シャンティの菊池です。

あたたかい応援、本当にありがとうございます。

挑戦は、あと1日です!!

 

コミュニティ図書館の利用者であり、10年ほど前にアメリカに第三国定住したエッシーナさんを紹介したいと思います。彼女は昨年、当事務所にて一カ月半のインターンシップに参加しました。自身の故郷である難民キャンプへの教育支援活動に興味を抱き、私たちの事務所に連絡をくれたのがきっかけです。

 

エッシーナ・ローレンスさん(21歳)

 

◇エッシーナ・ローレンスさん(21歳)

メラ難民キャンプに生まれる。お母さんが、2006年~2007年に、コミュニティ図書館で図書館員をする。彼女が当時10歳の2007年に家族とアメリカへ第三国定住する。現在はアメリカでの大学に通う学生。国際関係学、国際法、人権を勉強中。昨年4月から5月にかけて、当事務所にて1カ月半インターンとして活動する。

 

 

メラ難民キャンプのコミュニティ図書館はとても身近な存在だったようですが、具体的にどのような思い出がありますか。

 

私は子どものときに図書館でボランティアをしていました。私と友だちは、毎週月曜日と木曜日の放課後の担当で、私たちより小さな子どもたちに絵本を読んでいました。その当時、図書館ではおはなし大会が開催されていて、私も友だちと一緒に参加しました。1番になると賞品として鉛筆をもらえたことを覚えています。私も友だちも絵本を読むことが大好きで、特に図書館員が大きな絵本で読んでくれる『おおきなかぶ』が一番好きでした。また、父の日のイベントで、みんなの前でスピーチをしたことがとても懐かしいです。

 

メラ難民キャンプにいた当時のエッシーナさん

 

図書館員だった母からは、たくさんのことを学びました。母が家でよく歌の練習をしており、私も自然と歌を覚えていました。また、母は、どのように子どもたちに絵本を読むのか、どうやって子どもたちを惹きつけるのか、折り紙でどうやって動物を作るのか、教えてくれました。そして何よりも、絵本がどんなに意味があり、どんなに力があるのかを教えてくれました。

 

図書館員として活動するエッシーナさんの母親

 

 

アメリカへの第三国定住後の生活について教えてください。

 

移住後は小学校6年生として地元の学校に入学しました。私の家族は、言語の壁やカルチャーショックなどのさまざまな困難に直面しました。そのようなこともあり、大きなカレンのコミュニティがあるユーティカ (ニューヨーク州)に引っ越すことを決断しました。その後、高校、大学に進学し勉学に励んでいます。

 

ユーティカは非常に多様性に富む町です。タイ国境のカレン難民を含め、様々な国からの難民が暮らしています。そしてユーティカは、ここ10年ほどの間で移り住んできたカレン難民がとてもたくさんいます。新しい移住者を助けるためのカレン通訳者も多くいます。カレン族コミュニティが利用し継承する教会もあります。さらには、カレン族の人によって営まれるアジアンマーケットもあるので、アジアの品物が多く手に入ります。

 

自らの土地を離れざるを得なくなったカレン族の人びとは、世界各地に暮らしています。カレンの人びとは、カレン族というアイデンティティをどのように保っているのでしょうか。地理的隔たりを超えたカレン族の文化的つながりを象徴するような文化活動や伝統行事があれば教えてください。

 

カレン族コミュニティは、年に2度大きな祝祭日があります。一つはカレン族のお正月、もう一つは戦没者慰霊祭です。これらの日には、カレンの人びとは伝統衣装を身にまとい、伝統的な踊りを踊ります。ユーティカでの戦没者慰霊祭には、他の州や国からのカレン族の人びとも集まり、皆でバレーボールとサッカーの大会を開きます。また、2017年の11月には、カレン族の平和行進がワシントンD.C. の米国国会議事堂前でありました。これは、カレン族を含めたミャンマー(ビルマ)国内少数民族の受けるビルマ国軍による人権侵害について、意識を高めることを目的に行われたものです。さらに、米国政府に対してビルマへの武器輸出禁止を要求しました。およそ6,000人から1万人のカレン族の人びとがこのイベントに参加しました。

このように、カレン族コミュニティのつながりは保たれており、移住先においてもカレン族としてのアイデンティティが維持されています。

 

2017年11月、カレン族を代表して国会証言に参加-米国国会議事堂前にて

 

 

第三国定住でアメリカへ渡ってから10年が経ち、エッシーナさんは大学で国際関係学や国際法を学び始めました。そして国際支援や教育支援に関心を持つようになり、自分の故郷である難民キャンプでできることはないかと考え始めたそうです。

 

なぜインターンシップ先としてシャンティ・当事務所を選んだのですか。

 

私がシャンティでボランティアをしたいと思ったのは、図書館の活動がすべての子どもたちに教育の機会を提供していると思うからです。図書は、国際紛争、科学の発見、世界の歴史を含め、私たちの知識を広げ、難民キャンプの中にいても、想像力を通して世界を旅することを可能にしてくれます。また、図書には、人権や健康など、私たちの身の回りにある問題に気づかせてくれます。図書館は私たちの第二の家になってくれると思います。私自身、読書を通して、授業で学ぶこと以外のたくさんのことに触れることができました。このように図書館が私や私の友だちに与えてくれたことを、シャンティに恩返ししたいと思ったことも、ボランティアに参加した理由です。

 

インターンの最終プレゼンテーション

 

 

インターンとしてシャンティの活動に参加し、どのようなことを感じましたか。

シャンティの活動に携わっていて、改めて図書は難民キャンプの人々にとても役立っていると感じました。また、メーソット事務所の仕事環境はとてもよく、職員の皆さんが一生懸命仕事に取り組むとともに、とても明るい環境なので、私自身、仕事を楽しむことができています。難民キャンプを訪問して、自分の目を通して様々な課題が見えてきましたが、それと同時に職員の方が私の気づかない課題についても共有してくれて、とても勉強になりました。

 

メラ難民キャンプにシャンティ職員とともに同行、青年向け研修会に参加

 

 

シャンティでのインターンシップを経て、エッシーナさんのこれからについて教えてください。

 

今回のシャンティでのインターンシップの経験は、ぜひ大学卒業後のキャリアに生かす予定です。そして将来はNGOの現場で働きたいと考えています。アジア地域でのシャンティの活動には大変関心があり、今後も関わっていきたいです。そして、難民が日々直面する困難な状況について、文章として書き表したいと考えています。私は、タイ国境の9カ所の難民キャンプに住む難民の状況は、国際社会では十分に知られていないように思います。私が文章にしたものが、少しでも人びとの意識を高められることを願っています。

 

ボランティア経験を通して、さらに自分がやりたいと思うことが明確になったというエッシーナさんを、これからも応援していきたいと思います。

 

シャンティ・メーソット事務所の職員らと

 

 

今、こうして図書館活動から影響を受け、自分の人生の夢を叶えようと努力している人たちに出会えることは本当に嬉しく、そしてありがたく思っています。図書館の持つ力をひしひしと実感するともに、これからも一人でも多くの人びとが未来を切り開いていく力になりたいと心から思っています。

 

 

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