こんにちは、矢田@インドネシアです。

 

熱帯林の森の恵みを利用した生姜湯『Gulahe』の生産を支援するこのプロジェクト。この活動の目的は、単に生姜湯のパッケージを開発し販売を軌道に乗せる、ということだけではありません。村の人達が地域の森を保全し、持続可能な形で村の発展を目指す、というところから活動がスタートしています。

 

 

 

今回の記事から数回に分けて、その活動の全体像を記してみたいと思います。

 

これまでにもお伝えしてきたように、この活動は「グヌン・ハリムン・サラック国立公園」の中に暮らす人々によって実施されています。

この国立公園は、首都ジャカルタから最も近い国立公園のひとつでありながら、豊かな熱帯雲霧林と、そこに生息するヒョウやテナガザル、野生ランなどの希少種が存在し、インドネシアが世界に誇る貴重な自然保護区となっています。

 

ヒョウ

 

ワウワウテナガザル

 

希少種のラン

 

写真提供:グヌン・ハリムン・サラック国立公園管理事務所
© Balai Taman Nasional Gunung Halimun Salak

 

 

 

首都ジャカルタの南西に位置する標高1758mのハリムン山を中心とするこの国立公園は、インドネシアにおける自然保護の重要拠点として、4万ヘクタールの面積で1992年に設立されています。

その後、2003年には隣り合うサラック山を加えて面積を3倍近く拡大し、現在は11万3千ヘクタールの土地が国立公園に認定されています。東京23区の面積が620平方キロメートル(6万2千ヘクタール)ですから、その約2倍という広大な土地が、ひとつの国立公園として囲われていることになりますね。

 

 

 

 

豊かな生態系を保全し、国民の憩いの場ともなっている国立公園。その存在の重要性については誰しもが認めるところではありますが、国の自然保護政策や、国立公園の設立過程とその維持管理体制は、大きな問題を抱えていることも否めません。なかでも、国立公園と地域住民との関わりについては、最も大きな課題のひとつとなっています。


コモドドラゴンで有名な「コモド国立公園」など、インドネシアで最初の国立公園が設立されたのが1980年です。以来、この国の国立公園は、生態系の維持や調査研究を主な目的として管理されており、基本的に、人間活動によるインパクトを最小限に抑え、原生自然を保全することが重要視されてきました。調査研究以外では、動植物の繁殖や活動場所を限定してのエコツーリズムなどは実施されていますが、住民による耕作や居住などの人間活動は認められれていませんでした。

 

 

 

 

グヌン・ハリムン・サラック国立公園の原生林

 

 

 

しかし、その掲げられた目的とは相反するように、実際には国内に50ある国立公園の多くで、住民が暮らし、耕作地が広がっているのが現状です。各省庁間の連携不備もあって、一方で国立公園内に人が住んではいけないと定められ、一方では政府に登録された多くの村があり、道路や電力網などの生活インフラが整備されるなど、非常に矛盾した状態にあるのです。

 

 

国立公園内に広がる耕作地

 

 

 

グヌン・ハリムン・サラック国立公園もその例にもれず、現時点で300を超える集落が公園内に存在し、10万人を超える人々が日々の生活を営んでいます。

人間活動を禁じる国立公園管理政策と、その公園内に住む人々の暮らしの保証。この相反する問題がグヌン・ハリムン・サラック国立公園の抱える最大の問題であり、この国の自然保護政策上、早急な対応が求められている大きな課題のひとつとなっているのです。

 

国内のほとんどの国立公園で生じているこの問題に直面し、インドネシアの自然保護政策も大きな変化を迎えています。現実問題として、すでに国立公園内に住む人々を強制的に立ち退かせることは代替え地確保の面からも非現実的ですし、人道的にもあり得ない選択肢でしょう。折しも、住民参加による環境保全が世界的な大きなテーマになっている時勢、地域住民を排除するのではなく、地域住民の協力を仰いだ形での国立公園管理の在り方が模索されるようになってきています。
これまでの古い考え方に従った「人か自然か?」という二者択一ではなく、「人と自然の共生」という新たな方向性が必要とされているのです。

 

 

国立公園の植林活動に参加する村の人達

 

 

 

「READYFOR?」を通じて皆さんにご支援をお願いしているこのプロジェクト、「熱帯林の恵みで村おこし ヤシ砂糖を使った生姜湯を作ろう!」は、実はそうした背景のもとに実施している活動の一環です。

地域の人たちが国立公園の環境保全活動に参加し、同時にその森の恵みを利用して人々が暮らしていける仕組みを実現させたい! その目的の達成のために、先祖伝来この地で生産されてきたヤシ砂糖を使って、生姜湯の開発に取り組んでいます。

 

 

活動実施のための目標金額の120万円まで、あと22万4千円が足りません!
皆さんのお力をお借りして、何としてもプロジェクトを成功させたいと思います。
どうかご支援よろしくお願いいたします。

 

 

 

次回の記事では、これまでに実施してきた、地域住民による環境保全の取り組みについてご紹介したいと思います。

 

 

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