「膵臓がんで亡くなる患者さんを減らしたい」終了報告
2021年7月1日-9月30日に実施したクラウドファンディング「早期発見と個別治療最適化で、膵臓がんで亡くなる患者さんを減らしたい」にご支援いただき誠にありがとうございました。本クラウドファンディングでは①膵臓がんを早期に見つけ、診断するための研究、②患者さんそれぞれに最適な治療法を提案するための研究、のための研究資金として、当初1500万円を目標にスタートし、募集期間内に当初目標を達成したためセカンドゴールとして2000万円の目標を設定し、皆様方の厚いご支援により最終日にセカンドゴールを達成することができました。大変ありがとうございました。研究は支援いただいた当初からすでに開始しており、①のために、早期の膵臓がんの分子生物学的特徴を明らかにするため早期ステージの膵臓がん検体205例の遺伝子解析を、また②について、術前化学療法の効果に関連する分子異常を明らかにするため術前化学療法を実施した膵臓がん検体の遺伝子解析を実施しました。支援いただいた資金は遺伝子解析のための次世代型シーケンサー解析費用、研究試薬、事務経費にすでに全額使用いたしました。現在、詳細なデータ解析および関連する実験を行なっているところですが、①については多数例の早期膵臓がんの遺伝子解析により、これまでよく知られていなかった遺伝子異常およびがん発生進展機構が明らかになりつつあります。また、②については、まず、術前化学療法が膵臓がんに与える病理学特徴を明らかにすることができ、昨年京都市で開かれた国際膵臓学会で報告するとともに、米国の学術雑誌であるModern Pathology誌に “GATA6 and CK5 stratify the survival of patients with pancreatic cancer undergoing neoadjuvant chemotherapy.” (Mod Pathol 36(5)100102, 2023)に発表いたしました。この病理学的解析データを元に、遺伝子異常のデータを解析しており、術前化学療法の効果に関連する遺伝子異常を明らかにしつつあります。いずれも近い将来に具体的データを学術誌に発表する予定でおり、さらにこれらデータから、早期の膵臓がんの診断に有効な分子指標、および、個々の膵臓がん患者さんにあった効果的な治療に関連する分子指標(バイオマーカー)の開発を進めています。皆様方にいただいたご支援により、私の目標である、膵臓がんで亡くなる患者さんを減らす、そして、無くすことの実現に向けて一歩一歩進んで行くことができております。これらかも皆様方のご期待に沿えるよう真摯に努力していきますので今後とも応援いただければ誠に幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
東北大学大学院医学系研究科病態病理学分野
古川 徹
2022年7月7-9日に京都市で開催された国際膵臓学会での発表
皆さまからご支援いただいた資金は、下記のとおり使用したことをご報告いたします。
・次世代シーケンス解析 11,826,815円
・研究試薬 2,846,610円
・事務経費 67,000円
・東北大学手数料 2,005,500円
・READYFOR手数料 3,309,075円
合計 20,055,000円