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2020年06月21日 13:00

【劇場の声⑦】上土劇場

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全国小劇場ネットワークに参加している劇場が、現在の活動をレポートするシリーズ。

本日登場するのは、「上土劇場」（長野県松本市）です。

演劇の街　長野県松本市「上土劇場」

こんにちは。松本市の上土劇場をご紹介させていただきます。

今から約半世紀前。昭和30年代の初めに建てられた映画館「松本ピカデリー」が上土劇場の前身です。

映画館時代 1990年代

憶えている方はもう50歳代の方でしょう。その映画館も1990年後半に入ると後継者がなく、廃業が決まり、土地ごと売却されました。

その売却先は、現在の所有者である「松本信毎専売所」です。

第1回松本現代演劇フェスティバル

当時松本市では、1987年にスタートした稀代の演劇イベント「松本現代演劇フェスティバル」が9回をもって残念ながら終了。しかしその遺産である多くの若手劇団（演フェス開始時は市内には1劇団しかなかった）が残されました。その劇団達は「演フェス出場」という目標を失い、またそもそも演劇の小屋が市内になかったため、減少の一途を辿りつつあったのです。そこで劇団が集まって「まつもと演劇連合会※旧名：松本アマチュア劇団連合会」を結成し、実行委員会を創設。1996年に「第1回松本アマチュア演劇祭」を立ち上げました。

第1回松本アマチュア演劇祭

その演劇祭も3年を経て、「さて来年からどうしようか？」と思った矢先、信毎専売所現社長である西堀恒司氏から呼び出され、「演劇祭を今後も続けていくのならピカデリーを演劇ホールとして改装しようと思う」というとんでもない提案があったのです。もちろん二つ返事で「やります！」と答え、我々演劇人と演フェス実行委員会の中心人物達が手作りで劇場に改装をはじめたのです。

劇場の1階席を全部とっぱらい広大なステージを作り。近くの公営ホールが閉館することをききつけホール付属の舞台備品をすべて貰い受け、約３００ｍ市内を手運びで搬入し、ついに1999年演劇専用劇場「ピカデリーホール」として再生いたしました。

舞台から客席を望む

「ピカデリーホール」誕生後、多くの地元劇団の公演会場として、また「まつもと演劇祭（改名して）」の1会場として使われてまいります。

しかしそのころからほとんど同時期にできた劇団の多くで、団員次々就職、結婚、出産によって引退し、演劇活動の衰退があきらかとなります。

そこでまつもと演劇連合会では、劇団員を増やすべく、一般の市民を演劇の場に引っ張り出すためのワークショップを考えました。まずは演劇に触れてもらい、その中から演劇に関心の深い人たちを仲間に迎えていく・・・。こうして「第一期ぴかぴか芝居塾」が立ち上がります。ほとんどすべての経費を連合会で負担し、講師もスタッフも手弁当。1カ月合計7回の講座で会費は保険料のみの１０００円！さらに最終日には「ピカデリーホール」にて客を入れた発表会を行う・・という大胆なワークショップです。このワークショップは大成功し、現在までの１７年間で合計300名以上の卒業生を輩出いたしました。そのおかげもあって現在まつもと演劇連合会に所属する劇団２０団体を越えるまでになっております。

ぴかぴか芝居塾 2019

その後「ピカデリーホール」は、地元町会である「上土町（あげつちまち）」に根付いた地元の劇場であることをアピールするため一昨年「上土劇場」と改名。現在、二代目支配人である永高英雄によって運営・管理されております。さらに昨年からは「信毎Ｘｍａｓシアター」と銘打って、親子向けの公演と体験ワークショップを無料で敢行。これを毎年行う定例イベントとすることにいたしました。