新しいドクターカーが走り出すまで、皆さまに情報をお届けしていきますが、クラウドファンディングの挑戦中の期間としては、いよいよ残すところ少しの発信になりました。

 

ストーリーには、必ずと言っていいほど裏舞台があるような気がしています。たくさんの努力や想いが合わさって奇跡のようなことが起こるのです。前回は、ページ文中の「男の子の命を繋いだ120kmの奇跡」の家族の想いをお伝えしました。

 

今回は、その当日の想いを看護師の視点から見つめてもらいました。限られた期間で多くの事例を紹介することは難しいですが、男の子と家族・医師・看護師の視点から、命を救うというその現場を少しでも感じて頂けましたら幸いです。

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長野県立こども病院小児集中治療室の看護師小林です。
私は、県内の基幹病院で成人の救急集中治療病棟で勤務していました。長野県立こども病院に移ってからは、早3年が過ぎようとしています。こども病院に移った当初は、こどもの対応や看護に不安がありましたが、徐々に重症の患者さんを担当したり、搬送へも1人で行くようになりました。

 

 

あの日の夜、ホットラインが鳴りました。「隣の新潟県にある上越市の病院からの要請で、喘息発作で状態が悪い。人工心肺が必要になるかもしれないが気管挿管できず、なすすべがない。」といった内容でした。

 

私達は急いで依頼元の病院へ向かいました。車中では北村医師が依頼元病院のスタッフと連絡を取り合って知り得た情報から、病院に着いてからどのような処置が必要かを話し合って準備をしつつも、“病院へ1秒でも早く着いて欲しい”という気持ちで一杯でした。


依頼元の病院に到着して患者さんを診ると、呼吸が苦しく意識が朦朧としており、ベッド上で身の置き所がない状態でした。そんな状況の中で不安で今にも泣き出しそうな母親が一生懸命に背中をさすり、声をかけているのをみて、「絶対に助けなくてはいけない」と思いました。

 

私達に気付いた母親は、「ここでは何も出来ないと言われました。この子死んじゃうんですか?」と聞かれました。「大丈夫ですよ。今は呼吸が苦しいので、眠らせてから処置をして呼吸を楽にしますね。」と声をかけて処置を開始しました。

 

気管挿管や胸腔ドレーンの挿入を行って呼吸の状態を改善して家族と再び面会された時には、ぐったりして家族の不安も強く感じましたが、「挿管できて良かった。今は寝ているんですね、呼吸も苦しそうじゃないし…本当に良かったです。」との言葉が聞かれました。

 

車中では、吸入の処置や鎮静の具合などに注意をしながら少しでも体の状態が改善できるように北村医師と話しあいながら搬送して無事にこども病院にまで戻ることができました。


しばらくの間は集中治療が必要でしたが、日に日に改善して一般病棟へ転棟する事ができました。後に患者さんに面会へ行くと母親から、「あの時の言葉に救われました。」と声をかけて頂いてとても嬉しく思いました。

 

この4月に小学校に入学することを伺い、あの日にホットラインが鳴って迎えに行けたこと、色んな困難に打ち勝ってしば君が元気になったことがとても嬉しいです。

 

時に不安で押しつぶされそうになる事もありますが、今回のような経験や、患者さんと家族の笑顔を見ることで更なる向上心にも繋がっています。これからも、多くのこどもの力になって家族の気持ちにも寄り添えるように頑張っていきたいです。

 

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