今日も雅楽演奏家の仕事についてです。
雅楽演奏家は、何を仕事にしているのか?…そりゃ雅楽に決まってますが(笑)。
そうではなくて、雅楽の演奏家は具体的にどんな仕事をしているか?という
話です。そう、概念としての雅楽演奏家、ではなく実際の仕事の話です。
我々雅楽演奏家には専攻というものがあります。そりゃそうです。
オケでバイオリン弾いている人の専攻楽器は、もちろんバイオリンです。
雅楽の世界でも、専門に稽古する分野があります。
しかし、雅楽の演奏家が稽古する分野は多岐に渡ります。

 


雅楽の演奏家は、専攻を(専攻管楽器)、(専攻舞)、(専攻絃楽器)、
この三つを以て自己紹介とします。
つまりは(鳳笙・篳篥・龍笛)、(左舞・右舞)、(琵琶・筝)、
上記の内一つずつ取って専攻、となります。
例で言うと、「私岩佐堅志の専攻は龍笛・左舞・琵琶です」となります。
しかし、これだけでは終わりません。雅楽の演奏家は、その他
打楽器(羯鼓・三ノ鼓・太鼓・鉦鼓)の奏者ともなります。
また歌物(うたもの)と呼ばれる声楽もあるので、この時は声楽家です。
ちなみに、打楽器・歌物は全員必修となります。
つまりは、雅楽の世界では専攻する舞・楽器の他に打楽器四種・声楽と
合計八種類の分野をカバーする必要があります。


 

こう考えてみたらどうでしょう?
例えば、生演奏のオペラの公演があったとしましょう。
その時の配役が当たるとします。
フルートを吹くかも知れないし、バイオリンを弾くかも知れません。
ティンパニーの配役かも知れませんし、オペラを歌う歌手。しかも踊るのかも。
考えてみれば、結構無茶な要求です。
それでは、他の邦楽の世界ではどうなのでしょうか?
他の邦楽の世界では分業化が進んでいます。想像してみてください。
歌舞伎俳優が舞台上で笛を吹きますか?あり得ません。
もちろん当たり前ですが、全て遊びではありません。
雅楽の世界においても、舞台に立つ以上全ての分野において
一定以上の実力が求められます。


 

では、どうやってその実力を身につけるのか?
…当然ながら近道などあるはずもありません。
ひたすら稽古しかないのです。
例えば60分稽古する時間がもしあったとしたら、
それを八等分してそれぞれの分野を稽古する。それしか方法は無いのです。
ちなみに私は、どちらかと言えば笛を吹くより舞を舞う方が好きです。
体を動かして汗をかいた方が「何かを創っている!」という気持ちになるから。
でも、結局のところ何でも良いです。雅楽に関われたらそれで良い、という
短絡的な性格なのです(笑)。


 

博雅会では、公演に際しては配役をコロコロ変えます。
それぞれが万能選手なので、どんな役を与えられてもこなせるからです。
邪道ではありますが、舞楽の舞人が笛を吹いたりする、そんな演出もアリなのかも。
是非、東北で実現したいですね。 

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