世界初、レーザ視覚支援機器を盲学校に届けたい！

  加藤聡先生の「まず、あなたの学会発表があって、それが優れたものであれば眼科医、学会が取り上げて研究会をスタートすることができる。まず、ロービジョン学会で発表して欲しい。話はそれからだ。」のお言葉に従い、2015年6月に発表用の抄録(研究の【目的】、【対象と方法】、【結果】、【結論（または考按）】を要約したもの)を第16回ロービジョン学会に投稿しました。タイトルは、「視覚支援用網膜投影レーザアイウェア」です。開催会場は東京都千代田区の一橋講堂でした。学会テーマは「ロービジョンケアにおけるScience」。

図　発表資料のタイトル頁　

　幸い、論文審査委員会の査読の結果、ポスター発表（論文の内容をポスターにし、来場者に１対１で説明し、議論する形式の発表）をさせて頂けることになりました。ポスター発表の前に、会議場に学会参加者が集まる中で、ポスター発表者が順々に壇上に上がって３分間のショートプレゼンテーション（会議参加者へのパワーポイントとプロジェクタを使った説明）をします。医師や視能訓練士の方々に交じって、私もプレゼンしました。

　医師や視能訓練士の方々の発表は、「拡大読書器やルーペ等の視覚支援機器を、〇〇症状のロービジョンの方が、〇〇のように使い、〇〇のような感想・満足を得た。その結果、問題点や改善点が分かった。生活を〇〇のように改善することができる。」という内容が殆どで、私はこの時、強烈な「アウェイ感」を感じました。「しまった！」と。

　というのは私の発表は、視覚支援用とは謳っているものの、原理と効果（レーザ網膜投影の秘密１のこと）の説明だけで、「だからロービジョンの方々の生活がどうなる」とは一言も述べていなかったからです。

　誰の何を解決するのか、を明瞭に考察、提示するべきでした。今でこそ、教育に携わっている、あるいは当事者の多くの方々の意見、叱責と提案を頂き、RETISSAが目指すのは“「移動」「就労」「楽しみ」「勉学」「読書と筆記」を通して、より多くの「自由」を提供することだ”と言うことができるようになりましたが。

　ポスター発表では、多くの眼科医や視能訓練士の方々とのつながりができました。その一方で、加齢黄斑変性の高齢の方が「これで少しは見えるようになるかな」と訴えるような眼で話されたとき、付き添いの奥様が「見えるわけないでしょ」と冷ややかにコメントされたことを覚えています。現在のRETISSA Display２やRETISSA SUPER CAPTUREをその方に使ったいただきたいものですが、お会いできるかどうかわかりません。

　2015年は「アウェイ」を「ホーム」にするべく、活動を続けていた時期です。

株式会社　QDレーザ　代表取締役社長　菅原充