カンボジア人の若手演奏家を世界水準へ！オペラ「蝶々夫人」開催

本番まで残り半月になり、急ピッチで細かな最終調整が進んでいます。

そして、今回の主役、蝶々夫人役の小川里美さんからメッセージをいただきました。実は、私と小川さんは大学時代、一緒に学生オペラを企画するメンバーでした。当時はこのようにプロの舞台をカンボジアへお届けできるなんて夢にも思いませんでしたが、小川さんからのメッセージを読んで、私自身、今までの道のりを思い出し、さらに前に進む勇気が出ました！みなさんにも「良いものを届けよう」という気持ちが伝わりますように・・・。

 

【小川里美さんからのメッセージ】

2009年にイタリアでオペラデビューをしてから10年が経ちました。色々な国や色々な場所で演奏してまいりましたが、カンボジアでの演奏を通して沢山のことを学ぶことができました。私がなぜ歌を歌っているのか、何を歌いたいのかという演奏家としての根源に関わる学びでした。

 

カンボジアでの演奏は2013年から始まりました。きっかけは、カンボジアに住んでいる大学の同級生・池田尚子さんです。彼女は大学の卒業後、青年海外協力隊の活動でカンボジアに赴任し、以来カンボジアに住み、現在は音楽教室を経営しています。

 

演奏会を開催し、収益や寄付金をカンボジア人の演奏家支援のために使用するという目的ですが、同時に、本物のクラシック演奏に沢山の人に触れてもらいたいという想いを基に、現地の音楽学校や公立学校、イオンモールなどでも繰り返し演奏をしてきました。子供達のキラキラとして澄んだ目を見ていると、こちらがかけがえのないギフトをいただいているのだという気持ちになります。

 

今回は銀座のヤマハホールを中心に行なっていた、エレクトーン伴奏によるオペラのハイライト演奏を初めてカンボジアに持っていきます。お稽古はとても順調で、キャストの一人一人の魅力が伝わる舞台になると思います。私自身はどうしてもカンボジアで着物を着て歌いたくて、着物の着付けを勉強しました。

カンボジアは、池田さんが住み始めた約20年前と今を比べると、様々なことが変わったと思います。私が通い始めた6年前と比べても、人々にも環境にも良い変化が沢山あるように感じます。私たちの演奏を見た方々が、演奏や演奏家という職業を知り、更にはカンボジア人演奏家の為の演奏の機会や雇用の提供などができるように、今後も長くお手伝いをできたらと思っています。 沢山のご声援とご支援を賜り、一同一層励んでおります。今後共温かく見守っていただけたら助かります。

 

 

 

 

小川里美　ソプラノ

 

東京音楽大学音楽学部音楽学科声楽演奏家コース卒業。同大学院音楽研究科修士課程修了。在学中に留学生特別奨学金を得てオーストリア・ザルツブルグに留学、モーツァルテウム国際サマーアカデミーにおいてディプロマ修了。新国立劇場オペラ研修所６期生修了。
2006年に文化庁新進芸術家海外留学制度奨学金を得てイタリア・ミラノに留学。現在はアジア・ヨーロッパで演奏活動を行ない、日本国内のみならず欧米での活躍も期待されるソプラノ歌手であり、高い音楽性と抒情的な声は国内外のマエストロから信頼されている。
2009年トゥーランドット国際コンクール優勝者。
これまでにソリストとしてNHK交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、読売日本交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢、大阪フィルハーモニー交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、九州交響楽団などと共演、指揮者では井上道義、広上淳一、大友直人、山田和樹、飯守泰次郎、佐渡裕、ケリー・リン・ウィルソン、アントニオ・ピロッリの各氏らと共演した。
2009年、シャネル・ピグマリオン・デイズ参加アーティストとして１年間定期的にリサイタルを行い注目を集めた。2010年3月には、在トルコ日本国大使館の招聘によりトルコ国内４ヶ所で演奏を行い地元メディアに多数取り上げられ、同年９月には再度招聘を受け演奏会を行なった。
その他2011年1・2月には東京・京都で行なわれたマスカーニ「イリス」にタイトルロールで出演し、可憐な舞台姿と情熱的な歌唱で絶賛を受けた（東京：読売日本交響楽団、京都：京都市交響楽団）。
2011年７・８月にはイタリア・トッレデルラーゴにおける第57回プッチーニ音楽祭に「トゥーランドット」のリュー役で出演、シモネッタ・プッチーニから賛辞を受けた。
2012年4月にはジェノヴァ・カルロ・フェリーチェ歌劇場にＭ・デヴィーア氏のダブルキャストとしてリュー役で出演した。同年、日本ではマーラー交響曲第２番（日本フィルハーモニー交響楽団）ならびに第８番、ベートーヴェン交響曲第９番（大阪フィルハーモニー交響楽団）、「カルメン」ミカエラ役（オーケストラアンサンブル金沢・仙台フィルハーモニー）などに出演した。
2013年三枝成彰氏の新作オペラ「KAMIKAZE」に土田知子役で出演、難役を高い完成度で歌い切り同氏の絶賛を受けた。また日生劇場50周年記念公演「フィデリオ」にレオノーレ役で出演、在カンボジア日本国大使館の招聘によりプノンペン・シェムリアップの二都市でエレクトーン伴奏によるコンサートを開催した。
2014年は「こうもり」ロザリンデ役（東京芸術劇場）、「ラインの黄金」ヴォークリンデ役（東京・春・音楽祭）、「コジ・ファン・トゥッテ」フィオリディリージ役（兵庫県立芸術文化センター）、藤原歌劇団80周年記念公演「ラ・ボエーム」ムゼッタ役などに出演。
2015年はNHKニューイヤーオペラコンサート、「メリー・ウィドウ」ハンナ役(東京芸術劇場)、「ワルキューレ」ゲルヒルデ役(東京・春・音楽祭)、「マクベス」マクベス夫人役（ひたち野外オペラ）、「仮面舞踏会」アメーリア役（藤原歌劇団）、東急ジルベスターコンサート等に出演しいずれも好評を博した。
2016年ー2017年はベートーヴェン「第九」(東京フィルハーモニー交響楽団)、「蝶々夫人」タイトルロール（東京芸術劇場シアターオペラ）、「ラインの黄金」ヴォークリンデ役（びわ湖ホール）、「神々の黄昏」ヴォークリンデ役（東京・春・音楽祭）、藤原歌劇団「ノルマ」タイトルロール、三枝成彰氏作曲による新作オペラ「狂おしき真夏の一日」フランシーヌ役に、2018年は「ワルキューレ」オルトリンデ役（びわ湖ホール）、「ドン・ジョバンニ」ドンナ・アンナ役（藤原歌劇団）、マーラー「千人の交響曲」（読売日本交響楽団／東京芸術劇場）等に出演。
藤原歌劇団団員。シャネル・ピグマリオン・デイズ参加アーティスト。