クハ489-501が当地に保存されるまでには様々な出来事がありました。

JR東海初代社長で、鉄道友の会の会長、須田寛様からも、保存に際して「大変思い出深い車両の一つ」と称されました。

その須田様でさえ及ばない、元国鉄の副技師長をされ、ボンネット型を造詣された「生みの親」が、星 晃氏です。

 

平成24年10月、地元紙北國新聞が第一報を出した際、情報は瞬く間に広がり、病気療養をされていた星氏にもお話が通じたのだそうです。

一般公開が行われたら是非お越しいただきたいと願っていましたが、公開の5か月前、第一報から2か月後の12月に、93歳でご他界されました。

 

当プロジェクトで今回復元するクハ481初期型という姿こそ、星氏が昭和39年に設計、色彩担当をされた姿、そのものになります。

運行現場は、設計当初の姿より、機能性を重視するため、合理化による装備の簡略をはかってしまいますが、星氏は、国鉄が新幹線の成功を祈念する一方で、日本全国に画一的なサービス向上、「1億総中流」を目指すべく中距離輸送の軸となる特急電車の大胆な資本投入で、デザインにも気を配りながら質の高い車両設計をされました。

だからこそ、これまで堅牢で乗客死亡事故の無い、安全神話のボンネット型特急が出来たといえます。

星氏は生前、クハ489-501保存の報に、「それはよかった、何とかしてあげたいな…」と仰ったそうで、その遺言は昨年5月17日、全国植樹祭で天皇皇后両陛下がご来郷の日にお見えになられた星氏のお知り合いの方から私にもたらされました。

この日に合わせて製作展示した「新婚列車ちよだ号」のヘッドマークは、両陛下がご結婚された、昭和34年4月10日と12日に東京と伊東の間を運転された実在の準急列車で、当時花形だったボンネット型特急電車20系の先頭を飾ったマークの復元になります。

星氏が直接設計されたボンネット型特急先頭車の末えいが、クハ489-501となりますが、その基本的な造詣あるがゆえに、星氏の原点に回帰し、「温故知新」として次の世代の子ども達にも見せてあげたいと思いませんか?

車内には、「特急」のサイドボードに生前お書きになられた自筆のサインが飾られています。 このサインを目にする度、このプロジェクトが達成出来るよう「何とかしたい」という遺志を継ぐ思いを強くします…。