【第10弾】歌舞伎や映画、フィルムがつないだ記憶を遺す。

支援総額

3,126,000

目標金額 2,500,000円

支援者
284人
募集終了日
2021年10月27日

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2021年10月25日 17:38

映画台本作品リストのご紹介その4(川又昻)

お早うございます。松竹大谷図書館の武藤です。

 

いよいよ募集終了までの残り日数も、カウントダウン表示の時計に切り替わりました!数字が1秒ごとに減っていくのを見ているとドキドキ致しますが、おかげさまで週が明けてからも振込によるご送金やご来館でのご支援など、絶える事なくご支援を頂いております。皆様のお気持ちを受け止め、最後まで一同頑張ってまいりますので、引き続き応援をよろしくお願い致します!

 

さて、1万円以上ご支援下さった方には、当館が所蔵する台本を保護する、スタッフ手作りのカバーにお名前を記載するというお礼をご用意しています。

 

※台本カバーの作り方については、こちらをご覧ください。
【「年間1,500冊以上」を整理!台本を保護するカバーの作り方動画】

 

今回は、10月18日19日22日の新着情報に続いて、映画台本作品リストの中から、撮影監督の川又昻の作品をご紹介します。

 

川又昻は、撮影監督として日本映画界に大きな功績を残した映画人です。1926年10月5日茨城県に生まれた川又昻は、早くより映画の道を志し、日本映画学校を卒業後1945年に松竹へ入社、以来長年にわたり多くの松竹作品で撮影監督を担当しました。

小津安二郎監督作品(※番号は台本作品リストの番号です)
123 『長屋紳士録』 1947年 小津安二郎(監督)※撮影部
124 『風の中の牝鷄』 1948年 小津安二郎(監督)※撮影助手
125 『晩春』 1949年 小津安二郎(監督)※撮影助手
126 『麥秋』 1951年 小津安二郎(監督)※撮影助手
127 『お茶漬の味』 1952年 小津安二郎(監督)※撮影助手
128 『東京物語』 1953年 小津安二郎(監督)※撮影助手
129 『早春』 1956年 小津安二郎(監督)※撮影助手
130 『東京暮色』 1957年 小津安二郎(監督)※撮影助手
131 『彼岸花』 1958年 小津安二郎(監督)※撮影助手

 

松竹入社後、川又昻はさまざまな監督の現場で撮影助手として働きますが、なかでも多く参加したのが小津安二郎監督でした。小津監督と長年コンビを組んだ撮影監督、厚田雄春の下で、1947年の『長屋紳士録』より1958年の『彼岸花』まで、『宗方姉妹』(1950年新東宝)を除く9作品に携り、小津監督の特徴であるローアングルの固定キャメラで撮影する映像作りを助手として支えました。

 

大島渚、高橋治監督作品(※番号は台本作品リストの番号です)
132 『明日の太陽』 1959年 大島渚(監督)
134 『彼女だけが知つている』 1960年 高橋治(監督)(※写真台本のタイトルは仮題)
135 『死者との結婚』 1960年 高橋治(監督)
136 『青春残酷物語』 1960年 大島渚(監督)
137 『太陽の墓場』 1960年 大島渚(監督)
138 『日本の夜と霧』 1960年 大島渚(監督)

 

1959年には撮影監督に昇進し、大島渚が監督した松竹の新人スター紹介映画『明日の太陽』を撮影後、野村芳太郎監督の『どんと行こうぜ』で劇映画第1作目を撮り本格的にデビューしますが、特に注目されるきっかけとなった作品は大島渚監督の『青春残酷物語』でした。松竹ヌーベル・バーグの代表作として知られるこの映画で、川又昻は躍動感溢れる情熱的な映像を生み出します。続いて『太陽の墓場』『日本の夜と霧』、そして後に直木賞作家となった高橋治の監督デビュー作『彼女だけが知っている』『死者との結婚』でも撮影監督を担当し、その斬新な作風から社会現象となった松竹ヌーベル・バーグの躍進に大きく貢献します。

 

野村芳太郎監督作品(※番号は台本作品リストの番号です)
133 『どんと行こうぜ』 1959年 野村芳太郎(監督)
139 『ゼロの焦点』 1961年 野村芳太郎(監督)
140 『背徳のメス』 1961年 野村芳太郎(監督)
142 『左ききの狙撃者 東京湾』 1962年 野村芳太郎(監督)
143 『あの橋の畔で 第1部』 1962年 野村芳太郎(監督)
145 『拝啓天皇陛下様』 1963年 野村芳太郎(監督)
146 『五瓣の椿』 1964年 野村芳太郎(監督)
148 『おはなはん 第一部』 1966年 野村芳太郎(監督)
149 『女の一生』 1967年 野村芳太郎(監督)
151 『白昼堂々』 1968年 野村芳太郎(監督)
153 『影の車』 1970年 野村芳太郎(監督)
154 『なにがなんでも為五郎』 1970年 野村芳太郎(監督)
155 『コント55号とミーコの絶体絶命』 1971年 野村芳太郎(監督)
158 『砂の器』 1974年 野村芳太郎(監督)
159 『昭和枯れすすき』 1975年 野村芳太郎(監督)
161 『八つ墓村』 1977年 野村芳太郎(監督)
163 『事件』 1978年 野村芳太郎(監督)
164 『鬼畜』 1978年 野村芳太郎(監督)
165 『配達されない三通の手紙』 1979年 野村芳太郎(監督)
166 『わるいやつら』 1980年 野村芳太郎(監督)
168 『疑惑』 1982年 野村芳太郎(監督)
169 『迷走地図』 1983年 野村芳太郎(監督)
170 『危険な女たち』 1985年 野村芳太郎(監督)

 

大島渚や高橋治が松竹を退社した後は、野村芳太郎監督作品の撮影監督として活躍していくこととなります。「キネマ旬報」2005年7月下旬号の「追悼特集 野村芳太郎監督」には、川又昻が野村監督の撮影監督を務めることとなった経緯が川又自身により語られています。「大島が「川又って面白いから」と、僕を野村さんに推してくれたみたいですね。」とあり、それまで決まったキャメラマンがいなかった野村監督に大島渚監督が川又昻を推薦し、『どんと行こうぜ』で初めて撮影監督を担当した、と書かれています。
以来、野村監督とのコンビで、1960年代から80年代前半にかけて多くの名作を世に送り出しました。『ゼロの焦点』『影の車』『砂の器』『八つ墓村』などのサスペンスものの傑作から、ハナ肇の喜劇「為五郎」シリーズやコント55号のコント映画、『五瓣の椿』『女の一生』といった女性映画など多彩な作品を撮影し、その作品数は『危険な女たち』(1985年)まで約60本にも及びます。また、『事件』『鬼畜』は第2回日本アカデミー賞最優秀技術賞を受賞し、撮影監督としてその名を確固としたものにしています。

 

(※番号は台本作品リストの番号です)
141 『からみ合い』 1962年 小林正樹(監督)
144 『裸体』 1962年 成沢昌茂(監督)
147 『ウナ・セラ・ディ東京』 1965年 番匠義彰(監督)
150 『こわしや甚六』 1968年 市村泰一(監督)
152 『黒薔薇の館』 1969年 深作欣二(監督)
156 『辻が花』 1972年 中村登(監督)
157 『同棲時代 今日子と次郎』 1973年 山根成之(監督)
160 『友情』 1975年 宮崎晃(監督)
162 『夜が崩れた』 1978年 貞永方久(監督)
167 『道頓堀川』 1982年 深作欣二(監督)
171 『黒い雨』 1989年 今村昌平(監督)
172 『復活の朝』 1992年 吉田剛(監督)
173 『小津と語る Talking With OZU』 1993年 田中康義(監督)

 

川又昻の撮影作品は、約90作品のうちその約3分の2が野村芳太郎監督の映画ですが、野村監督以外の監督作品でも撮影監督を務めています。国際的にも評価の高い小林正樹監督の『からみ合い』や女性映画の名手として知られる中村登監督の『辻が花』、永井荷風原作の文芸映画『裸体』『ウナ・セラ・ディ東京』などの歌謡映画やフランキー堺のコメディ『こわしや甚六』といったジャンルの映画にも参加しています。そして1970年代には、宮崎晃や貞永方久、山根成之など当時デビューした監督たちの作品も手掛け、東映出身の深作欣二監督が松竹でメガホンをとった『黒薔薇の館』『道頓堀川』でもキャメラを担当しました。
また、今村昌平監督作『黒い雨』(1989年)は川又昻の後期の代表作です。今村昌平は1951年に松竹大船撮影所に入社し、1954年に日活に移籍するまで助監督として小津安二郎監督の現場にも参加しており、川又昻と交流がありました。当時既に珍しいものとなっていた白黒フィルムで撮られたこの映画は高く評価され、第13回日本アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞しています。

 

その後、野村芳太郎監督が製作総指揮を務めた『復活の朝』を経て、小津安二郎監督に心酔する世界の映画監督7人に小津の遺影を前にして語ってもらうという手法をとったドキュメンタリー映画『小津と語る Talking With OZU』が、最後の撮影監督としての作品となりました。晩年は小津安二郎監督などの作品のデジタル修復作業に携わり、その保存や復元に尽力し、2019年10月5日、93歳で逝去しました。

 

松竹映画を語る上で欠かすことのできない撮影監督、川又昻の作品の台本カバーにお名前をご記載してみませんか?

 

現在、作品のご希望を伺っていない方もプロジェクトが成立しましたら、順番にお伺いの連絡をいたしますので、それまでごゆっくりお選びくださいませ。

 

作品リストは、プロジェクト概要「リターンについて」の台本カバーの説明から、または↓こちらからもご覧いただけます。

 

【歌舞伎・新派・新喜劇台本】作品リスト
【映画台本】作品リスト
【寅さん台本】 作品リスト

 

次回は、森田芳光監督の作品をご紹介いたします。

リターン

3,000


alt

活動報告+サンクスメール+HPにお名前掲載

■サンクスメール
■4月末に報告メール
■松竹大谷図書館HPにお名前を掲載
※ご了承いただいた方のみ掲載いたします

支援者
50人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年4月

5,000


松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー(2種類1組セット)

松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー(2種類1組セット)

3,000円のリターンコース内容に加え、
■松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー(2種類1組セット)※デザインは全て一緒です
当プロジェクト限定
 歌舞伎台本『桜姫東文章』昭和60年3月歌舞伎座公演
 映画台本『『夜叉ケ池』1979年篠田正浩監督作品
の表紙デザイン!

支援者
106人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年4月

10,000


オリジナル文庫本カバー+台本カバーにお名入れ

オリジナル文庫本カバー+台本カバーにお名入れ

5,000円のリターンコース内容に加え、
■台本カバーに支援者様のお名前をお入れします
【歌舞伎・新派・松竹新喜劇台本】
【映画台本】
【寅さん台本】
の3つの作品リストより、ご希望の1作品の「台本番号」と「タイトル」を応援コメントにお書き下さい

※作品リストはプロジェクト本文「リターンについて」の台本カバーの説明部分にリンクがあります
※今すぐ決まらない方は、プロジェクト達成後にもご希望をお伺いいたします

支援者
97人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年4月

30,000


オリジナル文庫本カバー(3種)+台本カバーにお名入れ

オリジナル文庫本カバー(3種)+台本カバーにお名入れ

10,000円のリターンコース内容に加え、
■当館所蔵 組上燈籠絵『組上付属おはやし』『組上燈籠付属絵』のデザインのオリジナル文庫本カバー

支援者
11人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年4月

50,000


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【5万円 応援コース】

※こちらのコースは、頂くご支援のほとんどをプロジェクトの実行費として使わせていただきます。

■サンクスメール
■4月末に報告書送付
■松竹大谷図書館HPにお名前を掲載
※ご了承いただいた方のみ掲載いたします

支援者
8人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年4月

50,000


【5万円 リターンコース】松竹大谷図書館見学会(歌舞伎記録映像上映付)+文庫本カバー(3種)+台本カバーにお名入れ

【5万円 リターンコース】松竹大谷図書館見学会(歌舞伎記録映像上映付)+文庫本カバー(3種)+台本カバーにお名入れ

30,000円のリターンコース内容に加え、
■松竹大谷図書館見学会にご招待
2021年11月25日(木)開催
 (1)10時~11時半
 (2)12時半~14時
 (3)15時~16時半
の3回を予定(各回6名以下)
ご希望の回をご支援時の質問の回答にお書き下さい(先着順)

※今すぐ決まらない方は、プロジェクト達成後にもご希望をお伺いいたします
※11月25日の見学会に参加できない方には予約制で、松竹大谷図書館を1時間ご案内するガイダンスの招待券をお送りします。有効期限:2021年12月~2022年7月の平日(開館日及び整理休館中)
※今回の見学会につきましては、書庫内のガイドツアーは開催いたしません
※新型コロナウイルス感染症の状況によっては、ご案内の範囲や期間を変更させて頂く場合がございます

支援者
13人
在庫数
5
発送完了予定月
2022年4月

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