プロジェクト概要

 

伝統芸能を彩る道具たちが消えはじめている。

 

歌舞伎や能楽など伝統芸能の舞台には、衣裳、刀、髪飾りなどさまざまな「道具」が必要です。しかし近年、作り手がいなくなったり、素材が入手できなくなったりするなど、問題を抱えている道具がだんだん増えてきています。俳優さんがいい芸をしても、道具の質が悪いと芸術としての総合的な質は落ちてしまいます。

そこでこのプロジェクトでは、今まさに消えていこうとしている道具の一つである、歌舞伎で使われる髪飾りの櫛(くし)の調査と復元のための研究を行い、皆様に研究成果の報告を行いたいと思います。

 

皆様からいただいた支援金は、道具を復元するために作成するプロトタイプを作る費用や(下記に出てくるくしの金型の図面を作成する費用など)、その技を持つ職人さんに会いに行くための交通費などに大切に使わせていただきます。

 

日本の伝統芸能をこれからも美しいものに保つために、伝統の道具を守るプロジェクト。

 

(歌舞伎の髪飾り、いろいろ。)

 

はじめまして。「伝統芸能の道具ラボ」を主宰している田村民子です。 歌舞伎や能楽など伝統芸能の舞台には、衣裳、刀、髪飾りなどさまざまな「道具」が必要です。しかし近年、作り手がいなくなったり、素材が入手できなくなったりするなど、問題を抱えている道具がだんだん増えてきています。俳優さんがいい芸をしても、道具の質が悪いと芸術としての総合的な質は落ちてしまいます。

そこで、作れなくなっている道具を調べて、それをよみがえらせる活動を2009年からはじめました。消えてしまう道具を少しでも減らすために、生物学のレッドリストデータをお手本にして、道具を作る技術がきちんと保たれているかをランク評価する調査も行っています。今回のプロジェクトでは、歌舞伎で使われる髪飾りの櫛(くし)の調査と復元のための研究を行い、皆様に研究成果の報告を行いたいと思います。

 

(今回のプロジェクトでトライしたいのは、歌舞伎で使う飾り用のくしです)

 

どうして「道具」を守らなくてはならないのか?

 

私は、ライターとして15年近く仕事をしてきました。「ものづくり」と「伝統芸能」に関心があり、歌舞伎の裏方さんについての企画をたくさん立て、取材をさせていただいてきました。彼らは、客席からは見えない隅々にまで実に細かく心配りをしながら丁寧な仕事をしています。伝統的な手仕事を今でも大事に継承していて、一般社会ではもう失われてしまった技術や、慣習を現代に伝えてくれています。

 

(歌舞伎の裏方の一種。かつらの髪を結う職人「床山(とこやま)」 イラスト:中川未子)

(歌舞伎のかつら。これにも貴重な技術、道具がたくさん詰まっています。)

 

裏方さんたちは、多種多様なモノを作ったり手配をしたりしています。舞台の セット、刀や扇などの小道具、着物や足袋などの衣裳、俳優さんがかぶるかつ らなど。また仕事をする際には、櫛(くし)や針、糸なども必要です。それら はモノとしての魅力にあふれており、どんな小さな道具もお話を聞くと、興味深いエピソードが次々と出てきます。

 

(歌舞伎のかつらの髪を結う職人が使う道具 イラスト:中川未子)

 

しかし、取材を重ねていくうちに「このかんざしを作る人は、1人しかいない」「これを作る素材のわらがもう入手できない」など、作れなくなりそうな道具や素材、実際にもう作れなくなったものがいくつもあることがわかってきました。

 

私は趣味で能を習っていますが、能の先生にうかがってみると、能の世界でも 作れなくなっている道具がだんだん増えているとのこと。その原因は、道具の 作り手である職人の高齢化、手作業のため効率性・収益性が低いこと、後継者 が育てられないことなど。道具の質が低下したり、変な代用品が増えたりする と、総合芸術としての質はどんどん落ちてしまいます。職人さんも高齢化して いて、早く問題を解決しないと、どんどん道具を作る技術が消えてしまいます。

 

そこで、2009 年から歌舞伎と能楽の道具のなかで、作れなくなった道具の復元 に取り組みはじめました。これまでの活動については、「伝統芸能の道具ラボ」というサイトを立ち上げて、活動の様子を公開したり、職人の求人情報を掲載したりしています。

 

伝統芸能の道具ラボ

http://www.dogulab.com/

 

 

これまで復元した道具。

歌舞伎の髪飾り「鹿の子」

 

これまで約3年間、活動を続けてきたなかで、復元したものを1つご紹介します。 歌舞伎で使われる髪飾りのなかに「鹿の子(かのこ)」と呼ばれる布製の飾りが あります。これは、いろんな役で使われるため、なくてはならない道具のひと つです。この髪飾りを管理する裏方の床山さんによると、今から約 40 年前に大 量購入し、これまで使い続けてきたそうですが、近年ストックが枯渇。再度発 注しようとしたところ作れる職人がいなくなっていたというのです。

 

(歌舞伎で使う髪飾りの布「鹿の子(かのこ)」)

 

それで私は新しい制作ルートを探しはじめました。なかなか復元してくれそうな職人に出会えず、じりじりとした時間が続きましたが、幸い「京都絞栄会」という素晴らしい職人集団との出会いに恵まれ、1年かけて復元をすることができました。復元した「鹿の子」は、現在、歌舞伎の舞台で使われています。

 

(歌舞伎のかつらを結う職人・床山の高橋敏夫さんと「鹿の子」復元の道のりをふり返る)

 

歌舞伎で使う櫛(くし)を復元させたい

 

(現在、制作ルートを探している歌舞伎のくし。素材はアセチロイド。くしの歯の部分の加工に苦戦している)

 

現在、複数の道具の復元に同時進行で取り組んでいますが、特に注力したいのは、歌舞伎で使う人工素材のくしの復元です。もともとはべっ甲という天然素材を用いて作られていたのですが、いろいろな事情があり現在は、アセチロイドという人工素材で作られています。しかし、近年、このくしの歯を加工する職人が激減しているため、新しい制作方法を模索しています。

 

金型で作ると簡単なのですが、歌舞伎で使うくしは多種多様で少量ずつ特注しています。金型は高額なので、採算が合いません。そうなると手作業になるのですが、くしの歯の加工がなかなかうまくいきません。均等にきれいに歯を作るのは至難の業です。くしの歯の加工方法について取り組みはじめて約2年間たちますが、未だ苦戦中です。ものづくりのアドバイザーの方も熱心に協力してくださり、図面なども作ってくださって、町工場にあたったりもしましたが、採算が合わないのか、どこも引き受けてくれません。今回、みなさまから寄付していただいた資金は、この「歌舞伎の櫛(くし)」の試作開発のために使わせていただきます。

 

(協力者の方が作ってくださった図面)

 

この「くしの歯」についてはこれまで2年間取り組んできました。その奮闘については、以下で詳しくご覧いただけます。

 

歌舞伎の「くしの歯」の取り組みの報告

http://www.dogulab.com/category/k-2

 

1年に1アイテムの復元をめざします

 

私の活動は、このように「道具の復元」と「職人の働く環境の改善」の2つを 柱にしています。道具の復元については1年に1アイテムの復元をめざしてい ます。私は今 42 歳ですから、70 歳まで生きるとしたら 28 個という計算になり ますが、復元しなくてはならないアイテムは、もっともっと多いのです。でき れば私ひとりではなく、多くの協力者の力をいただきたいと思っています。

 

また、復元は1点作って終わりでは意味がありません。これらの道具は舞台で 使う消耗品なので、継続的に購入できる価格にしなければ、舞台で使用するこ とができません。一方、あまり安い金額だと作り手である職人さんの生活が成 り立ちません。このあたりのバランスが非常に難しいのです(ビジネスの視点 からのアドバイスもぜひ多くの人からいただきたいです)。

 

日本の文化を、市民の心意気で守りたい。みなさんの力を貸してください

 

伝統芸能の道具は、モノとしての魅力にあふれています。そして、職人が丁寧に作り上げたこれらの道具には、それぞれに興味深いストーリーがあります。これらの道具を守り、未来に伝えていきたいと思っています。

そして、みなさまのアイデアをいただきながら「道具」「それを作る職人さん」の支援メニューを広げていきたいと思っています。たとえばある企業で働く保健師さんがこの活動に関心をもってくださいました。そこで、職人さんの健康面をサポートする「職人の保健室」というメニューを立ち上げてみたいと考えたりしています。資金での支援に違和感のある方は、どうぞアイデアで応援してください。以下のお問い合わせフォームからの連絡をお待ちしています!

 

伝統芸能の道具ラボ お問い合わせフォーム

http://www.dogulab.com/contact

 

どうぞ、みなさまのあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。

 

(撮影協力;トニータニウチ)

 

■引換券について

○お礼のハガキを送付

歌舞伎の床山さんの仕事風景を描いたオリジナル・イラストの特製ハガキをお 送りします。イラストは、イラストレーターの中川未子さんが何度もお仕事の 様子を取材して描いてくださいました。

 

○オリジナル・組紐職人が手作りしたストラップ

能楽や歌舞伎で使われる組紐を制作している職人の江口裕之さんが、今回特別にオリジナル・ストラップを作ってくださいます。房の部分は、歌舞伎のお姫様に由来しています(解説書を同封しますので、お楽しみに!)なおこのストラップは、歌舞伎の舞台で使われる道具と同じつくりなので、耐久性はあまりよくありません。あらかじめご了承ください。

(企画協力:伝統工芸の職人を応援するファッションブランド・KARAFURU http://karafuru.jp/

 

色:黒、朱

先端の形状:

A)スマートフォンのイヤホンジャックに差し込むタイプ

B)ケータイやお財布などに付けられるタイプ

 

(写真は、朱・A スマートフォンタイプ。スマートフォンカバーはプレゼントには含まれません)

 

(黒・Aスマートフォンタイプ。スマートフォンカバーはプレゼントには含まれません)

 

(歌舞伎や能楽の組紐をつくる職人・江口裕之さん。今回、支援者のみなさまのために、オリジナルで姫ストラップを作ってくださいます。写真撮影:トニータニウチ)

 

○活動報告会&ブレスト大会にご招待

日時:2012年11月11日(日)13:00-17:00予定

場所:「大塚文庫」東京都目黒区自由が丘3-6-25

「伝統芸能の道具ラボ」の活動全体の紹介と、「歌舞伎の櫛」に取り組んできたこれまでの取り組みや課題についてお話します。「歌舞伎の櫛」の復元は、完了していない可能性が高いのですが、これまで2年間も難航してきた経緯もあり、ぜひみなさまからのご意見、アドバイスをいただき解決につなげたいと思っております。よろしくお願いいたします。

http://www2.odn.ne.jp/intermedia/

和室、茶室、サロン室、庭園などがある上質な空間です。建物は大江宏氏の設計(国立能楽堂などの設計者)。

内容:第一部:伝統芸能の道具ラボの活動報告
第二部:ブレスト
・これからどんな風に活動を発展させたらいいか
・「歌舞伎のくし」の制作ルートを開拓するための具体的な作戦会議
第三部:懇親会

 

(参考:2012 年3月に開催したワークショップの様子)

 

○兵児帯(へこおび 男女兼用 絹 絞り染め)

歌舞伎の髪飾り「鹿の子」を復元した京都絞栄会オリジナルの兵児帯(男女兼用)をプレゼントします。兵児帯は浴衣に合わせるイメージが強いのですが、紬などと合わせて一年中使えます(サザエさんの波平さんのように)。京都絞栄会は兵児帯づくりから出発した絞り染めの職人集団で、その品質は業界随一です。

 

 

色:黒、紺、赤、からし色の4色からお好きな色を指定いただきます   (注文を受けてから染めの作業に入るため、お届けまで少しお時間をいただきます)

 

(モデル協力:竹ノ輪 竹村圭介 http://takenowa.jp/撮影協力:本間直子 会場協力:居残り連 http://www.ren-shinagawa.com/inokori/ino_top.html)


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