プロジェクト概要

松竹大谷図書館が所蔵する

日本の文化の宝を未来へ残す。

 

戦後、GHQにより検閲が行われた歌舞伎台本300冊。当時の舞台芸術文化を知るための手がかりをデジタル化したい。 

 

こんにちは、松竹大谷図書館の武藤祥子と申します。演劇と映画専門の私立図書館・松竹大谷図書館で事務局の仕事を担当しています。昨年のプロジェクトでは、皆様からの力強いご支援により、無事プロジェクトを実施することができました。本当にありがとうございました。

 

(第3弾のプロジェクトで、

支援者のお名前を入れた台本カバー)

 

第 3 弾のご支援により現在行っている 5 千枚以上の「芝居番付」のデジタル化は、立命館大学 ARC で撮影とデータ入力が進められており、7 月末日の段階で、1,725 点のデータ入力が終了しています。データベースの完成までにはまだ時間がかかりますが、引き続き第 3 弾プロジェクトページの新着情報で進捗をお伝えしていき、最終的には Web 上での検索・閲覧システムの公開までご報告する予定です。

 

(「芝居番付」のデジタル化の様子)

(デジタル撮影が済み、「歌舞伎座筋書」(平成27年7月)に掲載使用された、明治25年7月歌舞伎座の辻番付)

 

皆様が温かいご支援を続けて下さったお蔭で、少しずつ収支のバランスが取れるようになり、大きな資金が必要となる貴重資料の保存に、より力を注げるようになりました。そして、今回はGHQ検閲歌舞伎台本のデジタル化に挑戦していきたいと考えています。今回もぜひお力を貸していただけないでしょうか。

 

 

 

1945年から1949年にかけてGHQにより検閲が行われた演劇台本
 

当館には、名優たちが演じてきた台本や、演劇史上重要な資料など、数多くの貴重な資料が保存されています。なかでも昭和 20 年[1945]から昭和 24 年[1949]にかけてGHQにより検閲が行われた演劇台本については、表紙に認可番号印や検閲通過印が押されていたり、英語の書き込みがされていたりするような検閲台本を300冊以上所蔵しており、そのほとんどが歌舞伎の台本です。

 

しかし、これらの台本は、経年劣化で、特に認可番号印が押された外表紙の破損がひどく、利用される度に壊れつつあります。こうした検閲台本を、これ以上劣化が進む前にデジタル化による画像の閲覧使用に切り替え、原資料を保護したいと考えています。

 

(昭和20年から24年にかけて

GHQにより、検閲を受けた歌舞伎台本の一部)

 

 

表現の変更や、単語・文章の削除が求められ、
上演が統制されていた戦後演劇の歴史を知ることができる

 

GHQによる検閲とは、昭和 20 年 9 月から 24 年 10 月までの4年間、連合国軍総司令部(GHQ)の傘下機関である民間検閲局 Civil Censorship Detachment(CCD)により、出版、映画、演劇、放送の内容が情報として集められ統制された事によります。この検閲は、占領政策に沿って、終戦当時の日本の社会から封建的思想、軍国主義、極右的精神を排除し、民主主義的な思想を広める事を目的としていました。もし望ましくない内容である場合は、表現の変更や、単語・文章の削除が求められ、時には出版や放送、上演や上映が禁止された場合もありました。

 

例えば歌舞伎界では、検閲開始から2か月後の昭和20年11月、東京劇場で上演中の『菅原伝授手習鑑 寺子屋』に対して上演自粛の勧告が通達されました。主人公の一人である松王丸が、恩義ある菅原道真の子を救うため、自分の子の命を犠牲にするという内容が、恐らく反民主主義的と判断されたためと考えられます。

 

(戦災で焼け残り、戦後も興行を続けた東京劇場【昭和23年11月頃】)

(『義経千本桜』【昭和23年2月東京劇場上演】)

 

 

GHQ検閲台本に刻まれた唯一の歴史的証拠が失われつつあります

 

当時の演劇制作者達は、上演予定の芝居の台本を全て提出する事が義務付けられていました。内容がチェックされ上演許可と判断された台本は、「CP」(Censorship Passed 検閲通過)という印が押され制作者に返却されました。現在、松竹大谷図書館に保存されているのは、この検閲通過の印が押されたもの、あるいは提出の準備のため、表紙に芝居のタイトルや演者、上演月や劇場、が英語で書き込まれたものなどです。いずれも表紙に重要な情報が記載されているのですが、経年劣化のため、現在、その表紙自体が失われつつある状態です。

 

(外表紙の端が破損した状態のGHQ検閲台本)

 

 

GHQ検閲台本のデジタル・アーカイブ化によって、画像を用い、これまで見逃されてきた検閲の内容が、細かく検証される可能性がある

 

当館が所蔵しているGHQ検閲台本の中には、表紙をよく見ていくと、何ページに削除箇所がある、という書込がされている台本があります。例えば、昭和22年8月東京劇場上演『一條大蔵譚』の検閲台本の表紙には「CP」印が押され、その上に「削除 三九頁一-八行 四十頁 四-五行」という書き込みがあります。

 

該当箇所をみると、「鳴瀬は夫のさし添を取るより早く咽へぐっとさし通し苦しき息をホッとつき(略) 悪事に組せし我夫と一つでない証拠の自害 只何事もおゆるされて下さりませ(略)」という部分が丸々削除されています。鳴瀬という女性が、敵方に通じていた夫と心が一つではない証拠に夫の刀で自害する場面と、その死を健気だと讃える主君の大蔵卿の台詞が、封建的で問題があると判断されたためか、削除されています。

 

こうした削除箇所は、これまで全内容が細かく検証されてきませんでした。もし、これらのGHQ検閲台本が今回のプロジェクトで、全文画像化され、Web で画像が公開されれば、研究者により細かな修正などの改変跡が収集され、例えば、同じ作品が上演年月によって、修正箇所が違うなどの細かい検証が行われる可能性があります。今回のプロジェクトでも、【第 3 弾】の「芝居番付」のデジタル化でお世話になっている立命館大学 ARC にご協力いただき、いずれはデジタル・アーカイブを構築し、Web で画像公開することで、日本演劇の研究や、日本の戦後史の研究に役立てたいと考えています。

 

(「CP」(検閲通過)印の上に問題のあった頁数が、書き込まれている台本の表紙と内部)

 

 

GHQ検閲台本を含む歌舞伎や日本映画、アニメ作品からテレビの台本まで、約45万点の貴重な資料を収集・整理・保存し、利用できるようにするのが私たちの重要な仕事です

 

現在、松竹大谷図書館には約 45 万点の資料があります。今年創業 120 周年を迎える松竹株式会社が製作した歌舞伎や新派の台本、7 月歌舞伎座の坂東玉三郎さんや市川猿之助さん、市川海老蔵さんの出演作品や、同じく歌舞伎座で 9月上演の中村吉右衛門さん、市川染五郎さん、尾上菊之助さん出演の秀山祭の資料、また映画では、小津安二郎監督や木下惠介監督の作品、山田洋次監督の『男はつらいよ』シリーズなど、松竹 120 年の歴史を彩る数々の名作、そして今年『天空の蜂』が公開される東野圭吾氏原作の過去の映画化作品の台本までバラエティに富んだ資料が保存されており、どなたでも手に取って実際に読むことができます。

 

(第四期歌舞伎座のプログラム)

 

 

図書館のサービスの規模を縮小することなく、活動したい。そして、劣化が進む所蔵資料をデジタル化し保存と活用を進めたい

 

このような貴重な資料が、年間約 8,000 点増加しますが、滞りなく整理・保存し、利用される皆様にきちんと提供できるようにするのが私たちスタッフの重要な仕事です。また、傷みが進んだ古い資料は破損などの恐れがあり、直接閲覧することも容易にできなくなってしまうため、今回デジタル化を計画しているGHQ検閲歌舞伎台本のように当館でしか所蔵していない資料を画像公開することで、原資料を守りつつ多くの方に利用していただきたいと思っています。

 

当館の主な収入は、寄附金、財産の運用益、図書館の資料を出版、放送、展示などに提供して得た対価などですが、平成23年までは、ほぼ毎年赤字の状態でした。しかし平成24年からはREADYFORにおける皆様からのご支援のお蔭で、ようやく赤字体質を脱し、最近では、クラウドファンディングプロジェクトの実行により、広く世間に知られる機会が増えました。

 

特に、図書館の資料を出版や放送に提供してほしいという申込みが増え、その分の収益が増えてきた事を実感しています。現在も収入のほとんどを寄付金に頼っているため、図書館の運営は安定しているとは言い切れませんが、今年度も図書館のサービスの規模を縮小することなく、ひとつでも多くの資料を守るために、プロジェクトへのご協力をお願いしたいと思っています。

 

 

目標金額の内訳

 

■ 4月末報告書(2016.04.28 更新):平成27年度 支援者様への報告

 

皆様にご支援いただく250万円は、平成27年度の事業費の一部と、「GHQ検閲歌舞伎台本」の運搬・デジタル化の費用に充てさせていただきます。

 

【「GHQ検閲歌舞伎台本」運搬・デジタル化費】100万円を予定

・デジタル化費として:95万円

・デジタル化作業場への運搬費として:5万円

 

【平成27年度事業費】150万円を予定

・図書費として    :60万円

・システム保守費として:50万円

・消耗品費として   :20万円
・通信費として    :10万円
・印刷製本費として  :10万円

 

※これまで行ってきた3回のクラウドファンディングでは、いずれも支援金額のうち200万円を、松竹大谷図書館の事業費に充てさせていただきましたが、皆様が温かいご支援を続けて下さったお蔭で、少しずつ収支のバランスが取れるようになって参りましたので、本年は事業費に充てる割合を150万円とし、デジタル化費用を100万円とさせていただきます。

 

【事業費の内容】

・図書費

主に定期購読雑誌・新聞等の購入に充てます。

・システム保守費

所蔵資料を登録・管理・検索するための図書管理システムの保守費です。

・消耗品費

台本カバーや雑誌を保護するためのカバーの材料である板目紙や綿テープ、

製本用綴り紐、図書を整理する際に貼る請求記号ラベル、コピー用紙などを主に購入します。

・印刷製本費

礼状のハガキや松竹大谷図書館のカレンダー、案内チラシの印刷、主要雑誌の製本費などに使用します。

 

 

引換券について

 

◆ 松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー2種類1組セット 

※デザインは全て同じです

 

(本物の台本[大きい方]と文庫本カバー ※文庫本カバーは見本です)

 

■ 蔵出し台本「歌舞伎」文庫本カバー

当館所蔵「歌舞伎台本」(『勧進帳』平成26年3月歌舞伎座公演)の表紙を文庫本サイズの特製ブックカバーにします。

■ 蔵出し台本「映画台本」文庫本カバー

当館所蔵映画台本(『秋刀魚の味』小津安二郎最後の監督作品)の表紙を、文庫本サイズの特製ブックカバーにします。

 

 

◆ 映画や歌舞伎の台本を保護するカバーに支援者として皆様のお名前を記載

※写真はイメージです

 

 

 

(第3弾のプロジェクトで支援者のお名前を入れた台本カバー)

 

当館では映画と演劇合わせて年間1,500冊以上の台本が整理されます。保存方法にも独自の工夫を凝らしています。図書のようにしっかりした作りではない台本などは書架に立てにくいので、板目紙でカバーを作って長期保存に耐えられるように補強を施しています。

 

後世まで残したい日本の文化の命ともいえる映画や歌舞伎の上演台本を保護するカバーに、支援者として皆様のお名前を刻み、ここ松竹大谷図書館でずっと大切に保存させていただきます。下記リンク先の作品リストから一つ、お好きな作品の台本カバーにお名前を記載いたします。

 

※ 一つの作品に対してお名前の記載を希望される方が多い場合は、並べて記載します。また、カバーに入りきらないほど多数のご希望があった場合は、皆様のお名前をリストにして台本と共にカバーに入れて保存します。

※台本が今すぐ決まらない方は、プロジェクト達成後にもご希望をお伺いします。

※台本カバー自体は非公開です。お名入れをした方のみ、その台本カバーを特別にご覧いただけます。

 

(台本カバー作成の様子)

(ご支援を機に行った、劣化したカバーの作り替え作業)

 

【歌舞伎台本】作品リストは【こちら】からご覧ください。

昨年11月より今年10月の興行の上演台本を中心とした歌舞伎台本のカバー

 

【映画台本】 作品リストは【こちら】からご覧ください。

本年創業 120 周年を迎える松竹が制作・配給した歴代作品、東野圭吾原作作品、恒例の小津安二郎・木下惠介監督作品、キネマ旬報ベストテン受賞作品よりセレクトした映画台本のカバー

 

【寅さん台本】 作品リストは【こちら】からご覧ください。

恒例、映画「男はつらいよ」シリーズ全48作のうちお好きな作品の台本カバー。根強い人気です!

 

 

◆「歌舞伎座ギャラリー」招待券

歌舞伎座の屋上庭園を臨む、複合文化拠点「歌舞伎座タワー」5階の「歌舞伎座ギャラリー」の展示「体験空間 歌舞伎にタッチ! しる・みる・ふれる・やってみる」招待券をペアで

開館時間:10:00~17:30 ※最終入館は17:00まで会場:歌舞伎座ギャラリー(東京都中央区銀座4丁目12番15号 歌舞伎座タワー5階)

年末年始休館:12月27日~1月1日 

※この他にも休館日がありますのでHPでご確認下さい。

http://www.shochiku.co.jp/play/kabukiza/gallery/

 

(「体験空間 歌舞伎にタッチ!

しる・みる・ふれる・やってみる」展の「歌舞伎の馬」コーナー)

 

 

◆ 当館所蔵「新派絵本番付」のオリジナル文庫本カバー

川上音二郎の出世作「意外」(明治27年1月浅草座)の絵本番付の表紙と挿絵をデザインに使用した文庫本カバー

 

 

 

◆ 当館の見学会に御招待11月26日(木)午前の部10:00~/午後の部14:00~の2回を予定(1回15名程)午前の部、もしくは午後の部のいずれかご希望の回をお選び下さい。(先着順)

 

1.松竹大谷図書館ってこんな図書館(説明会)公立図書館とは違う、専門図書館ならではの特徴を、利用の方法などを交えてスタッフよりご説明いたします。

2.非公開の書庫(移動集密書架)の見学職員以外立ち入ることのできない書庫の移動書架を開いて資料が本棚にずらりと並ぶ様子を特別にご案内いたします。劇場別年代順に整理された演劇プログラムや、製作年代順に配架された映画シナリオなど、専門図書館ならではの資料を細かくご紹介いたします。

3.非公開の博物資料の見学非公開の博物資料を特別に展示して間近でご覧いただきます。

4.司書体験

カバー作りやラベル貼りなど、図書館員の仕事を体験していただきます。

去年の見学会の様子はこちら

 

◆11月26日に見学会に参加出来ない方には

予約制で、松竹大谷図書館の書庫を、1時間ご案内するガイドツアーへの参加券をお送りします。有効期限:平成27年12月~平成28年7月の平日(開館日及び整理休館中)

事前にお電話でのご予約をお願いいたします。

※日時のご希望に添えない場合もございますので、予め何日か候補日をご設定下さい。

 

 

運営

公益財団法人松竹大谷図書館

〒104-0045 東京都中央区築地 1-13-1 銀座松竹スクエア3階

Tel:03-5550-1694

HP:http://www.shochiku.co.jp/shochiku-otani-toshokan/

 

(松竹大谷図書館の閲覧室)

 

立命館大学アート・リサーチセンター

HP: http://www.arc.ritsumei.ac.jp/

1998年設立以来、有形無形の文化財のデジタル・アーカイブ研究を進めてきた。京都を代表する能楽片山家や京舞井上流との様々なコラボレーション研究から、日本大学総合情報センターの歌舞伎番付のデジタル化、国立音楽大学の音曲デジタル化など、歌舞伎資料のデジタル・アーカイブでも実績を残す。最近は、欧米の博物館・図書館等にある浮世絵や絵入本、さらに陶磁器・漆器などの日本美術品のデジタル化で大規模な活動を国際展開している。また、2014年度からは文部科学省が指定する共同利用・共同研究拠点となり、「日本文化デジタル・アーカイブ拠点」として、全世界から共同研究を受入れている。

 

 

※支援者様へ

当財団は公益財団ですが、この支援に関しては購入型のクラウドファンディングを利用しているため、寄附者への税制の優遇措置は受けられません。

 

 


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