カンボジア人の若手演奏家を世界水準へ！オペラ「蝶々夫人」開催

今回のオペラではオーケストラの演奏部分を、なんとたった一人でエレクトーンで表現します。それは想像を超える技で、私自身、何度聞いても圧倒され、その熱量は言葉に出来ません。是非みなさんにも、実際にお聴きいただきたいです！

そんな素晴らしい技を披露してくださるエレクトーン奏者の清水のりこさんから、本プロジェクトへの想いをメッセージしていただきましたので皆さんへお届けします！

 

【カンボジアへの想い】 

 

〈初めてのカンボジア〉

2013年にオペラ歌手の小川里美さんにお声がけいただきシェムリアップとプノンペンで演奏したのが、初めてのカンボジアでした。 そこでは王族や上流階級の方々の前での演奏会もありましたが、何より私の心に残っているのは、小学校や日本語補習校、日本語学校、孤児院の子供たちへの演奏と学生向けのワークショップでした。

 

シェムリアップの日本語学校で。カンボジア人クラリネット奏者のソムナンさんと。

 

シェムリアップの小学校で。子供たちのキラキラした瞳が忘れられません。

 

演奏すると子供も大人もまずは「何か凄い、面白いモノがやってきた！」という驚きと歓声。一心に真っ直ぐ見つめる子、身体を揺らしてリズムをとる子、沢山の音色が出ることに大きな反応を示す子、全ての事が新鮮で不思議そうでした。

人の声には更にびっくり！何処からそんな大きな声が出るの？何故こんなに声を長く伸ばせるの？

 

決して子供向けの曲を演奏した訳ではないのに、子供たちは全身で音を感じて、とびきりの笑顔を私達に向けてくれました。

昔の日本もこうだったのだろうなぁ。

子供たちのピュアな反応に私も幾度も感激して涙を抑えていました。

 

王立芸術大学や職業訓練校の学生さんへのコンサート/ワークショップの後には、沢山の学生がエレクトーンを囲んで質問を。弾きたい気持ちはあれども皆さん控え目でした。

 

日本大使館主催の演奏会でも、大きな歓声と拍手。涙を流すお客様もいて、最後は皆さんスタンディングオベーション。演奏する私の目にも涙が溢れていました。

 

音楽は人を笑顔にする…この国のために出来ることをやりたい、また必ずカンボジアへ。

その願いは6年後 2019年6月に叶いました。

 

〈6年後のカンボジア〉

再訪は今年6月。カンボジアは経済発展と共に街並みも変化し、同時に音楽も以前より生活の中に入っているように見えました。

私たちは今回の蝶々夫人の公演を知っていただくために7日間で9回のチャリティー演奏を行いました。

 

クラタペッパーでのチャリティーコンサートで、物販されていたおじさんが「この曲知っている？」と歌いだされたのは日本の歌謡曲。即興で伴奏を付けて2曲、楽しい時間でした。皆さん歌が好きなのですね。

 

イオンモールでのデモンストレーション後、客席の子供たちも舞台へ。

 

王立芸術大学でのワークショップでは、演奏を楽しむ学生さんも。とても生き生きとした表情で気持ち良く演奏されました。

 

6月のコンサートでは日本カンボジア文化振興会が支援されている2人の若手演奏家と共演しました。 お2人にとっては新曲、未知の楽器との共演、短期間でのリハーサル等、さぞかし不安もあったことでしょうが、本番を重ねる毎に2人の演奏はメキメキと上達し、特にヴァイオリンのピスットさんは 編曲した楽譜の難易度を徐々に上げていき、終いには自信を持って余裕の「音楽家」の表情で演奏を楽しんでいました。

 

最後のコンサートでは2人ともここ1番の演奏をされました。その時のやり遂げてホッとした表情、達成感のある表情は私たちの胸を打つものでした。

 

11月の蝶々夫人は物語の要所要所でピスットさんが美しい旋律を演奏されます。前回よりも難易度が高くなりますが、彼の音楽への情熱と努力で きっとやり遂げられると確信しています。

 

皆さま、応援をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

清水のりこ　エレクトーン

 

福岡県出身。’92年電子オルガンコンクール全国大会グランプリ。クラシックのエレクトーン演奏家として、これまで国内外で電子オルガンのための現代音楽作品、１台のエレクトーン伴奏によるオペラ、協奏曲、他ジャンルとのコラボレーション等を数々手がける。
日本作曲家協議会主催「日本の作曲家」、「JFC Independent」、日本現代音楽協会「現音　秋の音楽展」、「現代の音楽2014」、日本作編曲家協会「The Chorus PlusⅡ、Ⅲ」、他の演奏会に出演し、邦人作曲家による電子オルガン・オリジナル作品、電子オルガン伴奏合唱新作の演奏を行う。
海外では1997年アメリカCarnegie Hallにて邦人作品を演奏、ニューヨーク「Concert Review」誌に”Virtuoso”と評された。2002年韓国、日韓サッカーワールドカップ・プレ芸術公演「日韓　伝統舞踊と現代音楽の夕べ」、2010年上海ＩＳＭＥ「アジアの電子オルガン演奏家によるコンサート」、2013年、日・カンボジア友好60周年にあたる「日・ASEAN友好協力40周年記念演奏会」等に出演。
近年では「三枝成彰　映像音楽の世界」、オペラ「Jr.バタフライ」、「ギンザめざましクラシックス」、日本作編曲家協会「The Chorus Plus」など数々の演奏会に出演、繊細で豊かな表現と高い演奏力、エレクトーンで創り出す世界観に定評がある。2016年春、歌舞伎役者　五代目中村雀右衛門丈との「切支丹道成寺（ハイライト）」がBSジャパン「日経スペシャル　招待席」にて放映された。2017年秋、三枝成彰作曲・新作オペラブッファ「狂おしき真夏の一日」にて演奏。