保護猫活動と、猫同士の強い絆

プロジェクトが22日に第一目標を達成した喜びの中、実はその前日にも、もう一つ喜ばしい出来事がありました。

 

当旅館にいるベニとユリというメス猫を、2匹一緒に迎えて下さる里親さんが決定して、晴れて3月21日、正式譲渡への運びとなった事です。

 

以前の活動報告でもお伝えしましたが、この子達は昨年、多頭飼育崩壊の家で産まれ、その時に救出した11匹の仔猫の内の２匹です。当旅館で引き取った後、弱った体を治療し続けながら、これまでずっとお世話をしてきました。

 

ベニとユリはいつも寄り添い合い、少しでも姿が見えないと探し合ったり、病院通いでキャリーに入れる時も、ユリだけを先に入れると嫌がるのに、ベニが先に入れば安心して中に入るなど、お互いの絆がとても深いです。

 

猫は群れずに単独行動するイメージがあると思いますが、仲間との絆が強い子もいます。

 

穏やかで優しい性格と、柔らかくもふもふした毛並みに癒される方が多く、この子達の里親候補者さんは数多くいましたが、ベニかユリのそれぞれ1匹のみのご希望でした。

 

ありがたい事ですが、絆の深いベニとユリを引き離してしまう事はどうしてもできず、２匹一緒にお迎えしてくれる里親さんとの出会いを待ちました。

 

実は昨年、既に２匹の里親さんが決まっていたのですが、トライアルの際ご自宅で長く過ごす事により、ご家族に猫アレルギーが出てしまい、泣く泣く戻ってきたという経緯があります。

 

理想的なご家族だっただけに非常に残念でしたが、また振り出しに戻り、引き続き根気よく里親さんを待つ事にしました。

 

その願いが届き、この度素晴らしい里親さんが、ベニとユリを家族として迎えてくれて、感謝の気持ちでいっぱいです。新しいお家でも、いつも一緒に行動しているそうです。

 

一方猫アレルギーをおこしたご家族ですが、ベニとユリが今でも大好きで、家にお迎え出来ない分、2匹に会いに何度も旅館に足を運んでくれていました。

 

そんな2匹にもう会えなくなり寂しいとは思います。私達も保護した子が長くいればいるほど思い入れも深くなり、家族のように過ごした毎日を思うと、譲渡の度に毎回、娘を嫁に出すような切ない気持ちになります。

 

それでも、本当の幸せを掴んだこの子達を、一緒に祝福してくれたら嬉しいなと思います。

 

過酷な環境で産まれ、衰弱していたベニとユリ。この子達を救う事ができ、こうして幸せを見届けられた時が何より、活動を続けてきて良かったと思える瞬間です。

 

猫を飼うなら、保護猫を里親に迎えたいという方が年々増えています。保護するボランティアの、活動へのご理解とご支援のお気持ちが込められていて、本当にありがたい事だと思っています。

 

そして里親さんが決まれば、その分また不幸な猫を救う事が出来ます。

 

保護猫活動と、里親さんを待っている保護猫たちに関心を寄せて頂ける方が、この先もっと増えていく事を願っています。