子どもたちに開かれた保護犬猫の触れ合い譲渡施設、25年越しの改修へ

この活動に参加するようになって、今年で10年目になります。

 

以前舘田さんに永く続けている理由を尋ねられたことがあります。

考えたこともなくて答えられなかったのですが、この活動に参加するきっかけになった犬との出会いがありました。

 

チャイニーズクレステッドのユーリー君といいます。

 

当時私は愛猫が旅立って、沈み込む日々が続いていました。何か自分にできることはないかと調べているうちにフレンズ・オブ・アニマルズの存在を知りました。ホームページには保護された動物たちの写真とメッセージが添えられていました。

 

偶然見つけたユーリー君の写真には、お独りで飼育されていた飼い主の方が亡くなり、保護されるまで独りで頑張っていた経緯が書かれていました。最後に『ガリガリに痩せていたけど、今はふっくら。もう大丈夫よ』と書かれていました。その一文が私を後押ししてくれたことを９年経った今でも鮮明に覚えています。『私もきっと何かできるはず。私も「もう大丈夫よ」と言って誰かを抱きしめてあげたい』。そして今日に至ります。

 

始めて会ったユーリーはとても明るくて、フレンドリーでした。

お散歩は大きいお兄ちゃん犬に混じって負けずに走ります。犬じゃなくて仔鹿ではないかと思うほど公園を駆け抜けます。

皮膚が弱くトリマーさんに一からシャンプーを習って毎週シャンプーをしたりしましたが、晩年は突発性の網膜変性症のために視力を失い、腎臓疾患も発症しました。

それでも元気よく散歩に行き、ごはんもたくさん食べてくれました。

知り合ってから旅立つまでずっと寄り添い続けてきました。たくさん笑ったし、たくさん心配したし、たくさん泣きましたが、一緒に過ごせた日々は本当に幸せでした。

 

ひとつ。忘れられない思い出があります。

 

『ユーリーのまぐたくおむすび事件』

ある日、自分のお昼ご飯用にと買ったマグロとたくあんの具材のおにぎりをテーブルに置いて作業をしていました。ユーリーには届かない位置に置いたつもりでした。いつも晩御飯の時間になると催促コールがあるのに、その日は何故か静かなのが気になって部屋を覗くと、ユーリーが慌ててテーブルの下へ潜って行くのです。具合でも悪いのかと心配になり、覗き込んだ時のユーリーの顔が今でも忘れられません。あの逆三角形のシャープな顔立ちで、大きいおにぎりをパックリ咥えてお口からおにぎりの底辺が少しはみだしていました。

私はとんでもないことになったと舘田さんに助けを求めました。少々のことでは驚かない方ですが、さすがに面食らってしばらく無言でユーリーを見つめていらっしゃいました。

たくあんは塩分があるからよくないと吐き出させようとしましたが、せっかく手に入れた食べ物を渡せないとギリギリと歯を食いしばり全く言うことを聞きません。とうとう口をモグモグさせながら、じりじりと後ずさりしてゴックンと飲み込んでしまいました。

がっくりと肩を落として呆然とユーリーを見つめると、かたわらにまぐたくおむすびのくちゃくちゃになったパッケージが落ちていました。

「あ、ビニールは吐き出したんだ…」とひとり呟きました。

　　

あの時のユーリーの顔。

 

今でもお店でまぐたくおむすびを見かけると、必ず思い出します。

ねえ、ユーリー。楽しかったね。

おばちゃん（動物たちにはそう呼ばれています）は今でも頑張っているよ。

お母さん（舘田さん）も頑張っているよ。

 

これからもみんなをお空から見守っていてね。