前回のインタビューでは、BSL4の厳重レベルの話などを伺いました。

 

インタビュー  4回目は、高田先生のエボラ研究年表④、”コウモリなどのウイルス保有調査を開始”したことについて伺っていきます。

 

 

*高田先生エボラ年表*

 

①アメリカでエボラウイルスの研究を始め偽エボラウイルスを作った

②同時にエボラウイルスが細胞に侵入するメカニズムの研究を始めた

③日本に帰国後にエボラウイルスに対する抗体の研究を始めた

④コウモリなどのウイルス保有調査を開始した

⑤エボラウイルスの細胞侵入を阻害する抗体が治療薬として有望であることを実証した

⑥5種のエボラウイルスを全てに効く抗体を発見した

⑦抗体を使ってエボラの迅速診断キットを開発した

⑧抗体と同じ効果を示す化合物を発見し、治療薬開発へ

 

 

文章:READYFOR株式会社プロジェクト担当 田中


 

ザンビアでコウモリ捕獲大作戦を開始

 

ー2006年末にザンビアの森でコウモリ捕獲大作戦を始めて以来、現在まで毎年行なっていると伺いました。エボラウイルスが、”コウモリ”にいるのではと着目したのは、なぜでしょうか。

 

エボラウイルスはヒトやサルに致死率の高い病気を起こします。このようなウイルスは、ヒトやサルの集団の中で維持されることはなく、感染しても通常は発症せずウイルスを自然界の中で維持している動物「自然宿主」がいるはずです。

 

その頃、いろいろな病原体がコウモリ由来だと事が分かってきた頃でしたし、アフリカのエボラ流行地で捕獲されたコウモリからエボラウイルスの遺伝子が見つかったという論文が2005年に発表されていたので、エボラウイルスの自然宿主候補としてコウモリに着目しを調査を開始しました。

 

しかしまだ、エボラウイルスの自然宿主がコウモリである、と言うためには今のところ証拠不十分な状態です。感染性のある(つまり、生きていると言える状態)ウイルスが見つかった事がありません。

 

ヒトに病原性がある事が分かっている種類のエボラウイルスの遺伝子が見つかったのも、2005年の論文1回だけしかありません。
 

ーコウモリからエボラウイルスの遺伝子が発見された翌年から調査を続けているのですね。どのようなコウモリを対象に、どのように捕獲(捕獲の格好や場所など)するのでしょうか。

 

コウモリは大きく分けて、虫を食べるものと、フルーツを食べるものに分けられます。そのうちフルーツを食べるコウモリ(食果コウモリ)がエボラウイルスの自然宿主として疑われていました(上述の2005年の論文がそうでしたので)。

 

しかし最近、虫を食べるコウモリ(食虫コウモリ)からも新種のエボラウイルスが見つかり、現在はコウモリの仲間全体がエボラウイルスの自然宿主として疑われることになりました。

 

左のかわいい感じの方はフルーツコウモリ。
右の凶暴な感じの方は(実際にちょっと凶暴)食虫コウモリ。
すぐに見分けがつきます

 

しかし、この新種のウイルスはコウモリから遺伝子のみが見つかっただけで、やはり感染性のあるウイルスが存在しないので、ヒトやサルに病気をおこすのかどうかは不明です。

 

コウモリの捕獲は、先方の政府機関の許可を得て、網などで行います。ほとんどの食果コウモリは、昼間は木にぶら下がって寝ているので、そこを狙って魚釣りなどに使うような玉網で捕獲します。

 

 

 

また、ある種の食果コウモリや食虫コウモリのほとんどは、昼間は洞窟などの暗闇の中でぶら下がって寝ていて、夕方になるとそこから飛んで出てきますので、洞窟などの入り口に網を仕掛けておくと、たくさん捕獲できます。

 

 

洞窟に入るときには、専用の防護服、マスク、手袋などを厳重に着込んで突入します。

 

 

 

コウモリの抗体を調べることで発生しやすいウイルス種がわかる?

 

ーコウモリの調査から、興味深いデータが見えたと伺いました。どのようなデータでしょうか。
 

エボラウイルスにはいくつかの種類が知られています。そのうちヒトに病気を起こすことがはっきりしているのは4種類です。これまでの調査で、エボラウイルス自体は見つかっていないのですが、コウモリの抗体を調べることが出来ました。

 

抗体は、ウイルスに感染すると作られ、感染後しばらくは血液中に検出することが出来ます。なので、過去に感染した証拠となると同時に、どのエボラウイルス種に感染していたのかを推定することが出来ます。

 

エボラの多発国であるアフリカ中央部とザンビアの間を、毎年行き来する渡りコウモリがいるのですが、どのウイルスに対する抗体が多いかを毎年調べてみると、アフリカ中央部で発生したエボラ出血熱の原因となったウイルス種と何故か一致する傾向にあるのです。

 

例えば、2010年頃まではザイールエボラウイルスという種類に対する抗体が多く検出され、実際にヒトで何回か流行したのもこのザイール種でした。

 

その後ザイール種に対する抗体はあまり検出されなくなり、その代わり、スーダンエボラウイルスやブンディブジョエボラウイルスという種類に対する抗体が多く見つかるようになり、その頃ヒトで流行したウイルスも、これらのウイルスだったのです。


やはりコウモリがエボラウイルスに保有していて、それがヒトへの感染源になっているという可能性も考えられますし、コウモリ以外の動物が持っていて、その動物とコウモリが頻繁に接触して感染しているという可能性も考えられます。

 

いずれにしても、コウモリが持っている抗体を調べることによって、アフリカ中央部の森の中で、どの種類のエボラウイルスが現在優勢になっているのかを知る手がかりを得られるような気がしています。
 

ーコウモリの調査からヒトにも感染する可能性が高いエボラウイルスの種類の手がかりが分かるのは興味深いですね。感染している(もしくはする可能性が高い)種類が判明するだけで、打てる対策も増えそうです。コウモリの調査が、エボラウイルスのルーツを知る大きな手がかりになることが分かりました。先生、ありがとうございます。

 

 


 

ーお知らせー

 

ここまで応援してくださっている皆様、

ありがとうございます。

 

プロジェクトの終了まで、残り15日になりました。

この機会にエボラについての理解を深めたい、

研究を後押ししていただきたいと、

本日ラストスパート記念のリターンを追加しました。

 

 

エボラウイルスについて関心を寄せていただけましたら、

ぜひこの機会に本を手にとって応援いただけますと幸いです。

 

最後まで応援お願い致します。

 

 

 

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