「”こころの豊かさ”を”知る”」


現在大学4年生のゆきこさんは、大学で国際関係を専攻し、環境やサステナビリティに着目したゼミで学んでいる。その他にも、広島や長崎の被爆者の方の証言の多言語化を目指す研究所でも活動している。

 

 

発展途上国への興味は、高校生の頃に抱き始めた。友人に誘われ、夏休みにバックパッカーとして訪れたカンボジアとベトナム。既にカンボジアに3回渡航経験があった友人の熱心さに押されるように決行した旅だったが、結果的にこの旅はゆきこさんにとって、貧困や飢えといった人々の苦しみを初めて肌で感じる、重たい経験となった。

 

「明日食べるご飯に困ってる人がいると初めて知った。テレビの中の世界ではなくて、本当に困っている人が、身近に居ると感じた。」

 

国際関係専攻という後の進路を決定づける程衝撃を受けたこの旅で、ゆきこさんは物事を実際に体験し、「知る」という事の大切さに気が付いたという。

 

「自分が全然何も知らないという事を知った。世の中に困っている人がいて、そのことを知りもせずに何かしらの行動を起こす事はできないと考え、学びたいと思った。」

 

その一方で、海外を訪れる回数が増えるにつれて、自分の国のことを意外と知らない事にも気が付き、もっと日本の事を知りたいと思うようになった。

現在研究所で関わっている、広島や長崎の歴史から被爆者の声を紐解いていく活動には、そんな思いも込められているそうだ。


 

パプアニューギニア・スタディ・プログラム(以降、PSP)に応募したのは、些細なきっかけからだった。

 

Facebookを通じてたどり着いたPSPのホームページで、目にした現地の写真。

 

「未知の国」

 

直観的に浮かんだその言葉は、プログラムが始動し、研究を深めるにつれ徐々に確信へと変わってきている。パプアニューギニアには、今まで訪れた国では見たことがないほど近代文明から切り離され、言葉通り自然と共存し暮らしている人々がいるのではないか。物質的な豊かさとは対極ともいえる生活を送る人々の存在をゆきこさんは予感し、強く惹かれるものがあったという。

 

実際にプログラムに参加してみた感想は、

「こんなにみんなで作ると思っていなかった。ミーティングをこんなに沢山して、勉強会も自分達でつくる。タスクが被っているときなど、ハードスケジュールでパニックになることは多い。」

 

「正直、こんなに忙しいとは思っていなかった」とゆきこさんは笑うが、それでも学生から社会人、国連機関などで豊富な経験を積んだメンバーなど多彩な人員が集うこのプログラムで、すでに多くの学びや示唆があったという。

 

「環境や開発はもちろん、PSPに参加して触れてきたトピックの中に、強い興味を持っている分野は多い。その興味を大学以降、どうキャリアとして形にするか。まだ自分の中で定まらないけれど、メンバーに話を聞いてみたい。」日本に留まらず世界各国で活動しているメンバーの多くとまだ会えていないゆきこさんは、「だから渡航が待ち遠しい」という。


 

将来の夢は「豊かな暮らし」をすること。

豊かといっても、物質的な豊かさのことではない。「こころの豊かさ」に満ちた暮らしがしたいとゆきこさんは言うのだ。モノに恵まれたこの日本での生活にも、ゆきこさんは「こころの豊かさ」を見出したいと言う。そのために、現地で生の声を聞いてみたい。パプアニューギニアで暮らす人々にっての「豊かさ」とは何か。

 

「実際に現地の人たちが自分たちの生活をどう思っているか。暮らしに満足しているのか。していなかったとして、国際協力や開発を本当に望んでいるのだろうか。」


 

豊富な自然に恵まれ、伝統的な暮らしでその自然と共存してきたパプアニューギニアの人々。しかし、勉強会などを通じ、開発やガバナンスの面ではまだ課題があることが徐々に明らかになってきた。

 

PSPの中心的なテーマは、「国際協力」の意義・役割、そして自然と人間の「分断」と「共生」。国際協力や開発の現場には常に付きまとうこの議論は、ゆきこさん自身のこれまでの経験から形成された人生観と、深い部分で繋がっていると感じた。

 

「未知の国」パプアニューギニアと、渡航で初めて顔を合わせるPSPメンバー。これから待つ出会いから、何を「知り」、何を自分の生活に「持ち帰ることができるか」。

 

 

ゆきこさんは渡航を心待ちにしている。

 


文責: けいたろう(広報班)

 

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