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致死率最大90%にもおよぶ「エボラ出血熱」治療薬開発の一歩へ

高田礼人(北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター)

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致死率最大90%にもおよぶ「エボラ出血熱」治療薬開発の一歩へ

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2019年03月04日 19:17

3:エボラウイルスに対する抗体の研究を開始


インタビュー3回目は、高田先生のエボラ研究年表③、”エボラウイルスに対する抗体の研究を開始”ことについて伺っていきます。

 

 

*高田先生エボラ年表*

 

①アメリカでエボラウイルスの研究を始め偽エボラウイルスを作った

②同時にエボラウイルスが細胞に侵入するメカニズムの研究を始めた

③日本に帰国後にエボラウイルスに対する抗体の研究を始めた

④コウモリなどのウイルス保有調査を開始した

⑤エボラウイルスの細胞侵入を阻害する抗体が治療薬として有望であることを実証した

⑥5種のエボラウイルスを全てに効く抗体を発見した

⑦抗体を使ってエボラの迅速診断キットを開発した

⑧抗体と同じ効果を示す化合物を発見し、治療薬開発へ

 

 

 

前回のインタビューでは、偽エボラウイルスを開発したことで、BSL4ではない日本の施設でも研究が進めるようになったと伺いました。

 

文章:READYFOR株式会社プロジェクト担当 田中


 

BSL4のセキュリティーは、相当厳重

 

ーBSL4の施設が日本で稼働していなかったのは、なぜなのでしょうか。

 

1980年代に造られた施設があったのですが、近隣の住民の方々の理解が得られず、BSL4施設として稼動させる事が出来ませんでした。

他国から病原体が持ち込まれた場合やバイオテロ発生の場合などを想定して、多くの先進国がBSL4を持ち、研究を進めていたのに対し、日本はかなり遅れてしまいました。

帰国後から現在までずっと、本物のウイルスを使わずに得られた結果を、実際のエボラウイルスで確かめるために、カナダやアメリカのBSL4施設に毎年数回通っています。

 

BSL4施設で


 ー地域住民からの反対もあったとのことですが、BSL4のセキュリティーはどのようになっているのでしょうか。

 

 

拙著「ウイルスは悪者か」の中にも書かせていただきましたが、相当に厳重です。病原体が外に漏れないように超高性能フィルターを最低2回通して排気するようになってますし、排水も高圧蒸気滅菌という方法で完全に病原体を殺してから外に流します。

 

アメリカやカナダでは、実験する人も厳重に管理されていて、ちょっとでも怪しいと判断された人は施設にアクセスする許可がおりません。

 

もちろん、施設内には許可された人しか入ることが出来ませんし(暗証番号、カードキー、虹彩認証キー等によって何箇所も厳重に管理されています)、至るところに監視カメラが設置されています。

 

 

研究の中で見えてきた、意外なもの


 ー高田先生も、毎年BSL4の施設に入る権利を得るため更新しテストを受けるとおっしゃっていましたね。研究当時は、先日述べていただいたように、BSL4の施設が日本になかったため「偽エボラウイルス」開発後、日本に帰国してエボラの抗体の研究を始めたと伺いました。なぜ、まずエボラウイルスの感染によってどのような抗体がつくられるか調べることにしたのでしょうか。

 

前回の新着情報でも書きましたが、偽エボラウイルスによって可能になった研究は、エボラウイルスが細胞に侵入する過程の解析です。

 

そこで最初に取り組んだのが、この細胞侵入過程を阻害する抗体が存在するのかどうかを確かめる実験です。

 

インフルエンザウイルスなどは、感染やワクチン接種で、そういう抗体(中和抗体といいます)が体内で沢山作られるので、感染を防ぐことができます。しかし、エボラでは中和抗体が出来にくいと言われていました。それをまず確かめたかったのです。
 

 

ーその研究の中で、どのようなことが見えてきましたか。

 

結果は意外なものでした。

 

中和抗体はある程度作られるのですが、それとは別に、エボラウイルスの感染を増強してしまう抗体も結構作られているという事が分かったのです。抗体がウイルスの感染を助けるという現象は、デングウイルスでも確認されているのですが、それはある特定の細胞だけで見られる現象でした。

 

エボラウイルスで見つけたのは、体中のほとんどの細胞で起こりうる新しいメカニズムだったのです。その後、モノクローナル抗体を作って、一つ一つの抗体を詳しく調べていき、実際に体内で作られる抗体は、中和抗体と、感染増強抗体と、どちらの働きもない抗体に分類されるという事がはっきりしました。

 

血液中にはそれらの抗体が混ざって存在しているので、全体としては相殺されて、中和活性が見えにくいという事が考えられました。

 

したがってその後、この中和モノクローナル抗体だけを使って治療法を開発しようという流れになっていきました。モノクローナル抗体については、「ウイルスは悪者か」の中に詳しく書かせていただきましたので、興味のある方はご参照ください。

 

ーありがとうございます。次回は、コウモリなどの調査について伺っていきます。どうぞよろしくお願い致します。

 


 

*高田先生エボラ年表*

 

①アメリカでエボラウイルスの研究を始め偽エボラウイルスを作った

②同時にエボラウイルスが細胞に侵入するメカニズムの研究を始めた

③日本に帰国後にエボラウイルスに対する抗体の研究を始めた

④コウモリなどのウイルス保有調査を開始した

⑤エボラウイルスの細胞侵入を阻害する抗体が治療薬として有望であることを実証した

⑥5種のエボラウイルスを全てに効く抗体を発見した

⑦抗体を使ってエボラの迅速診断キットを開発した

⑧抗体と同じ効果を示す化合物を発見し、治療薬開発へ


 


 

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