プロジェクト概要

【ネクストゴール達成の御礼(4/24追記)】

 

昨日、ネクストゴール目標金額を達成し、ただいま90万円を超える資金をいただいております。

 

ご支援、ご協力、応援してくださった皆様、ありがとうございます。心より感謝申し上げます。

 

より多くの患者さんに診療を提供し、精神科医療の必要性を実感してもらうことで、現実的なところから、ギニアの精神科医療の現場を少しずつ変えていきたいと思っています。

 

これから、メンバー全員で一丸となってこのプロジェクトに取り組んで参ります。

 

あと1日ほど募集期間があります。最後まで、そして今後とも、どうかよろしくお願いします。

 

 

人口1200万人の国・ギニアには、精神科医が5人しかいません。

 

猪股晋作と申します。精神科医として佐賀県の国立病院で勤務したあと、2015年10月から外務省医務官として西アフリカのギニア共和国に赴任しています。

 

ギニアには、国内に精神科医が5人しかいません。では精神科疾患の罹患者が少ないかといえばそのようなことはなく、ほとんどが無治療で放置されている状態です。中には、非人道的な拘束や隔離を強いられている患者さんも多くいます。そもそも精神疾患への認知が低く、国としても精神科医養成に割ける予算は限られています。

 

メンバーの木村麻衣子による手洗い習慣を伝える活動

 

そこで私たちは、内科、産婦人科、小児科など精神科以外を専門とするギニア人医師たちが、精神疾患も診療できるように養成する独自のプロジェクトを立ち上げました。

 

より多くの患者さんに診療を提供し、精神科医療の必要性を実感してもらうことで、現実的なところから、ギニアの精神科医療の現場を少しずつ変えていきたいと思っています。

 

今回は、そのための「精神科外来」の施設賃料、現地医師向け講習会の開催費、そして患者さんへの薬代補助のための資金を集めます。

 

産婦人科ジャロ医師(写真右)を主治医とし、精神科バリー医師(写真中央)が指導を行う。

 

世界の疾病の14%が精神疾患。そのうち75%は中低所得国で起こっています。

 

赴任後に見たギニアは、想像以上に「日本とまったく違う国」でした。アフリカの中でも貧困が著しく、国民の平均月収は1万円程度。ほとんどの人は、1日100円以内で生活しています。

 

しかし環境は違えど、日本と同じように、ギニアにも多くの精神疾患の患者さんがいます。例えばWHOによると、ギニアの人口の3.9%がうつ病に、2.7%が不安障害に罹患しています詳しい資料はこちら。これにアルコール依存症、薬物依存症などを加えると、精神疾患の患者数は100万人以上になると推計されます。

 

日本での有病率は、うつ病4.2%、不安障害3.1%なので、先進国との間に発症率の大きな差はありません。

 

 

ところがギニアでは、ほとんどの患者さんは、まったく未治療のまま、もしくは伝統的祈祷師のもとに通いお祈りを受けています。伝統に基づくそうした文化を一概に否定するものではありませんが、統合失調症、うつ病、大麻や覚醒剤の依存症など薬物治療が必要なケースでは、当然改善することはありません。

 

そして、そもそも精神科医が国中でたった5人しかいません。入院のためのベッドも国立病院に10床あまりで、その部屋も野外と交通していて埃が入る、非常に不衛生な環境です。病床不足で入院できず、自宅で手足に鎖を繋がれ監置されている患者さんもいます。

 

手術台ですら、このような状態です。

 

政府、WHO、NGOなどによる支援は、まず感染症や母子保健への対策に重きがおかれ、確かにそれは正しく当然のことと私も思います。国の発展が進めば、徐々にそれらへの対策も考えられていくでしょう。

 

しかし、現に今、精神疾患に苦しむ患者さんがたくさんいます。数年、数十年先の公による対策を待つのではなく、「今の困難」に対応したい、という思いが今回のプロジェクトのきっかけです。

 

精神科医をゼロから育てるよりも、現実的な近道を。

 

私たちは、精神科医の数を増やして対応するのではなく、内科、産婦人科、小児科など精神科以外を専門とするギニア人医師たちが、「精神疾患も診療できる」ように養成するプロジェクトを立ち上げました。

 

具体的には、下記2つに力を入れて取り組んでいます。

 

①講習会の開催

1年前から、定期的に、精神医療に関する講習会を開催しています。約20名の医師達が継続的に参加しています。

 

各科の医師を集め、精神科についての講習会を開催

 

②精神科外来の開設

数少ないギニア人精神科医による外来(毎日夕方~夜。医師が通常勤務を終えた後に診療を行っている)と、講習を受けた医師たちを主治医とする外来(現在2週間に1回。今後、週1回に増やす予定)の2つを開設しています。

 

対象は、軽度~重度の、薬があれば軽快して、入院まで至らない人たち。病状診断と、適切な薬の処方を行っています。なかなか病床に空きがない国立病院からも、患者さんが流れてきています。今は常に20名以上が予約待ちの状態です。

 

こういった取り組みはもちろんギニアでは初めてで、患者さんたちからも非常に好評を得ています。診察待ちの際に家族同士が仲良くなって、お互いが抱えこんでいた悩みを相談する場面もみられます。

 

診察の様子。猪股(写真左)

 

《現場のカルテから》
シラ・ジャロさん(23歳、男性、統合失調症)

 

15歳頃から、「頭の中で誰かが話す声が聞こえる」という幻聴が出現するようになり、統合失調症を発症。友達にも相談していたものの、信じてくれる者はおらず、世界で一人だけのような感覚を抱く。

 

最近では、「今一緒に暮らしている両親は、本当の両親ではない」「私が本当のお父さんです」といった男女の声の幻聴が一日中続くように。時々「家の外へ出て行け!」など命令するような幻聴もあり、そういったときは無目的に一日中野外を歩き回っていることもある。不眠症状も強く、本人によれば2~3日全く眠れない日もある。
 

2017年12月9日。初めて外来を受診。表情が固く、目線をほとんど合わせない。思考障害のため会話のスピードも非常に遅い状態であった。統合失調症と診断され、同日より薬物療法を開始。

 

12月23日。やや睡眠が取れるようになったものの著明な改善はなかった。

 

2018年1月6日。笑顔を見せながら話すようになり、付き添いの母によると、近所の友達とにこにこしながら遊ぶようになったという。


今後、ギニアが経済発展すれば、精神科にも予算が向けられていくでしょう。ただ、今から十分な対応をしておくことで、現在の日本で問題となっているような問題(過剰な精神科入院病床数、年単位に及ぶ長期入院、隔離や身体拘束……)を未然に予防することにも繋がります。

 

患者とその母(写真左から2,3番目)

 

今後は、NPO化して継続的な活動を目指します。

 

今回は、その精神科外来の診療所の賃料と、講習会の開催費、そして患者さんへの薬代補助のための資金を集めます。

 

これまでは、診療所の賃料はギニア人医師が自費で借りていました。講習会は大使館で開催するので会場費は無料ですが、昼食代など雑費を私が負担していました。ただ、自費でまかなっていこうと思うと、活動として継続しづらい面があります。

 

さらに、プロジェクトを始めて明らかになってきたのは、月に3500円ほどかかる薬代が、患者さんの家計(平均月収が1~2万円)を非常に圧迫しているということです。

 

■ご支援の用途(現時点予定)

 

・外来診療施設の賃料 月額12,000円×6ヶ月=72,000円
・講習会の開催費用 5,000円×6ヶ月=30,000円
・薬代の補助 3,500/月/人×6ヶ月×50人×50%=525,000円

計:627,000円

 

※今回はまず、この一部を集めます。

※いただいた御支援の使途については、後日HPなどで公表します。
※来院した患者数、病名ごとの内訳、治療後の転帰(軽快、不変、悪化など)などについても明確にし、支援者のみなさまへのご報告・学術誌への掲載も予定しています。

 

今後は、継続的な支援ができるように、現地の方も巻き込んでのNPO申請も同時に進めています。私自身は任期がある身ですが、NPO立ち上げ後の資金管理や運営は現地の人々に任せていきます(日本に戻ってからも休暇などを利用して訪問する予定)。

 

精神科医療の不足は、ギニアだけの問題ではありません。(表①ーアフリカ各国の精神科医数)ただ、アフリカの中でも貧困問題の顕著なギニアでこのプロジェクトを成功させることができれば、他のアフリカ諸国におけるロールモデルとなります。

 

アフリカ全体における精神科医療の変革を目指し、まずはここギニアから始めたいと思っています。

 

どうかご支援、よろしくお願いいたします。

 

講習会には約20名の医療職が参加している

 

プロジェクトメンバー紹介


■木村麻衣子
介護福祉士。現在は放課後等デイサービスにて勤務。ギニア共和国キシドゥグ県にて、おにぎり作りを通して地域の人に手洗いの必要性を伝えるプロジェクトを行った。多くの人にギニアを知ってもらうべく、親子で出前授業や地域国際交流の場で情報発信を行っている。子ども食堂などのボランティア活動も併行して行い、ギニアと日本、両方の問題に取り組んでいる。

 

■武岡敦之
日本で開業医として勤める内科医。地域医療に取り組むと共に、長崎大学客員研究員としてメンタルヘルスと身体的疾患の関連について疫学研究を行なっている。猪股医師とは大学時代からの友人で本プロジェクトに賛同。医学博士。総合内科専門医。

 

■猪股晋作
精神科医。西アフリカのギニア共和国にて、外務省医務官として勤務。前職では、国立病院機構肥前精神医療センターで、社会精神医学研究室室長として地域精神科医療に関する研究などを行っていた。長崎大学医学部卒。精神保健指定医。

 

■マリアマ・バリー
ギニア保健省所属で精神科行政を担当する精神科医。同国における精神科医や施設の不足による未治療患者の問題に行政官として取り組む一方、以前よりボランティアとしてクリニックを開設し、診療にあたってきた。最近は、違法な大麻使用による後遺症患者が増加していることに特に危機意識を持ち、行政と臨床の両方から対応を行っている。

 

■ファティマトウ・ジャロ
産婦人科医。普段は、首都コナクリ市内のフランボヤ区公立病院にて勤務医している。以前にJICAの援助による研修で、旭川医科大学にて研修を行った経験がある。

 

■アブジャライ・ジャロ
小児科医。コナクリ市内のラトマ区公立病院に所属(写真右)。本プロジェクト当初より参加し、講習会の際の医師たちの取りまとめも行っている。

 

■ハビバトウ・ソワレ

看護師。臨床や、救急外来でも多くの精神疾患患者を見るが、日常的に対応に困っていた。病院でない場面でも、近所で薬物依存症の患者を多く見かけるなど問題意識を持っていた。


最新の新着情報