オブンガク堂cafeという活動を始めて、いつのまにか5年が過ぎました。

今でこそコドモとオトナというのが企画の柱になっていますが、実は始めは、大人向けのものとしてしか考えていませんでした。


当時、文学作品の面白さに味を占めていた私は、この面白さを自分の周りの人たちにも無理矢理にでも体験させ、その魅力を知らしめたいと企んでいました。(今思えば、なんて厚かましく、なんて迷惑なのでしょう…。)


しかし、劇場で上演しようとするととんでもなくお金と時間がかかる、今の私にその余裕はない!ということで、できるだけ経済的・時間的負担が少なくて済むことを考えました。

美術家も音響家も照明家も雇えやしないので、朗読スタイルの上演で、妻がピアニストであることをいいことに、効果音楽は生演奏のピアノにして(今思うと一番贅沢)、ただこのままでは作品の内容が重たすぎるから、だったらオヤツでもつけて文字通りお茶を濁そうか。


と言った具合に、実に消去法的、短絡的発想で企画の形式だけが決まっていったわけです。

記念すべき最初の作品は、
夢野久作原作の小説「死後の恋」と「支那米の袋」という二つの別々のお話を、私が一つに構成し直したものでした。
どちらの作品も第一次大戦後のウラジオストクを舞台にした、夢うつつな恋と愛と欲望のお話です。(まさに大人向け)

 

(お話の世界に合わせ、着物ではなくドレスを)

そこに生演奏のピアノ連弾で、スラブ舞曲や仮面舞踏会といったチャイコフスキーやラフマニノフ、ハチャトゥリアンなどのスラブ系・ロシア系作曲家のドラマチックな音楽を合わせました。


オヤツは知り合いにお願いして、お話のカラーに合わせて、苺と赤ワインの紅茶シフォンケーキ、コニャック入りの生チョコ、木の実のスノーボールクッキーを作っていただきました。



(苺と赤ワインの紅茶シフォン)


ご来店いただいたお客様は、最初は今まで体験したことのない世界に戸惑いながらも、次第に文学と音楽とオヤツの魅力と魔力にぐんぐんと引き込まれたようで、「初めての体験でドキドキしました。文学と音楽とオヤツ、相性ピッタリですね!」などの声をいただきました。

こうして、思いついたきっかけ自体は、やや残念ではありましたが、ブンガクとオンガクとオヤツの融合は見事に成功し、たった一日の開催にも関わらず、200名を超えるお客様にご来店いただき、大盛況のうちに幕を閉じることができたのでした。

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