
支援総額
目標金額 3,000,000円
- 支援者
- 1,400人
- 募集終了日
- 2023年1月10日
記念塔訴訟 一審判決の解説 ②
記念塔訴訟 一審判決の解説 ②
■理論破綻した被告主張
さて諸処落ち着いてきたところで北海道百年記念塔訴訟の解説シリーズを再開します。前回までは主に被告・北海道の主張を紹介してきました。被告は、北海道百年記念塔の解体は、行訴法の要件である「処分性」がなく、さらに原告には「原告適格」がない。すなわち二重に原告適格がないと主張しました。
被告は昭和39年の最高裁判決をもちだして「処分」とは、公権力の行使によって直接国民・住民の権利・義務に具体的な影響を与えるものであるとしています。記念塔を解体によって原告一人一人の具体的な権利・義務は侵害しないので「処分」に当たらないといいます。
ここで疑問です。「一人一人の具体的な権利・義務は侵害しないので『処分』に当たらない」という「処分性」と、次の論点である「訴えの利益」は独立の概念でしょうか? 「訴えの利益を有する者」も「法律上保 護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者」なのです。つまり二つは重なります。
そこで原告弁護士は、「『原告適格』は『処分性』及び『法律上の利益』の両要件の存在が認 められれば、ほぼ論理必然的にその存在が認められるから、訴訟要件としての独立性は乏しいと言わざるを得ない」と主張しました。すなわち「処分性」と「訴えの利益」を分ける意味は無いと言ったのです。
これに対して、被告は被告第1準備書面で「『処分』の存在は『法律上の利益』の判断の前提問題である(先決関係にある)から」独立の概念だと同じ主張を繰り返しましたが、素人が見ても苦しい反論です。そこで原告は第3準備書面において、次のように述べて被告の主張を一蹴しました。
「処分」は「法律上の利益」が「相互に関連を有するという前提をとるならば、どちらが先決などということはありえない」とした上でこう切って捨てました。「いずれにしても、被告北海道の主張は、行訴法に反する主張であるだけでなく、論理的に破綻している」
■拡張される「訴えの利益」
記念塔訴訟によく似た事例に歴史的建造物の解体差止を求めた大阪中央郵便局訴訟があります。
大阪中央郵便局訴訟は昭和14年に建てられたモダニズム建築の庁舎が老朽化を理由に建て替えとなったことに対して、平成24年2月、建築家などが解体差止めと国の重文指定を求めて大阪地裁に提訴したものです。これに対して被告である国側は、北海道百年記念塔訴訟と同様に原告には訴えの資格がないというものでした。
大阪地裁は「山田明裁判長は「文化財保護法などには研究者の研究上の利益などを保護する趣旨はなく、研究者らに指定を求める資格がない」として原告の訴えを退けました。
http://atamatote.blog119.fc2.com/blog-entry-726.html
行訴法37条4の「差止めの訴え」は、「法律上の利益を有する者に限り提起することができる」としています。ここでいう「法律上の利益を有する者」とは、判例により「処分により自己の権利若しくは法律上保 護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう」とされています。
被告は、百年記念塔が解体されることで「個別の道民の生命、身体、財産等の侵害について、道民にその受忍を義務づけるものともいえない」ので「訴えの利益はない」と主張。つまり、塔が解体されることで、例えば原告の売り上げが下がるとか、具体的な不利益が無いので、原告の訴えは不適法というのです。
これに対して原告は、「被告北海道が主張する「処分」及び「法律上の利益」に関する上記解釈は、古色蒼然たる解釈である」と切って捨てました。どういうことでしょうか?
被告が論拠とする「訴えの利益」は、昭和39年の最高裁に依拠しています。現在から60年も昔の判例で、当然のことこの後社会は大きく変わり、法の解釈も変遷しています。われら原告は、この新しい法解釈に立脚して道の主張に対して反論しました。
平成10年代には様々な分野で改革が進められましたが、司法でも裁判員裁判が導入されるなど改革が進められました。これは「事前規制型社会から事後裁定型社会へ」への転換を求めた米国の圧力を受けたもので、行政訴訟法では平成16年に大改正が行われ、司法の行政に対するチェック機能の強化されました
原告第2準備書面は「司法改革そのものが、司法の行政に対するチェック機能の強化を図る必要を認め、司法全体の民主化を強く指向している。(行訴法も)国民の司法参加の観点から解釈運用されていかなければならない」と主張するとともに、近年の判例の変遷を挙げていきます。
最高裁の判例は、第三者の訴訟要件についても、もんじゅ訴訟判決(最判平4 ・ 9 ) 、開発許可取消訴訟判決(最判平9 ・1) 、総合設計許可取消訴訟判決(最判平14·1) 、小田急高架訴訟判決(最判平17 ・12) と、徐々にではありますが、時代とともに拡張されていきました。こうした中で画期的な判決が下されます。
■景観に法的利益を認めた「国立マンション訴訟」
行政訴訟の関門となっていた「訴えの利益」は、平成10年代の「司法の民主化」を経て徐々に門戸を広げていきます。そして平成21年10月、広島地裁で「鞘の浦訴訟判決」があるのですが、その前段として平成18年JR国立駅南口沿線住民が景観が害されるとしてマンション建設の差止めを求めた「国立マンション訴訟」がありました。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=32819
この「国立マンション訴訟」で最高裁は、「景観の恵沢を享受する利益(景観利益)は、法律上保護に値するものと解するのが相当である」との判断を示しました。これまで法律上の利益は逸失利益など金銭で計れるだけしたが、「景観」も「法律上の利益」が認められたのです。さらに周辺住民にも原告適格を認めました。
■行政訴訟の差止めを認めた「鞆の浦訴訟」
「国立マンション訴訟」は、民法上の争いでしたが、平成21年、この「景観利益」が行政法にも及びます。広島県福山市の鞆の浦は、江戸時代から続く風光明媚な漁港ですが、昭和58年に県はここを埋め立ててバイパス計画しました。景観が失われるとして反対派住民は平成19年に県に差止めを求めたのです。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=82937
具体的には埋め立て工事のための免許を差し止める行政訴訟です。平成20年10月一審の広島地裁は鞆の浦が「美しい景観としての 価値にとどまらず、全体として、歴史的、文化的価値をも有するものと言える」と明言した上で、国立マンション訴訟を引用して広く周辺住民に訴えの利益を認めました。
このように「鞆の浦訴訟」は、行政訴訟における差止めを命じた初の判決になりました。結果的に行政は控訴を断念し、この広島地裁の判決が確定し、鞆の浦の景観は守られたのです。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG15H87_V10C16A2CC0000/
こうしたなか、北海道百年記念塔訴訟では、記念塔が「美しい景観としての 価値にとどまらず、全体として、歴史的、文化的価値をも有するものと言える」と立証するため、塔を校歌や校章に用いた例を証拠として提出するなどの立証を行い、塔が存在する北海道に住む人々の豊かな歴史的、文化的、教育的及び 精神的な価値を構成していることは明らかである」と主張しました。
リターン
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