貧困・格差と闘う思想家ヤニス・バルファキスの名作を翻訳出版したい!

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支援総額

1,706,000

目標金額 1,500,000円

支援者
172人
募集終了日
2021年2月22日

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2021年01月12日 18:44

バルファキスが語る、パンデミック以後の世界経済⑤

バルファキスが語る、パンデミック以後の世界経済⑤

 

(白崎コメント)

このバルファキスさんのインタビューで、もっとも、面白いと思ったところを先に抜粋アップします。ここは、コロナ後と資本主義の次の社会に関する、実にバルファキスさんらしい、そして、すばらしい提言だと思うのです。私なりにまとめると以下の三つになり、これこそが「経済の民主化」だと言っています!

 

その1―――― 所得のみならず所有権も再分配すること

その2―――― 私的所有をひとり一票(企業だったら、ひとり一株の保有権)のように分散し、民間銀行も株式市場も廃止

その3―――― 市場を正常に機能させるためには、資本主義を終わらせるしかない

 

上記の三つは、白崎的にいえば、実に的をえた「ベーシックインカムの思想であり」そして通貨改革的といえます。感動的な内容だと思います。

「市場をちゃんとするためには、資本主義を終わらせる!」この言葉の意味を噛みしめていただくと幸甚です。

 

では、以下がインタビュー部分です。

 

~~~~~~~~~~~~

ジョンソン 力強いスピーチをありがとうございます。とても射程範囲が広く、歴史に深く根ざした論考ですね。特に私にとって印象深かったのは、社会運動が広がり、国家権力が拡大し、民間団体を次々と国有化できても、国家権力は必ずしも民衆の力と同じではなく、必ずしも民意を広く代表しているわけではない、というあなたの指摘です。そこで質問なのですが、民衆の力を阻む勢力を打破するためには、どのような改革が必要だとお考えですか。

 

バルファキス それこそまさに究極の問いだね。一年前の僕ならば、ニューディール派のような答え方をしただろう。つまり、ルーズヴェルト式のニューディール政策の理念を蘇らせ、民間資金を公共の目的に向けて動員させるべきだ、と説いただろう。僕は今でもこうした考えを持っているけれど、今回のパンデミックの広がりに対抗するためには、もはやこれだけでは不十分だ。必要条件ではあるが、十分条件ではない、と言い換えても良い。仮に[ニューディール政策を]実施できたとしても[問題が残るからだ]。例えば、ブレトンウッズ体制を思い出してほしい。ブレトンウッズ体制には確かに不備も多かったが、金融界の規制と不平等の是正という観点からは実に腰の据わった実験だった。それでもなお、企業に従事する人々[=労働者]と企業を所有する人々[=資本家]の分離をベースに資本を蓄積する制度[=資本主義]は、株式市場での取引や金融化のおかげで爆発的な力を得た。仮にフランクリン・ルーズヴェルトとジョン・メイナード・ケインズとイエス・キリストとお釈迦様が一同に会し、天使たちやしもべたちと一緒に力を合わせて新しい世界制度を設計したとしても、それは民間金融と株式市場の組み合わせからなるゲームによって転覆させられ、1971815日のような事態が再び起きるだけだろう(ブレトンウッズ体制終焉の日、制度の分裂を受けてリチャード・ニクソンがやむを得ずブレトンウッズ体制に終止符を打った日だ)。

 

   優れた目的のために既存の流動性を役立てるのはもちろん大切だけど、それだけでは不十分。では、十分条件は何なのか。所得のみならず所有権も再分配すること―これこそが答えだと思う。考えれば考えるほど、僕は歴史上のある興味深い場面へと立ち返っている自分に気づく。場所はロンドン、時は1599年、ちょうどウィリアム・シェイクスピアが『ハムレット』を書き終えていた頃、「東インド会社」という名の史上初の株式会社が創設された。匿名かつ流動的であり、しかも銀と同じように売買が可能な株式に基づいた会社だ。これは実に衝撃的な出来事だった。会社が何をし、そこで誰が働いており、世間や地球環境に、また搾取や取引の相手に会社がどのような影響を与えているのか等々の要素から完全に独立したところで、しかも匿名かつ流動的かつ売買可能な所有形態に基づく巨大企業を作ろうと決めたわけだからね。

   僕は最近、「図書カードのような株式」というアイデアに魅力を感じている。みなさんはどう思われるだろうか。変な提案だと感じるだろうか。学校や大学、つまりニューヨーク大学やスタンフォード大学、あるいは地域のコミュニティ・カレッジなどに入学した場合、あなたは図書カードを渡される。それはあなたのものとなり、あなたはそれを自由に使うことができる。ただし、他の人にそれを売ったり貸したりすることはできない。図書カードのおかげで、あなたは知識にアクセスできるようになる。同じように、「一人一票一株」の会社を作ってみたらどうだろうか。ボーナスを使って資本を蓄積することもできるようにする。配当は同じでも、ボーナスは人によって異なる。ボーナスの金額は同僚からの評価によって決定される。専用の投票システムを作ればできることさ。退社した場合は、今まで使っていた図書カードを別の新しい図書カードと取り替える。転学するのと同じ感覚で転職をするわけだ。こうなれば、株式市場はおしまいだ。

   今年の9月に発売予定の新刊があるんだけど、その執筆の真っ最中だから、こうやってその本からのアイデアについてつい熱っぽく語ってしまった。ポスト資本主義社会を構想するという本なんだ。そこでも、考えれば考えるほど、市場を機能させるためには資本主義を終わらせる必要があるという結論にたどり着く。どういう意味かと言うと、私的所有(private property)[訳注:おそらく「民間銀行業」の誤り]と株式市場(stock exchange)を廃止すべきだということだ。企業はすべて組合に変身し、「一人一株一票」が原則となり、民間銀行業も廃止となる。そもそも、民間銀行業なんて必要ないだろう? 国民は連邦準備制度で直接、銀行口座を開設すれば良い。そもそもなぜ仲介人が必要なのか。

   例えば、量的緩和という政策がいかに馬鹿げているかを考えてみてほしい。パンデミックの渦中で経済がボロボロにされているというのに、連邦準備制度はこともあろうにバンク・オブ・アメリカやシティバンクに融資をしている。そうすればバンカメやシティが国民や企業にそのカネを渡して生産的に使ってくれるだろうという期待を込めてさ。でも、中央銀行と市場や社会の間に民間銀行を挟んだ途端、かかる融資は即座に消えてなくなるか、あるいはとんでもない使われ方をする。銀行家には鉄のルールがあるからね―「お金を必要としていたり、お金を生産的に使えたりするような人には決して融資をしないこと。代わりに、投機家にそれを融資すること」というルールだ。宇宙人が地球の株式市場を見たらびっくり仰天するだろうね! 天才集団が必死になって紙の束を(あるいは電子の束を)右から左へ手渡している光景。金融工学などと言うけど、何も発明できていない。ポール・ボルカーの名言を思い出してほしい―「長年この業界を見てきて思うのだが、新式の負債を除いて他に何一つ発明品は生まれていない」。

   そこで想像してみてほしい。僕ら一人ひとりに個別の連邦準備制度口座が与えられる。普通預金口座と貯蓄口座に分けても良いだろう。そして、今回のような危機が起きた場合には、連邦準備制度が直接個々の口座に追加でお金を打ち込む。そうすれば、パンデミックの渦中でも需要が潰れずに済む。すばらしい仕組みだろう! 銀行家に巨額の手数料を支払う必要などどこにもない。それに、民間銀行業と証券・株式市場の組み合わせを廃止にすれば、企業は「一人一株」の原則に従って民主的な意思決定をする組織へと様変わりする。人間には自分が属する組織に関わるものごとを合理的に決定する能力があるし、その能力は驚くほど高い。企業でも地元の政治集会でもそれは変わらない。経済の民主化だ―すてきなアイデアだろう? 断っておくが、市場をやめろと言っているのではない。株式市場と民間銀行業をやめろと言っているのだ。何度も言うが、僕の仮説はこうだ―「市場を正常に機能させるためには、資本主義を終わらせるしかない」。

リターン

3,000


純粋応援コース

純粋応援コース

那須里山舎と『世界牛魔人ーグローバルミノタウロス』翻訳出版プロジェクトを応援してくださる方に、㈱那須里山舎より心を込めて感謝のお手紙をお送りいたします。

支援者
21人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年6月

5,000


完成書籍先取りコース

完成書籍先取りコース

出版プロジェクトを応援しつつ『世界牛魔人ーグローバルミノタウロス』を本棚に置きたいという方へ。那須里山舎から本書を一冊、発売日前にお送りします。あわせて、感謝のお手紙も同封いたします。

支援者
107人
在庫数
189
発送完了予定月
2021年6月

10,000


先行出版記念イベントコース

先行出版記念イベントコース

がっつりと応援しつつ制作チームと共に出版を祝いたいという方へ。那須里山舎より以下の三点セットをお送りいたします。
1、ご賛同者様限定先行出版記念イベントの招待状(オンライン開催を予定しておりますが、開催日程については調整中です)
2、『世界牛魔人ーグローバルミノタウロス』翻訳本一冊(発売日前)
3、那須里山舎より感謝のお手紙

支援者
23人
在庫数
22
発送完了予定月
2021年6月

30,000


マックス応援コース

マックス応援コース

最大限の応援をしていただける方に、すべてのリターンに加えて、翻訳本の巻末にお名前を掲載させていただきます。以下のセットとなります。
1、ご賛同者様のお名前を翻訳書巻末に掲載
2、ご賛同者様限定先行出版記念イベントへの招待状
3、『世界牛魔人ーグローバルミノタウロス』完成本一冊(発売日前)
4、那須里山舎より感謝のお手紙
 <*注意事項:このリターンに関する条件の詳細については、リンク先
(https://readyfor.jp/terms_of_service#appendix)の「リターンに関するご留意事項」をご確認ください。>

支援者
24人
在庫数
25
発送完了予定月
2021年6月

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