【第6弾】歌舞伎や映画、銀幕が伝えた記憶を宝箱で守る。

【第6弾】歌舞伎や映画、銀幕が伝えた記憶を宝箱で守る。

支援総額

2,605,000

目標金額 2,500,000円

支援者
220人
募集終了日
2017年10月25日

    https://readyfor.jp/projects/ootanitoshokan6?sns_share_token=
    専用URLを使うと、あなたのシェアによってこのプロジェクトに何人訪れているかを確認できます
  • Facebook
  • X
  • LINE
  • note
2017年10月25日 17:06

あと6時間!そして小林正樹・野村芳太郎作品のスクラップ紹介

お早うございます。松竹大谷図書館の武藤祥子です。

 

プロジェクトの支援募集終了まで、いよいよあと6時間を切りました!
本日23時にはご支援の募集が終了いたしますが、まだまだご支援大歓迎です!また【第6弾】プロジェクトはこれからも続いていきます!作業の進捗はこの新着情報でお知らせして参りますので、プロジェクト成立後も、どうぞ当館からのメッセージと新着情報のチェックをお願いいたします!
 
さて、今回の新着情報、ここからは、1冊ずつ「タトウ式保存箱」に入れて保管する、戦前から昭和27(1952)年までに製作された作品の映画スクラップから、小林正樹監督と野村芳太郎監督の監督デビュー作のスクラップをご紹介いたします。

 

社会派監督として国際的な評価の高い小林正樹と、松本清張原作の作品をはじめとする多くのサスペンスの名作を手がけた野村芳太郎。この2人の名監督は、ともに昭和16(1941)年に松竹大船撮影所助監督部に入社しており、同期にあたります。

左のスクラップは小林監督の『息子の青春』、右のスクラップは野村監督の『鳩』です。どちらも1952年のこの作品で2人は、監督として初めてメガホンをとりました。

 

小林監督の『息子の青春』は、1952年6月25日に公開されました。林房雄の家庭小説の映画化作品で、小説家の父とその妻と2人の思春期の息子のホームドラマです。18歳になったお洒落な高校生の長男がガールフレンドを連れてきたり、2歳下の質実剛健な次男が髪を伸ばしはじめて不良と付き合い始めたり、息子たちの行動にハラハラしながらも、夫婦で温かく見守る様が描かれた作品で、北龍二と三宅邦子が夫婦を演じ、長男には石濱朗が扮しています。

 

上のスクラップの左ページには、「松竹のホームドラマ 息子の青春 林房雄を囲む座談会」と題して、出演者の三宅邦子、そして小林監督が、原作者林房雄を囲んで座談会を開いた記事が貼られており、3人の写真も載っています。「原作者も泣かされた出来」との見出しもあり、冒頭から林房雄が「よく出来たね、泣かされたよ、原作者が泣くのだから間違いないよ(笑)」と賛辞を送っています。

 

また、このスクラップの右ページの上には映画の紹介記事が貼られていますが、この記事のなかに、「監督に当る小林正樹は長い間木下惠介監督の助監督として活躍した人で、最近各社から輩出した新人演出家の中でも最も将来を嘱望されている。」と記されています。小林監督は木下惠介監督に師事しており、10月22日の新着情報でご紹介した作品『破れ太鼓』では、木下惠介監督と共同で脚本を執筆しています。この作品の翌年、小林監督は正式に監督昇進し、『まごころ』(1953年)を発表しますが、この作品の脚本は木下惠介監督が執筆しました。

 

そして、1952年10月11日に『鳩』が公開、野村監督も監督デビューをはたします。

『鳩』は、友人から借りた伝書鳩を野良猫に殺されてしまったため、責任を感じて家出をし、山梨の葡萄園で働いて弁償しようとした少年の実話が元となった青春映画で、『息子の青春』と同じく石濱朗が出演し、主役を演じています。

上のスクラップの右ページ下には、野村監督の写真と経歴が紹介された記事が貼られており、野村監督の写真とともに、「『鳩』でデビューする野村監督は、芳亭監督に連れられ、二歳の頃から蒲田撮影所の中で育ったという生粋の映画人である。」と書かれています。「芳亭監督」とは、戦前に活躍し、松竹蒲田撮影所の所長もつとめた往年の名監督野村芳亭のことで、野村芳太郎監督の父にあたります。スクラップの記事にも、「その父親譲りの才能は早くから将来を嘱目されていたもので…」とあり、期待のほどがうかがえる記事です。

 

左ページには、「『鳩』のロケを追って」と題して、葡萄園で有名な甲州勝沼町でのロケを追った記事があり、出演俳優たちが農家の縁側で葡萄を食べながら出番待ちをしたことや、石濱朗の衣装のズボンが新調のもので綺麗すぎるため、見物人の農夫のズボンと交換したことなど、のどかな撮影風景が細やかに記されています。

 

そして、野村監督も小林監督と同じく、1953年に監督へ正式に昇進すると、この年だけで『次男坊』『愚弟賢兄』『きんぴら先生とお嬢さん』『鞍馬天狗 青面夜叉』『青春三羽烏』と5作品も監督し、その器用さと多彩さを早々と発揮しました。

 

ところで、小林監督の『息子の青春』、野村監督の『鳩』、このふたつの作品のスクラップの両方に、ある言葉が載った記事が複数貼られています。「シスター映画」という言葉です。『息子の青春』のスクラップの記事には、「シスター映画」の説明が書かれたものが載っており、「ヴェテラン助監督やヤンガージェネレーションを育て次の世代を養成するのがその目的となっている」とあります。『鳩』の方にも、「この廿一日から野村芳太郎監督が五巻もののシスター映画としてクランク・インすることになり…」とあります。

 

「シスター映画」(Sister Picture/S・P)とは、40、50分ほどの長さの中篇の映画のことで、当時、松竹が新人監督や新人俳優の育成のために製作した映画です。それぞれの完成台本には上映時間が記されており、『息子の青春』は45分、『鳩』は44分と、通常の映画より短い上映時間であることがわかります。

 

『息子の青春』と『鳩』のスクラップは、小林監督と野村監督、2人の名監督が、当時の松竹の新人育成システムによって監督としてデビューに至ったことがわかる資料でもあるのです。

 

おかげさまで、目標額達成により、約4,000冊の貴重な映画作品のスクラップのうち1,800冊をアーカイバル容器に入れて保存できること、大変嬉しく思っております。

皆様からいただいた応援を力に、スタッフ一同がんばってまいりますので、これからも何卒よろしくお願いいたします!

リターン

3,000


alt

活動報告+サンクスメール+HPにお名前掲載

■サンクスメール
■4月末に報告メール
■HPに名前を掲載
※ご了承いただいた方のみ掲載いたします

支援者
39人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2018年4月

5,000


松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー(2種類1組セット)

松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー(2種類1組セット)

3,000円のリターンに加え、
■松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー(2種類1組セット)
…蔵出し台本『助六由縁江戸桜』平成28年3月歌舞伎座公演&『東京物語』小津安二郎監督作品の表紙の特製デザイン!

支援者
65人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2018年4月

10,000


オリジナル文庫本カバー+台本カバーに名入れ

オリジナル文庫本カバー+台本カバーに名入れ

5,000円のリターンに加え、
■台本カバーに支援者のお名前をお入れします
※作品リストより、ご希望の作品の「台本番号」と「タイトル」を応援コメントにお書き下さい
※作品リストはプロジェクト本文「リターンについて」の台本カバーの説明部分にリンクがあります)
※今すぐ決まらない方は、プロジェクト達成後にもご希望をお伺いいたします

支援者
89人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2018年4月

30,000


オリジナル文庫本カバー(4種)+台本カバーに名入れ

オリジナル文庫本カバー(4種)+台本カバーに名入れ

10,000円のリターンに加え、
■組上燈籠絵「め組のけんか」の文庫本カバー
■浄瑠璃正本「新うすゆき物語」の文庫本カバー

支援者
16人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2018年4月

50,000


図書館見学会+オリジナル文庫本カバー(4種)+台本カバーに名入れ

図書館見学会+オリジナル文庫本カバー(4種)+台本カバーに名入れ

30,000円のリターンに加え、
■図書館見学会にご招待
【2017年11月30日(木)開催 午前(15人)/午後(15人)】
「午前」「午後」のご希望を応援コメントにお書き下さい
※今すぐ決まらない方は、プロジェクト達成後にもご希望をお伺いいたします
※11月30日に見学会に参加出来ない方には予約制で、松竹大谷図書館の書庫を1時間ご案内するガイドツアーへの招待券をお送りします。有効期限:平成29年12月~平成30年7月の平日(開館日及び整理休館中)

支援者
13人
在庫数
16
発送完了予定月
2018年4月

記事をシェアして応援する

    https://readyfor.jp/projects/ootanitoshokan6/announcements/65416?sns_share_token=
    専用URLを使うと、あなたのシェアによってこのプロジェクトに何人訪れているかを確認できます
  • Facebook
  • X
  • LINE
  • note

あなたにおすすめのプロジェクト

注目のプロジェクト

もっと見る

新着のプロジェクト

もっと見る