がん家族セラピストのエッセイ３

今日は「がん家族」は、どのような困難と希望をもっているのか。

そして、どうして「がん家族」の映画を撮ろうと思ったのかをお話させていただきます。

 

まず、みなさまは患者さんの「家族」について、どんなイメージをおもちでしょうか？

 

 

きっと、「わからない」と答える方がほとんどだと思います。
私がどうして、みなさんが「わからない」と答えるだろうと思ったのかというと、雑誌や新聞に取材していただく際に、記者から「なぜ看病をしている家族を支援しているんですか？家族は大変なんですか？」と質問されることが多いからです。

それほど、家族の苦悩は理解されていないのです。

理由は以下のことが考えられます。

・家族が看病をして当たり前だと思われているから

・辛さは患者の方が勝るから

・がんの生活の実態が世間に理解されていないから

 

しかしＳＮＳが普及してきた現代では、看病をしている「がん家族」の実際の声がリアルにつぶやきとして、目にすることが増えてきました。

例えば以下のようなつぶやきがあります。

 

・患者の前では泣けない。だって患者のほうが辛いのに。

・患者の様態が変わった。どうしていいかわからない助けて！

・他の医師は親切なのに、どうして（家族の患者には）うちの主治医は冷たいのだろう。

・治療費がこんなに高いと思わなかった。生活は大丈夫だろうか？

・どうして自分だけが看病を担っていて、他の兄弟は手伝ってくれないの？同じ親じゃない。

・友達に親ががんだと話したら「わからない」と言われた。誰にも話せない。

・通院を付き添うために仕事を休んでいたら、上司にもう休まないで欲しいと言われた。

・両親の両方ががんになってしまった。自分の生活どころではない。

・親ががんになって心細いから実家に帰ってきて欲しいと言われた。でも私もやりたいことがあって頑張っている最中なのに。どうしたらいいかわからない。

 

「がん家族」の実際の声を見てもわかるように、辛さや悩みは本当に多岐にわたるのです。
一言で「悩んでいる」とは言い表せないほど現実と感情が鎖のように絡み合って複雑なのです。

この悩みや辛さの中でも、私の経験上一番放っておいてはいけないことは

「孤独」だと感じています。


少し長くなってしまいますので、次回にがん家族の「孤独」のお話しと、どうして映画なのかを書かせて頂きますので、どうぞよろしくお願いいたします。



がん家族セラピスト

酒井たえこ

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