【2009年秋~冬】

コラーニ教授から送られてきた、扇子のコンセプトデザイン。

親骨の片側に、親指を添える部分がにょきりと大きく突き出しています。

私にはそのコンセプトが日本人の扇子に対する認識を大きく覆すものに思えました。

 

 

平安時代の日本人が発明した扇子が持つ、折り畳んでコンパクトに納めることができるという最大の特徴などお構いなしに、左右非対称の親骨が握った時に手指に吸いつき扇ぐ時にバランスよく力が行き渡るデザインが、コラーニ教授が提案する人間工学的なアプローチによる扇子のデザインだと理解しました。

 

このようなデザインアプローチは、前代未聞です。早速、私は京都扇子団扇商工協同組合に連絡し、この扇子が作れる扇子店を紹介して頂くことをお願いしました。すると、「作れるかどうかわからないけれど」という前置き付きで、ご親切に複数の扇子屋さんの連絡先をお伺いしました。私は直ぐに京都に走り2軒の老舗扇子屋さんを尋ねます。

 

 

ヒアリング結果は、惨澹たるものでした。

 

最初は「面白い」「変ったデザインですね」そのような反応が返ってきましたが、いずれも「この親指の部分は竹での加工が難しい」「恐らく作るのは無理だ」など、最終的にはそのような回答になったので、私は途方にくれました。ご対応いただいたのは職人さんではありませんでしたが、コラーニ教授に「あのコンセプトデザインでは作れません」などとは言えるはずがありません。

 

初の扇子店でのヒアリングは、残念な結果に終わりました。

しかし、これしきのことでは諦められません。

 

何より、扇子づくりの専門家でもなければ、モノづくりの専門家でもない自分には、まだまだ情報も経験も足りていません。

 

私は京都から帰る電車の中で、モノづくりの専門家の方々に相談し、解決策を模索することを考えていました。頭の中には、コラーニデザインが好きで、モノづくりにも精通している友人の方々の顔が浮かんでいました。

 

(つづく)

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