貧困・格差と闘う思想家ヤニス・バルファキスの名作を翻訳出版したい！

とてつもない特権＝ドルのお話

以前、この新着情報で、バルファキスさんのお話によくでてくる「ブレトン・ウッズ体制」のお話をしました。今回は、そのお話をすこしすすめて、本プロジェクトの「世界牛魔人」の中身にすこしふれてみましょう。

下のグラフをみてください。これは、世界１９２か国の「経常収支」グラフのトップスリーとビリの国です。経常収支とは、極めてざっくり申し上げると、その国の儲かった総額みたいなものです。なんと、アメリカが１９２位で最下位「赤字」のダントツです。

単純・素朴に考えると、世界ナンバーワンの国だと思っているアメリカが、ダントツの赤字国家だとは不思議なお話しではないですか？しかし、実は、このビリは、アメリカの【特権】の証拠でもあるのです。ブレトン・ウッズのときにも、すこし書きましたが、現在の世界の貿易は、大半がドルによって決済されます。そうなると世界で貿易商売するには「ドル」をもっていないと参加できません。そこで、各国はドルを獲得するために、たとえば、１００ドルを得るために、それにみあう財かサービスを輸出しないといけなくなります。ところが、最終的に輸入側のアメリカは、これもたとえ話的にいうと、ドルは輪転機をまわして印刷すればよいので、ほとんど、タダ同然で、輸入できることになります。しかし、それは、「収支」でいうと「赤字」になる。それが、このグラフの意味なんですね。これを、ドルの「とてつもない特権」といいます。この「とてつもない特権」でアメリカは世界に君臨してきたわけです。ところが、このドルをばらまく行為が、世界経済にとんでもない「不安定さ」をまねくことになる。それが「世界牛魔人」のなかのひとつのお話のネタでもあります。ここから先のいろんなお話は、本プロジェクトの完成をお待ちいただくことにいたしましょう。今回は、ここまでといたします。（文責、白崎）