レーベンがやってきたこと　子犬が育たないブリーダー

　犬は一度に何匹かの子どもを産みます。日本スピッツのブリーダー崩壊で、たった1匹だけ保護された子犬。他の子は？栄養がとれずに亡くなったり、他の犬に傷つけられて亡くなったり、とにかく兄弟でこの子だけが生き残ったのです。その当時で2ヶ月半。生まれた時期は覚えている飼い主さんにも、母や父の犬はわからないようでした。

　ブリーダーなので、犬を繁殖させたいため避妊去勢手術は行いません。この頭数になってしまえば、やろうとしても費用も膨大でしょう。ホルモン分泌もそのままなら、争いごとやストレスはたくさんかかります。食事や水の取り合い、狭い室内でのぶつかり合い、掃除を1人でできるはずもありません。

 

　この状況で言うべきことではないのかもしれませんが、飼い主さんを今責めて何になるのか、何がどうなれば解決なのか、受け入れられる着地点を大至急探さなくてはなりません。犬はもちろん、この近所に暮らしている住民のためにも。

 

　スピッツって、白いと思うのです。

 

　手放す事を受け入れた犬が室外に運び出されます。この子は外の景色を見たことがあるんだろうか。

 

　とても一つの団体だけでは受け入れられない数です。連携する団体が複数で対応しました。

 

　汚れが少ないかと風呂場で洗った子の湯船のお湯は、何度も取り替えないとなりませんでした。

 

　ノミダニや皮膚病のひどい子はその対応も必要です。染みついた汚れの為に、ほとんどの子が毛刈りをすることになりました。1日10時間くらいトリミングをした日もありました。

 

　今度は栄養状態も改善して、綺麗な毛が生えてくると思うから。

 

　この子は当初、立って水を飲む体力がありませんでした。

 

　十分なお世話や環境が整えば、穏やかな可愛い子達です。ある意味集団生活の経験もあるので、他の犬ともやっていけます。

 

　初めに保護した生き残った奇跡の子犬は、ラキと名付けられました。

 

　先輩達には、とりあえず全面的服従の仰向きです。頭の良い子。

 

　当時、他団体からお預かりしていた老犬を介護していました。踏まないでくださーい！柴のばあばは、この子を見てどう思うのかしら。

 

　のんびりした椅子の上でうたた寝する子も。こんなこともなかったのでしょう。

 

　猫の家にお邪魔して、パンチされる子も。

 

　体力がついてきたら、順に避妊去勢手術を受けました。これは、オスの精巣がドッグショーに出すために形が悪かったらしく、異物を体内に埋め込まれていたことがわかったもの。獣医さんも、同じ医者がやったことだとしたら許せない、と声を震わせておられました。医者ではない人が埋めたとしたら、それはそれで大問題です。

 

　全国のスピッツと暮らす方々からも、心配や応援の声が寄せられ、みなさまに後押しされる形で一歩ずつ解決に向けて動き出しました。ショーでここのブリーダーから連れてこられた犬を見たことのある方は、ずいぶん汚れた犬を連れてきたものだと驚かれたそうです。

 

　健康を取り戻し、里親さまが見つかる子も増えていきました。その中で、ボランティアがびっくりするようなことがわかりました。