プロジェクト概要

 

ぜん息に悩む子どもへの薬の投与量を減らしたい!患者さんと家族のために研究を続けていく

 

 

​ページをご覧いただきありがとうございます。東京慈恵会医科大学附属第三病院小児科の勝沼俊雄と申します。

 

私は、ぜん息の子どもやその家族の負担を少しでも減らしたいという想いから、乳幼児ぜん息(1~4歳)を対象に、吸入ステロイドの“間欠吸入”という新しい治療方法の臨床研究を2014年から82名のお子さんに行なっています。

 

詳細は以下のページ内で具体的に説明しますが、5、6年ほど前から毎日ではなく、風邪をひいた時や環境が変わる時だけ行う「間欠吸入」という方法が注目されてきており(*1)、毎日必要だった薬を必要な時だけ使うという革新さがあります。

 

全体で使用する薬の量を減らすことができるため、副作用を限りなくゼロにし、「最小の薬で最大の効果を得る」ことを目指しています。

 

子どもや親の負担を軽くしていきたい、そんな決意を胸に

 

子どもや親の負担を軽くしていきたい、そんな決意を胸にこれまでの3年間、公的資金で研究を行ってきましたが、 2017年3月で公的研究資金の提供が終了となりました。社会的意義と公益性は認められましたが(「日本小児アレルギー学会協力研究」にも指定されています)、患者さんの登録するペースに限りがあり、当初より計画が延びているためです。

 

資金提供が終了となってしまいましたが、信頼性の高い確かな結論に繋げるためには、あと4〜5年がかかると私は見込んでいます。そして、成果を出すことができれば、ぜん息に悩むお子さんの薬を減らし、副作用の不安や薬を投与する負担を軽くできれば、お母さんたちの子育て環境も改善できると確信しています。

 

最後まで研究をやり遂げるために、皆さまのお力を貸していただけないでしょうか。

 

 

 

生命のベクトルが上を向いている、その少しの手助けを。私が小児科医になった理由

 

臨床研究というと少し馴染みがなくなってしまうかもしれないので、私がなぜ医者になったのか、なぜ研究を始めたのかということを少しお話したいと思います。

 

子どもの頃、野口英世の伝記を読んで影響を受けて医師を目指しました。医学者として…というよりは、野口英世の「不屈の闘志」、ハングリー精神に惹かれたことが大きかったです。

 

医学部を卒業するに当たり専攻科を選ぶとき、私は子どもの「生きよう」とする力、つまり生命のベクトルが上を向いているところに惹かれ「小児科」を選びました。一見重症に見えても、ほんの少し医療的に支えることで、ぐんぐん回復することがある。治っていく病気も多いのです。子どもならではのそんな生命力を支えたいと思いました。

 

小児科は、診察して薬を処方して終わりではなく、家庭でのケアや薬の飲み方、塗り薬の使い方などを丁寧にアドバイスしたりすることも必要で、私の性格にとても合っていました。

 

元気になって早く家に帰れるように、そんな想いで接しています

 

 

「子どものために頑張るのが当たり前」を変えたい。親だって弱いときもあるから、少しでも楽になってほしい

 

そのなかで、私が今回の研究を始めようと思ったきっかけは、小児科医としてアレルギーやぜん息を専門として何万人の子どもと親に出会い、患者さんはもちろん、親への負担も減らしてあげることがとても大切ではないかと思ったからでした。


私自身で想像してみたときに、薬を出されても毎日決められた通り飲み続けるのは大変です。しかし、私たち医者は患者さんに「毎日薬を飲みなさい」と強いてしまう。そんな真面目さを強いるという治療の現実に罪悪感を覚える瞬間が出てきて、もっと楽な方法があるのではと思い始めたのです。 

 

ぜん息は近年、死に直結する病気ではなくなってきました。しかし、ただえさえ子育ては大変なのに、ぜん息などの慢性疾患を抱えた子どもを育てていくというのは、それ以上の負担があります。

 

そのなかで、「子どもを良くするためなんだから親が頑張るのは当たり前でしょう」という空気感がどうしても出てしまう。でも、人間はそんなに強いものでも完璧なものでもない。いくら親でも弱かったりする部分がある、それを分かったうえで、病気を良くしていくことが大切だと思っています。

 

今回の研究は、まさにその「楽に良くなることができる」治療法になると思いました。それが、最大のモチベーションとなり今に至ります。

 

いつでも患者さんやご家族の目線に寄り添えるように

 

 

最小限の薬剤によるぜん息コントロールを目指す研究。“DIFTOスタディ”

 

その始めた研究というのが、「ぜん息治療薬である吸入ステロイドの新しい用法に関する」DIFTOスタディです。DIFTOは正式名称の英語(Daily versus Intermittent inhaled Fluticasone in TOddlers with recurrent wheezing)の頭文字をとった言葉で私たちはそう呼んでいます。

 

 

小児ぜんそくは、子どもの約5%がかかっていると言われています。ぜんそく患者さんが、ホコリを吸ったり風邪を引くと、風邪症状に加えて息苦しくなったり、ゼーゼー音がしたり、呼吸困難になってしまいます。これは発作といわれます。気管支が狭くなるために起こります。

 

ぜん息への治療としては、発作など何かあったときの治療も大事ですが、発作が起きないように長期管理する、普段から気管支の粘膜にある炎症をとる治療が大事だと言われています。

 

炎症をとる有効な治療は、「吸入ステロイド」といわれる薬で、赤ちゃんからお年寄りまで、ぜん息に対する中心的治療薬です。吸入ステロイドは、毎日行うことが当たり前とされてきました。しかし、5、6年ほど前から毎日ではなく、風邪をひいた時や環境が変わる時だけ行う「間欠吸入」という方法が注目されてきました。


この研究では乳幼児ぜん息を対象に、間欠吸入が連日吸入(毎日の吸入)に劣らぬ効果を持つかどうかを、世界で初めて検討します。


毎日行う連日吸入に対し、環境が変わったり悪くなるときだけ行う間欠吸入の効果が劣らないと証明できれば、これまでのぜんそく治療の常識がガラリと変わることになります。吸入ステロイドは薬なので、副作用がある可能性もありますし、子どもの成長を妨げることもあります。実際に1cm程度の成長抑制を示唆する報告があります(*2)。

 

最小限の薬剤によるぜん息コントロールが可能になれば、副作用の一層の軽減、お子さんやご家族の負担軽減、医療コスト削減など多くの波及的効果を期待できます。

 

患者さんのベットにはいくつもの医療器材が並んでいます

 

 

研究内容と今回お願いしたい資金の使い方

 

全国100以上の医療施設で、連日吸入をする子ども、間欠吸入する子どもに振り分けて、1年後の効果の差異を検証していきます。最初は、症例数として500人に登録していただくことを目標に研究をスタートさせました。

 

しかし、ご協力者が80人超えた段階で、公的研究資金を頂けた3年が経過しました。目標症例数は2017年4月に実施した分析結果を踏まえて、統計家に必要な症例数を再度検討して頂いたところ、300人でも十分であることが分かり、計300人の症例であれば、あと4~5年間頑張れば、研究として最終ゴールできるかもしれないという段階まで見えてきました。資金が不足するなかですが、ここまで何とか成し遂げていきたいー。

 

データマネージメント・モニタリングや薬代として、その研究期間では5,000万円以上の資金が必要になります。まずは、最初の1年間(研究の最初の期間から通算で4年目)の研究費用1,000万円を皆さまのご協力で集めていけましたら幸いです。

 

仲間達と共に
 

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「薬の副作用のリスクをより一層ゼロに近づけ、

患者さん、そのご家族の薬を続けるという負担をもっともっと減らしていく

 

公的研究資金の提供が終了となったとき、全てを投げ出して諦めそうになった時もあったけれど、既に研究に参加してくれていた82人のお子さんとそのご家族の貴重なお志を無に帰すという選択はしたくなく、研究を諦めることはできませんでした。研究をやり遂げて、ぜんそく児のご家族の時間を大切にしたい、それが決断でした。

 

臨床研究は簡単に成果が出るものではありません。そして、医師が1人で研究していけるものでもありません。今回は、患者さんとご家族が1年間という長い研究に同意して頑張ってくれていました、仲間の医師も含めて、諦めてしまった瞬間、何ももたらさなくなってしまう。仲間にも励まされながら、もう1回、最後ゴールを目指して研究を続けていこうと思いました。

 

研究をともに進める赤司賢一先生

 

 

患者さんのことも、親のことも100%理解しているわけではなかった。だからこそ、研究を続けていきたい

 

患者さんから“ありがとう”と声を掛けていただくことも多いですが、いつも私が患者さんに「ありがとう」と伝えたいと思っています。たくさんの医療を学び、いろいろ知っていると思っても、医療は深いなと日々感じています。

 

実は、私の子どももぜん息で、妻を亡くしていたため、父親としてというよりも半分は母親のような役割でケアをしていました。ぜん息の我が子と対峙する度に、その大変さをより痛切に感じました。今まで医者として、患者さんのことも親のことも100%理解しているつもりだったけれど、いざ親の立場になるとそれは想像以上に大変なことだと再認識しました。

 

病気の見方、病気を良くする診療や治療のあり方、今まで自分がやってきたことは必ずしも満点ではなく、もっと変えていく、良くする余地があることが分かっていきます。

 

その治療を変えていく1つとして、今回の「ぜん息治療薬である吸入ステロイド」に関する研究があります。医療は日々進歩していますが、それは医師や患者さん、親など様々な人が一丸となり、より良くしていきたいと願っているからです。

 

ぜん息に悩む子ども、そのご家族、周りでぜん息で苦しそうな姿を見かけたことがある方、頑張る子どもやご家族に少し寄り添っていただける方、少しずつのお気持ちでどうぞ、研究の継続にお力を貸してください。

 

どこかで少し楽になったと微笑むご家族が増えるかもしれません。

 

病院の子どもスペース。家でも子どもと家族の幸せな時間が続きますように

 

*1.参照論文:
・Zeiger RS, Mauger D, Bacharier LB, Guilbert TW, Martinez FD, Lemanske RF Jr, et al; CARE Network of the National Heart, Lung, and Blood Institute. Daily or intermittent budesonide in preschool children with recurrent wheezing. N Engl J Med. 2011 Nov 24;365(21):1990-2001.
・Martinez FD, Chinchilli VM, Morgan WJ, Boehmer SJ, Lemanske RF Jr, Mauger DT, et al. Use of beclomethasone dipropionate as rescue treatment for children with mild persistent asthma (TREXA): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet. 2011 Feb 19;377(9766):650-7.

*2.参照論文:

・Kelly HW. Effect of Inhaled Glucocorticoids in Childhood on Adult Height. N Engl J Med 2012; 367: 904-912.

・Martinez FD, Chinchilli VM, Morgan WJ, Boehmer SJ, Lemanske RF Jr, Mauger DT, et al. Use of beclomethasone dipropionate as rescue treatment for children with mild persistent asthma (TREXA): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet. 2011 Feb 19;377(9766):650-7.


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