 2023年11月30日
命交わす洞穴に、漂う湯気とたゆたうアマモ。
本プロジェクトをご支援いただき、ありがとうございます!
さて、原隊長の手記をお伝えします。広島県三原市にある伝統ある岩風呂の跡地を訪れたときの記録です。
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船折瀬戸、鼻繰瀬戸を抜けて向かったのは忠海(ただのうみ:広島県三原市)。床浦神社の前に上陸しました。海に向かって開けた鳥居は山と海の神様の出入り口のような佇まいです。

さて、これまでの海旅の中でも日生漁協のアマモの話に触れた通り、水質を浄化する性質を持つ海藻のアマモは、瀬戸内の海洋環境においても重要な役割を果たしていました。また、その役割は海中の中だけに留まっていませんでした。
昭和の時代、海の中にある藻刈りは夏の風物詩とも言われていました。山々を走る川から海へ流れる間に溜まる養分は、アマモが吸着していました。そのアマモを人が田畑の肥料として利用することで養分を陸に戻す。その栄養は再び海へ戻り、またアマモが吸着する、ずっと繰り返すことが出来る生き方がありました。前回にも述べた映画「裸の島」でも、アマモ刈りの様子が描かれています。
冷たい雨予報の後の大荒れが予測されていた最中、平成27年まで営業を続けていた石風呂、岩乃屋さんの桟敷にテントを張らせていただくことに。テントの向こうの荒天をしのぐ一助になり、大変感謝しています。

この岩乃屋さんの石風呂は、昨今のサウナブームで使われる簡易サウナではない日本列島で数百年続いてきた本物の石風呂でした。忠海の石風呂の歴史は1819年(文政2年)まで遡り、1950年(昭和25年)に岩乃屋さんが開業、1979年(昭和54年)から稲村喬司さんが2代目として、平成27年に至るまで岩乃屋を経営されていました。お医者さんから「狭心症、長くて40歳まで」と言われていた女性も、91歳になっても通い続けたという話があるほど、常連さんから愛されていました。


広さ10畳ほどの空間は営業している間、尋常でない熱気と湿気に包まれていました。石風呂に欠かせないものは岩窟を暖める熱源のための薪、そして床(むしろの下)に敷き詰めるためのアマモです。貴重な伝統文化の面影を知るべく、稲村さんにお話を伺いました。
高度成長期以前には、まだ農家が海にアマモ刈りをしていた時代がありました。その頃は農家から仕入れていたそうですが、化学肥料の台頭で農家がアマモが必要としなくなりました。それからは自身で海に出てアマモ刈りをしてこられたそうです。


稲村さんは自身の実践から、忠海から竹原周辺のアマモ生育の状況を緻密に語られました。かつては本土寄りのアマモを刈っていたそうですが、徐々に収量も少なく、生育が悪くなったため最終的には島しょ部のアマモ場へと移動されたようです。
その原因としては「分からないが、感覚としては工業廃水、ゴルフ場や農場からの除草剤などの影響もあるのではないか」とおっしゃっていました。考えられる要素はいくらでもあります、
海のアマモを敷き詰め 薪を焚きあげて洞穴をかんかんに温めて サウナにし 温まったら
海に飛び込んで 海水を浴び それを繰り返すのが 伝統的岩風呂です。お客さんは 目の前の海で タコを掴んで 上がってきてみんなで焼いて食べたり 一日中 楽しんでいたそう。山のシバをかり 炊き上げ アマモを集め息つく間もなく 動き続けた お父さんお母さんも 7年前に 岩風呂を閉められました。海からはアマモが消え 山のシバも 手に入らなくなったのです。
海で起こっていることは 山で起こっていることだとお父さんは 言います。山で起きている何か も 私たちは探らなくてはなりません。--隊士 塚本真理さんの手記--
石風呂で使われたアマモも畑に還り、またその養分が海に注ぎ海草を育てる。そういった循環が少しずつ壊れていく過程を稲村さんは見てこられたのでしょう。
また、私達がキャンプしている目の前にはウサギの島として有名な大久野島(おおくのじま:広島県竹原市)があります。今でこそ名前が広まりましたが、昭和初期には有名どころかその存在が日本地図から消された島でした。日清戦争後、忠海に芸予要塞司令部が設けられ、来島海峡から大久野島までが要塞秘匿を目的とした検閲を受けていた経緯もありますが、1929年(昭和4年)に旧陸軍の毒ガス製造工場が設置されていた歴史も強く影響しています。
戦後稲村さんは、島で燃やされる毒ガスが入ったドラム缶の煙を見続けていたそうです。海洋投棄も多くされたと仰っていました。そして、戦時中に兵器を製造する大久野島へ監視兵を送迎する船を隠すために掘られた洞穴を、岩乃屋さんは石風呂として使うようになりました。この海域にも、忘れてはならない記憶があります。
ここ忠海から三原にかけては、地元で有機農業を営んでいる友人、岡田和樹君に案内してもらいました。ご家族での温かいおもてなし、この場を借りて改めて感謝申し上げます。
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リターン
5,000円+システム利用料

クルーメンバーコース
●お礼のメール
●瀬戸内カヤック横断隊クルーメルマガの配信(希望制)
2023年末まで行われる瀬戸内カヤック横断隊の旅のメルマガを配信します。週一回の配信でリアルな海旅の様子をお届けします。
●瀬戸内の残したい風景ポストカードセット
●プロジェクトクルーカード
今回のプロジェクトにご賛同いただいた証として、クルーカードを作成してお渡しします。
- 申込数
- 21
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2024年3月
10,000円+システム利用料

書籍コース
●書籍(2025年発行予定)
※瀬戸内の過去と未来を形にし、皆様のもとへお届けします。
●書籍にお名前掲載(希望制)
●お礼のメール
●瀬戸内カヤック横断隊クルーメルマガの配信(希望制)
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●公式HPにお名前を掲載(希望制)
●瀬戸内の残したい風景ポストカードセット
●プロジェクトクルーカード
今回のプロジェクトにご賛同いただいた証として、クルーカードを作成してお渡しします。
- 申込数
- 94
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2025年12月
5,000円+システム利用料

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●プロジェクトクルーカード
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- 21
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- 発送完了予定月
- 2024年3月
10,000円+システム利用料

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