「ふくい祇園まつり振興会」が設立されたのは、説明文にもありますように3年前です。資金も人手もなく、手探りで始めた当時の苦労を知っている人達は、平成7年から始まった「福井祇園祭」と平成28年から開催された新生「ふくい祇園まつり」は全く別物なので、今までの開催回数をカウントするべきではないとの意見も多かったです。

 

しかし、多くの反対を押し切って私が以前の「福井祇園祭」の開催回数にこだわっているのは、先輩達が江戸時代にあった「福井祇園祭」というものを古い文献から発掘し、長年開催してこられた事に敬意を表しているからです。確かに旧執行部との確執で一度は開催が危ぶまれたのは事実ですが、一時の感情に流されているようでは伝統文化など到底守れないと思うからです。

 

また、今回キュレーターとの打合せで「ふくい祇園まつりに革新を!」との題名を提案されましたが、私は「革新」ではなく「進化」だと一蹴しました。「革新」というのは今までの古いものを捨てて新しいものに作り変える事ですが、私は古いものは全て捨てるのではなく、良いものは残しつつ「進化」させていくべきだと思っています。

 

福井は昭和20年代に戦災、震災、大水害と三重苦に見舞われ、歴史的な貴重な文献をかなり喪失してしまったと言われています。したがって、「福井祇園祭」の事も実は歴史学者も学芸員も他所の文献から紐解いて上辺だけを記録しているに過ぎません。だから正確な記録は殆ど残っていません。ただ、私はある人から非常に感銘を受けた言葉を聞いたことがあります。「たとえ街に記録がなくても、街には記憶が鮮明に残っている」という言葉です。この言葉に大変勇気付けられました。今までは古い伝統文化をいかにして忠実に再現しようかと必死でしたが、私たちが肌で感じて実行しようとするものは先祖から受け継いでいる記憶に基づいているのだと気付きました。それは良いも悪いもひっくるめて私たちの記憶に残っているということです。

 

だから私は古い伝統は受け継ぎつつ、私たちが感じる新しい文化を築きながら祭りを作って行きたいと考えています。それは「革新」ではなく「進化」なのです。先人たちの行ってきた良い部分も悪い部分も、出来る限り後世に記録を残しつつ、記憶に残るようなまつりを築いていきたいとの考えで「第23回ふくい祇園まつり」にこだわっています。

平成10年頃の「福井祇園祭」

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