【CACI物語：保護犬 ⑨「ミスターD.D」】

 

CACIマークになっているポインター「ミスターD.D」（写真 右）

 

アンを引き取った時、

ポインター「ミスターD.D」も、既に収容されていました。

 

後日、やはりお迎えのなかったミスターD.Dを迎えに行ったのです。

 

 

アンに会いに行き、千葉の愛護センターに、多くの猟犬が収容されているという事実を知りました。

鳥猟犬の末路を見た瞬間です。

 

千葉県は鴨場でも有名です。

都心から近いということもあり、千葉の山奥や近県の栃木茨城への狩猟犬の放棄が見られます。

 

私が、鳥猟犬専門の救済団体にしようと思ったきっかけは

以前より知人のハンターの方から

狩猟犬の最後が残酷なことを聞き及んでいたことも一因です。

山中に置き去りにする際、後を追って来ないように、足を撃ちぬかれている鳥猟犬も少なくないのです。

 

 

さまざまな思いを胸に、ミスターD.Dを引き取る際、

愛護センターに鳥猟犬専門に救済する団体として登録したい旨を伝えました。

 

愛護センターの答えは

「使役犬、しかも猟犬の譲渡は愛護センターでも実績はなく、家庭犬として向かないので難しいのでは・・・」

との見解でした。
 

鳥猟犬は家庭犬には不向きとされ、救済する保護団体は少なく譲渡もできずセンターで、次々と処分されていました。

 

私が知っている鳥猟犬は、とても人懐っこく、明るく優しく、楽しい性格です。

 

「その実績を私が作りますので見ていてください。家庭犬に向いていることを証明して見せます！」

私は、即座に答えました。

 

ミスターD.Dと共にセンターを後にする際、職員の方が

『ありがとうございます、よろしくお願いします』と、深々と頭を下げ

そしてミスターD.Dの頭をなで『よかったなぁ』と、

ポツリつぶやきました。

命あるものを処分するという職務はさぞかし、

つらいことでしょう。

 

こうして、私たちは正式な「ガンドッグレスキュー」として活動を始めたのです。

 

ミスターD.Dは、家庭犬になるべく再訓練を受けていましたが1年後、リンパ腫により私のもとから旅立ちました。

みかけによらず、繊細で屈託のない可愛い素直なポインターでした。

忘れることのできない、GUNDOG RESCUE CACIの始まりの子達です。

 

 

CACIマークは、アンを診察してくださった病院の看護師さんが作ってくださいました。

鳥猟犬の現状を伝えるために、CACIの始まりとなったアン（左）とミスターD.D（右）をシンボルとして・・。

 

マークを眺めるたびに、私は初心に帰り

「使役犬として、人の為に働いた全ての鳥猟犬が、盲導犬、聴導犬のように満ち足りた余生を送れますように！」

と願い、この活動を続けていく決意を新たにするのです・・。