プロジェクト概要

 

皆さまの温かいご支援のおかげで、クラウドファンディングのスタートから39日で、目標金額の300万円を達成することができました。本当にありがとうございます。

 

ご支援とともに寄せられた応援メッセージの一つ一つから、皆さまの熱い思いとご期待がひしひしと伝わってきて、私どもも身が引き締まる思いでイベントの準備に取り組んでおります。

 

300万円という目標金額は、主にこのイベントのための調査研究費、ならびに制作費として算出したものですが、支援期間がまだ40日ほど残されていることでもあり、私どもはネクストゴールを設けることにいたしました。

 

この7月30日(日)に予定されているシンポジウム&コンサートは、ひとつの通過点に過ぎず、決してゴールではありません。しかも、今回は戦没学生の音楽作品に焦点を当てていますが、それは藝大が持っている資料のごく一部に過ぎません。資料の発掘・調査とアーカイブの構築は、大学が続いていく限り終わることはないのです。そこでネクストゴールの目標金額を450万円と設定し、それによって継続的な資料調査演奏用楽譜の作成、それに基づく音源制作などを行い、より一層のアーカイブの充実を図ります。

 

少し専門的な話になりますが、アーカイブにはさまざまな現場があります。たとえば、今回の戦没学生の作品演奏の場合を例にとれば…

・文書資料の調査という現場

・記録の整理、入力などの現場

・ご遺族とかかわる現場

・資料を集めるという現場

・資料を分かるように、そして使えるようにする現場

・資料を第三者に分かるように伝える現場

・楽譜の精査

・公開演奏

・支援者が手にする現場

 

といった具合です。そして、私どもは今回のクラウドファンディングの実行によって、そうした「社会に開かれたアーカイブスの実践」がすでに始まっている兆しを実感しています。これをより確かなものとするために、ネクストゴールの達成に向け、引き続き皆さまのご支援・ご協力をお願い申し上げます。

 

(演奏藝術センター 大石泰/大学史史料室 橋本久美子)

 

 

 

戦没学生の音楽作品を発掘・調査。現代に彼らのメッセージを”実際の音”としてよみがえらせるコンサートを開催します。

 

はじめまして、東京藝術大学演奏藝術センターの大石泰です。テレビ朝日で30年間、「題名のない音楽会」などの制作・プロデュースを行い、藝大へ移ってからの13年間も一貫してコンサートの企画制作に携わってきました。

 

今回のプロジェクトでは、太平洋戦争で戦地に赴き、命を落とした音楽学生の作品を発掘・調査し、現代によみがえらせます。

 

戦没学生の作品の発掘調査は既に始まっています。みなさんのお力をお借りして、藝大の130年の歴史を今一度振り返り、末永く活用されるアーカイブの構築を目指します。そして、志半ばで戦地へ行かざるを得なかった彼らの、遺言ともいえるメッセージをコンサートやパネル展示で多くの人に届けてまいります。

 

さらには、今回のプロジェクトがきっかけとなり、地方の大学とも連携した調査・研究が進み、記録にも記憶にも残らない戦没学生たちの消息が明らかになっていけばいいと思っています。

 

東京藝術大学演奏藝術センター:大石泰

 

 

東京藝術大学130周年。戦地に赴き命を落とした学生たちが残した作品に命を吹き込む。

 

昭和18年、太平洋戦争の戦況は悪化の一途をたどり、それまで徴兵を猶予されていた学生たちが戦場に駆り出されることになります。いわゆる学徒出陣の始まりです。

藝大の前身である東京音楽学校、東京美術学校の学生たちも例外ではありませんでした。繰り上げ卒業で戦地に赴き、命を落とす学生たちが続出しました。彼らが遺した作品は未熟かもしれませんが、その一つ一つが遺言ともいえるもので、強いメッセージを訴えかけてきます。

 

明治23年に落成した東京音楽学校の新校舎(大学史史料室所蔵)

 

東京美術学校の作品については、ご自身も出征し、後に藝大美術学部教授になられた画家・野見山曉治氏が、「信濃デッサン館」館主・窪島誠一郎氏と一緒に全国の戦没画学生の作品の蒐集にあたり、それは戦没画学生慰霊美術館「無言館」の設立となって実を結びました。

 

東京美術学校の戦没画学生の自画像
(左:日高安典、右:久保克彦)写真提供:無言館

 

一方、東京音楽学校については、元々男子学生が少なく、しかも美術のように目に見える形で作品が残るわけではないので研究が立ち遅れ、戦時中の作品に光が当てられることはほとんどありませんでした。しかし一昨年、戦後70年を機に少し風向きが変わり、村野弘二さんと鬼頭恭一さんという2名の東京音楽学校作曲科の出陣学徒がマスコミに取り上げられました。

 

その時、彼らの曲が本学奏楽堂でも演奏されましたが、それは持ち込まれた楽譜を演奏したのみで、藝大自らの研究成果の発表といえるものではありませんでした。やむを得ないこととはいえ、母校の学生を戦地に送った大学として、彼らの消息を調査することは当然の責務ではないでしょうか。その調査はすでに始まっており、藝大130周年の節目は、たとえ途中経過であっても、その成果を世に問ういい機会ととらえています。

 

童謡「夕焼小焼」の作曲者・草川信さんのご長男、草川宏さんの授業ノート(草川誠氏所蔵)
東京音楽学校出身で戦死されています。

 

美術作品については「無言館」などそうした作品を展示する専門の施設で目にすることができますが、音楽の方は譜面とともに行方知らずになってしまうものがほとんどです。本プロジェクトはそうした音楽作品を発掘、演奏することで、社会に発信することを目的にスタートました。

 

ただこのプロジェクトは演奏会を行うことが最終目標ではありません。官立の唯一の音楽学校として、戦時下の学生が何を学び、どのように戦地に征ったのか。そしてある者は還ってきて戦後の活躍に至り、またある者は命を落とし記録からも記憶からも抹消されようとしています。そこをつかむのは、今しかないと考えています。

 

世の中の多くの人間が戦後生まれとなった今こそ、藝大の130年の歴史を今一度振り返り、演奏や研究等社会の要請に応えられ、末永く活用されるアーカイブを構築したいと考えています。

 

昭和18年10月21日
 明治神宮外苑競技場での出陣学徒壮行会で演奏する東京音楽学校生徒(大学史史料室所蔵)

 

 

 戦没学生 村野弘二さんの作品:オペラ「白狐」

ひとたび戦地へ赴けば、二度と戻ってくることができないかもしれない出陣学徒の思い。

 

大正12年生まれの村野弘二さんは、旧制神戸一中を卒業後、昭和17年、東京音楽学校予科に入学。翌年本科作曲部に進み、作曲を下総皖一に師事しました。岡倉天心の台本に基づくオペラ「白狐」の「こるはの独唱」は、彼が入隊する直前、出陣学徒の出演する「東京音楽学校第149回報国団演奏会」において初演されました。昭和18年11月13日のことでした。そしてその翌12月、陸軍通信隊に入隊し、やがてフィリピン・ルソン島北部の部隊に配属されました。

 

オペラ「白狐」は、美しい女性に変身した狐・こるはと人間の男性・やすなの「異類婚姻譚」です。第2幕で歌われる「こるはの独唱」は、愛する息子のために魔力を手離し、獣の姿となって森へ戻らなければならなくなるこるはの心情を切々と歌い上げた名曲です。ひとたび戦地へ赴けば、二度と戻ってくることができないかもしれない出陣学徒の思いが、こるはの心情にピタリと重なります。

 

村野さんが出征したフィリピン・ルソン島で、日本兵たちは、飢餓と伝染病に悩まされます。山岳地帯をさまよう中、多くの兵士が命を落とし、村野さんもマラリアに罹ってしまいます。そして衰弱した村野さんは、最後に拳銃で自決する道を選びます。時に昭和20年8月21日、なんとそれは終戦から6日後のことでした。

 

この作品について、東京音楽学校で同期だった作曲家・團伊玖磨は「日本人の作曲としては珍しい傑作」と高く評価し、遺稿が残っていれば自分で補筆完成させたかったと語っていたというエピソードが残されています。

 

昭和18年11月15日 出陣学徒仮卒業式(大学史史料室所蔵)
 後列右から3番目が村野弘二さん、4番目が鬼頭恭一さん

 

 

戦没学生の音楽作品の調査・発掘。譜面を整え、実際の音としてよみがえらせるコンサートを開催します。

 

今回のプロジェクトは、皆さまからご支援をいただいて、戦没学生の作品を中心として戦時下の学生たちの芸術活動に焦点を当てます。調査・発掘した戦没学生の作品のアーカイブを構築することに加え、シンポジウム&コンサート、そしてパネル展示を行い、広く届けていきたいと思っています。

 

コンサートも演奏のみではなく、作品とその時代背景についての解説や、現役の学生も参加するトークも交え、志半ばで創作を断念せざるを得なかった学生たちの心情にも思いをはせます。

 

 大学史史料室での譜面調査の様子

 

 

■ 戦没学生の音楽作品の調査・発掘のプロセス

 

戦没学生の音楽作品の調査・発掘は、大学史史料室の橋本久美子先生が中心になって行っています。まず大学に残っている卒業名簿などの記録から、当時の学生たちの消息を調べ、その学生が戦没者だと判明したらご遺族を探します。

 

ただご遺族が見つかったとしても、なにしろ70年以上も前のことですから、当時の譜面などは散逸してしまっていることがほとんどです。運よく譜面が見つかるのは親族、親戚の中によほど理解のある方がいる場合だけです。

 

卒業名簿などが掲載された「東京音楽学校一覧」

 

また、楽譜が発見されても、長い年月を経ているために判読不能だったり、ページに欠落があったりすることも度々です。メモや下書き、断片なども多く、それらをつなぎ合わせて作品の全体像を推測するためには、当然高度の音楽的知識も必要になってきます。そのように作品の背景を知るには、譜面以外の書簡や個人の日記も大変参考になるので、そういうものもある場合にはお借りしてきます。

 

童謡「夕焼小焼」の作曲者として有名な草川信さんのご長男、草川宏さんが東京音楽学校出身で戦死されています。この宏さんの弟さんの所在が分かり、つい先日その方のお宅にお邪魔して大量の楽譜とさらに宏さんの日記もお借りしてきました。現在整理中で、今回の演奏会でも宏さんの「ピアノソナタ」を取り上げる予定です。

 

大学史史料室での譜面調査

 

 

■ イベント概要

 

【開催日】2017年7月30日(日)

 

【プログラム】

 

●シンポジウム(11:00~13:00) 於第6ホールor5-109教室 入場無料

 

パネリスト:

西山伸(京都大学教授)、橋本久美子(大学史史料室非常勤講師)他予定

 

学術的に戦没学生を扱うことの意義と史料のアーカイブ化の重要性をテーマに、藝大アーカイブにおける現状報告、他大学の例、現時点での課題などを整理し提示する。野見山暁治氏、大中恩氏といった実際に出征体験を持つ卒業生の貴重な証言も紹介。

 

 

●トークイン・コンサート(14:00~17:00)

於奏楽堂 2,000円(全席自由)

 

演奏曲目:

葛原守 歌曲《犬と雲》《かなしひものよ》

草川 宏 《ピアノソナタ》、歌曲《黄昏》

鬼頭恭一 歌曲《雨》、ピアノ曲《鎮魂歌》《アレグレット》

村野弘二 オペラ《白狐》より第二幕独唱他

 

演奏:

永井和子(メゾソプラノ)、森裕子(ピアノ)他

 

トークゲスト:

澤和樹(東京藝術大学学長)、小鍛冶邦隆(音楽学部作曲科教授)、

佐藤道信(美術学部芸術学科教授)他予定

 

演奏だけでなく、作曲家についての解説、曲の批評などトークと演奏が一体となった構成とする。また当時の学生の日記の一節を朗読する、あるいは野見山暁治氏や大中恩氏など、実際に出征経験を持つ方々の貴重な証言も紹介する。現在の学生たちにもトークに参加してもらい、学業半ばで戦地に赴かなければならなかった当時の学生たちの思いを共有してもらう。

 

オペラ「白狐」の演奏(メゾソプラノ:永井和子、ピアノ:森裕子)
平成27年7月27日(月)第1回音楽学部オープンキャンパスにて

 

 

●パネル展示(開場時間10:30から終演まで)

第6ホール前、奏楽堂ホワイエなど

 

・戦没学生の作品の譜面、日記などの資料

・学徒出陣壮行会、東京音楽学校・東京美術学校授業風景などの写真パネル

・「無言館」に収蔵されている戦没画学生の作品画像の上映

 

「村野弘二作曲 オペラ「白狐」第2幕自筆譜」
平成27年9月 大学史史料室における藝祭期間中の展示

 

 

今まで埋もれていた資料を発掘することで、戦時下の芸術状況がより明らかになる。

 

今回のプロジェクトは、藝大の前身である東京音楽学校、ならびに東京美術学校のみを調査対象としたものですが、もちろん学徒出陣は全国的に行われていました。これを契機に地方の大学とも連携した調査・研究が進むことにより、記録にも残っていない戦没学生たちの消息が明らかになる可能性もあります。

 

戦争中の記録は失われているものも多く、その実態を解明するにはさまざまな困難を伴うものですが、今回のプロジェクトはそのささやかな第一歩となることを確信しています。

 

鬼頭恭一さんの東京音楽学校校章と海軍帽章(佐藤明子様ご提供)

 

ご支援金の使途について

❏ 資料調査費   
❏ 楽譜制作費  
❏ 出演料  
❏ 舞台美術費    
❏ 展示会場設営業者委託費   
❏ 展示パネル制作費   
❏ 展示・進行スタッフ人件費    
❏ 会場整理人件費    
❏ 技術料   
❏ 音源制作費   
❏ 印刷費    
❏ 通信費   

❏ その他諸経費

 

ご支援いただいた方へのお礼(リターン)

 

■ 3,000円【戦没学生の音楽史料を未来へ:アーカイブ化を応援】

 

♦演奏藝術センターから感謝の気持ちを込めて御礼状

♦オリジナルクリアファイル

♦「東京藝大アーカイブ友の会」会員証(会員番号付き) アーカイブ活動の精神的なバックアップを担っていただきます。 会員様には今後のアーカイブ活動の報告を適宜配信いたします。

 

 

■ 10,000円【戦没学生の音楽作品に命を吹き込み、彼らのメッセージをお届けします】  

 

3,000円のリターン(①御礼状、②オリジナルクリアファイル、③「東京藝大アーカイブ友の会」会員証)

♦コンサートの音源データ または、コンサートにご招待いたします。

*2017年7月30日(日)開催。詳細は、プロジェクトページをご覧ください。

 

 

■ 30,000円【アーカイブ研究の舞台裏をお楽しみください】

 

10,000円のリターン(①御礼状、②オリジナルクリアファイル、③「東京藝大アーカイブ友の会」会員証、④コンサートの音源データ または、コンサートへご招待)

♦大学史史料室の解説付き見学会(1回の人数制限あり)*日時は別途調整いたします。 ご参加いただけない方には、イベントの裏話(たとえば、楽譜はあっても演奏会で取り上げない曲についてなど)をデータでお送りします。

 

 

■  50,000円【演奏藝術センターのコンサートをお楽しみください】  

 

30,000円のリターン(①御礼状、②オリジナルクリアファイル、③「東京藝大アーカイブ友の会」会員証、④コンサートの音源データ または、コンサートへご招待、⑤大学史史料室の解説付き見学会 または、イベントの裏話(たとえば、楽譜はあっても演奏会で取り上げない曲についてなど)をデータでお送りします。)

♦当日のコンサートプログラムにお名前を掲載(ご参加いただけない方には郵送いたします。)、さらに演奏藝術センター主催のお好きなコンサートに3回までご招待いたします。

 

 

■ 100,000円【大学史史料室が提供するスペシャルなコンサート】  

   

50,000円のリターン(①御礼状、②オリジナルクリアファイル、③「東京藝大アーカイブ友の会」会員証、④コンサートの音源データ または、コンサートへご招待、⑤大学史史料室の解説付き見学会 または、イベントの裏話(たとえば、楽譜はあっても演奏会で取り上げない曲についてなど)をデータでお送りします。、⑥当日のコンサートプログラムにお名前を掲載)、さらに演奏藝術センター主催のお好きなコンサートに3回までご招待

♦大学史史料室の貴重資料を活用した特別なコンサートにご招待。

 

 

税制上のメリットについて

 

■個人の寄附の場合:

個人で2,000円以上の寄附をされた方は、本学の発行した寄附金領収書を添えて確定申告を行うことにより、以下の措置が受けられます。

 

(所得税)

下記の金額が、その年の所得税の課税所得から控除されます。

課税所得の控除額=寄附金額(所得の40%を上限)-2,000円

 

(住民税)

所得税のほか、次の自治体にお住まいの方は住民税が一部控除されます。

・東京都足立区、神奈川県横浜市にお住まいの方

都道府県民税の控除額:(寄附金額-2,000円)×4%控除
市区町村民税の控除額:(寄附金額-2,000円)×6%控除
…合計10%

・東京都、神奈川県にお住まいの方

都道府県民税の控除額:(寄附金額-2,000円)×4%控除
…合計4%

※確定申告を行わない方は、上記自治体に住民税の申告を行っていただく必要があります。

 

■法人の寄附の場合:

寄附金は、全額損金に算入することができます。

 

【参考】文部科学省ホームページ「寄附金の税制について」

 

 

寄附金領収書の発行について

 

本学にご寄附いただきましたら、後日「寄附金領収書」を送付いたします。確定申告の際、証明書としてご活用ください。

 

■領収書名義:

Readyforアカウントにご登録の氏名を宛名として作成します。

■領収書発送先:

Readyforアカウントにご登録の「リターンの発送先ご住所」にお送りします。

■寄附の受領日(領収日):

Readyforから本学に入金された日となります。

■領収書の発送日:

12月ごろを予定しています。発行までお時間をいただきますが予めご了承願います。

 


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