支援総額
目標金額 3,000,000円
- 支援者
- 263人
- 募集終了日
- 2017年6月30日
大学史史料室で行っている調査について
いつも私どものプロジェクトに関心をお持ちいただき、ありがとうございます。久しぶりの「新着情報」は、今回のプロジェクトの主要メンバーの一人、東京藝術大学音楽学部大学史史料室の橋本久美子先生にご登場いただき、戦没学生の調査の現状について紹介してもらうことにしました。(大石泰)
◆戦時下の学生に関する調査のはじまり
大学史史料室では、戦後70年にあたる一昨年、新聞の特集記事やテレビ番組のためにいろいろな問い合わせを受け、はじめて学生個人の記録を具体的にたどる作業を行いました。戦時下の東京音楽学校については演奏会の記録や、戦争経験者の話を伺うことはあっても、記録を調査して実態を把握することは行われず、また大学の百年史編集のために収集された学内の各種資料のなかに学生の入隊に関する記録等は含まれておらず、また積極的に掘り起こされることもありませんでした。大学史史料室が平成21年に開室して以降、事務倉庫に眠っていた公文書類が史料室に運び込まれたことで、調査を行う条件が整ってきたところでした。戦後70年を期に、東京音楽学校の卒業生のご親族等からの問い合わせもあり、それらに答えるなかで、戦時下の学生の入隊等について、何がどこまでわかるのか、体系的に調査を行う必要を認識しました。
そこでまず、どのような資料があり、どのような内容が記載されているかという準備調査を行い、昨年より3ヶ年の科学研究費(*)により関係資料の調査を進めています。調査にあたっては、該当年代の種類の異なる複数の文書を参照することで情報を正確に読み取ることに努め、整理を進めています。
(*)「戦時下の芸術専門教育-東京音楽学校の事例を中心に」
(課題番号16K03039、基盤研究(c)平成28年度〜30年度)
◆調査資料の紹介
それでは、現在調査している資料の一部をお目にかけましょう。
【資料1】は在学中召集の記録が、最もよくまとまっている「入退学許可簿」です。タイトルには「入学」と「退学」しか書いてありませんが、実際には「休学」のページもあり、在学中召集された学生の名前と年月日が記されています。
【資料2】は甲種師範科学生の休学に関する記録です。「年月日」「事由」「部別」「学年」「氏名」「備考」等の欄があります。「事由」の欄に「入営」または「応召」という記載が見えます。これが在学中召集の記録です。
写真は甲種師範科の徴兵年齢に達した1年生、2年生が、昭和18年12月1日付で、いわゆる「学徒出陣」した記録です。甲種師範科の学生の中には、師範学校を卒業し、場合によっては教員の経験をしてから、さらに音楽の勉強をするために東京音楽学校に入学した方が多かったのです。そうした方々は入学した時点で20歳を過ぎ、徴兵年齢に達していました。
【資料3】は本科在学中に召集され休学した方々です。当時は、まず予科に入学し、一年間学び、本科で三年間学んで卒業するのが普通でした。表の下の「学年」の欄に「一」とあるのは本科1年、つまり入学して2年目の学生です。写真には、声楽、ヴァイオリン、クラリネット、トロンボーンの専攻生の部分が写っていますが、表はまだ続きます。さらに昭和19年以降にも在学中の入営は続きます。入学して数ヶ月後に召集された学生もいました。
◆調査の対象範囲、東京音楽学校の修業年限など
今回の調査では、昭和16年12月から20年8月までの間に東京音楽学校の予科・本科・甲種師範科・研究科に在籍していた方々を対象としています。東京音楽学校に入学するには、予科あるいは甲種師範科を受験しました。予科に入学して一年後の学年試験に合格すると本科に進み、三年間で卒業します。甲種師範科は三年制でしたが、昭和17年から四年制併設、昭和18年より四年制のみとなります。
こうした事情とあわせ、調査の対象は、予科と本科で四年間在籍する学生については昭和13年入学生から昭和20年入学生まで、三年制の甲種師範科の場合は昭和14年入学生から昭和20年入学生までということになります。
◆選科生について
東京音楽学校には予科、本科、甲種師範科、研究科のほかに、専門実技のみ学ぶ「選科」がありました。選科では子どもから社会人まで、また受験希望者も唱歌、楽器、作曲などを最長五年間学ぶことができました。比較的簡単な試験で4月以外にも随時入学することができ、大勢の方が入学されました。そのため家事都合、転勤、東京音楽学校入学などの理由で、入学者の約三分の二が修了に至らずに辞めていくのも特徴でした。
選科学生については、入退学の時期がまちまちで正確に把握することが非常に難しいのですが、選科に在学された方についての調査依頼も少なくありません。大学史史料室では可能な範囲で調査をおこない、情報を蓄積していきます。
◆東京音楽学校の学生・卒業生で戦没された方の情報をお待ちします
皆さまのご親族やお知り合いに、東京音楽学校在学中に「学徒出陣」され、あるいは卒業後に出征され戦死・戦病死・戦傷死された方はいらっしゃいませんか。またそのような話を聞いた等の情報をお持ちでしたらお知らせくださいますようお願い申し上げます。ご一報をお待ちしています。
(文:東京藝術大学音楽学部大学史史料室講師 橋本久美子)
リターン
3,000円
【戦没学生の音楽史料を未来へ:アーカイブ化を応援】
♦演奏藝術センターから感謝の気持ちを込めて御礼状
♦オリジナルクリアファイル
♦「東京藝大アーカイブ友の会」会員証(会員番号付き)
アーカイブ活動の精神的なバックアップを担っていただきます。
会員様には今後のアーカイブ活動の報告を適宜配信いたします。
- 支援者
- 68人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2017年9月
10,000円
【戦没学生の音楽作品に命を吹き込み、彼らのメッセージをお届けします】
3,000円のリターン(①御礼状、②オリジナルクリアファイル、③「東京藝大アーカイブ友の会」会員証)+
♦コンサートの音源データ または、コンサートにご招待いたします。
*2017年7月30日(日)開催。詳細は、プロジェクトページをご覧ください。
- 支援者
- 150人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2017年9月
30,000円
【アーカイブ研究の舞台裏をお楽しみください】
10,000円のリターン(①御礼状、②オリジナルクリアファイル、③「東京藝大アーカイブ友の会」会員証、④コンサートの音源データ または、コンサートへご招待)+
♦大学史史料室の解説付き見学会(1回の人数制限あり)*日時は別途調整いたします。
ご参加いただけない方には、イベントの裏話(たとえば、楽譜はあっても演奏会で取り上げない曲についてなど)をデータでお送りします。
- 支援者
- 27人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2017年9月
50,000円
【演奏藝術センターのコンサートをお楽しみください】
30,000円のリターン(①御礼状、②オリジナルクリアファイル、③「東京藝大アーカイブ友の会」会員証、④コンサートの音源データ または、コンサートへご招待、⑤大学史史料室の解説付き見学会 または、イベントの裏話(たとえば、楽譜はあっても演奏会で取り上げない曲についてなど)をデータでお送りします。)+
♦当日のコンサートプログラムにお名前を掲載(ご参加いただけない方には郵送いたします。)、さらに演奏藝術センター主催のお好きなコンサートに3回までご招待いたします。
- 支援者
- 17人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2017年9月
100,000円
【大学史史料室が提供するスペシャルなコンサート】
50,000円のリターン(①御礼状、②オリジナルクリアファイル、③「東京藝大アーカイブ友の会」会員証、④コンサートの音源データ または、コンサートへご招待、⑤大学史史料室の解説付き見学会 または、イベントの裏話(たとえば、楽譜はあっても演奏会で取り上げない曲についてなど)をデータでお送りします。、⑥当日のコンサートプログラムにお名前を掲載)、さらに演奏藝術センター主催のお好きなコンサートに3回までご招待+
♦大学史史料室の貴重資料を活用した特別なコンサートにご招待。
- 支援者
- 10人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2017年9月