【まずは危機を認識することから】

日本で生まれ、世界に拡がっていった扇子。生活の中に深く根付き、日本文化の象徴的意匠といっても過言ではない扇子。

 

今では余りにも広く世界に普及してしまったために、扇子が日本人の発明品であることをご存じない方もいらっしゃるかもしれません。

 

そんな扇子が国内で生産できなくなるかもしれない…。「かはほりあふぎ」を開発する過程で、京都の扇子産業に携わる方々からそのようなお話を聞いた私は、居ても立ってもいられなくなりました。

 

これまで「かはほりあふぎ」の開発秘話にて、国産扇子の危機の一端を少しだけお伝えしてきたわけですが、本日よりこの話題をメインとしてお届けしてまいります。何卒、お付き合いくださいますよう、宜しくお願いいたします。

 

【国内の生産数量の変化】

平安時代の宮中で「檜扇(ひおうぎ)」と呼ばれる扇の元型が誕生して以来、1200年以上の歴史がある扇子が、いよいよ国内で生産できなくなる危機が迫っています。

 

特に扇子産業の中心である京都でこの問題が顕在化しており、生産本数はこの約15年ほどの間に1/5以下の200万本まで落ち込んでいるそうです。

 

【国産扇子の様々な危機】

複合的な理由が重なって現在の危機に至っていますが、大きくは次の内容に集約されます。

 

1.海外生産の常態化と生活者の低価格扇子の受容

2.職人の高齢化および減少
3.国産品の需要低下に伴う上質な竹素材の減少
4.扇骨・和紙など部材供給元の経営不安定化
5.若い世代に技術が継承されない

 

私は、様々な取材から「1.海外生産の常態化と生活者の低価格扇子の受容」が扇子産業にとても大きなインパクトを与えていると考えられたので、2014年1月に、クロス・マーケティング様のご協力を得て、約2,000人の扇子の使用購入実態に関するアンケート調査を行いました。調査概要と質問項目は、次の通りです。

 

・年齢対象:15歳~69歳
・性別:男女
・地域:全国
・サンプル数:1,998サンプル

・質問数:5問

・質問項目:

【使用経験】昨年(2013年)、涼をとるための扇子を使いましたか
【入手方法】涼をとるために使った扇子を、どのようにして手に入れましたか

【購入本数】涼をとるために購入した扇子は、全部で何本ですか
【購入場所】購入した扇子は、どこでお買いになりましたか
【購入価格】購入した扇子は、おいくらでしたか

 

そのアンケート結果は、次の通りです。

 

 

扇子の使用者は全体の4割。なんと半分を切っています。そのうち約3割はその年に自分で購入していましたが、それ以外の人は昨年自分で買った扇子を使ったり、誰かからもらった扇子を使っていました。1年間に自分で涼を取るために扇子を買う人の率は11.6%でした。日本の1割くらいの人しか毎年扇子を買わないのだとすると、やっぱり少ないかな?という印象でしょうか。

 

ただ、平均購入本数は1.6本となっていますね。ん??多くの人が複数の扇子を買うのでしょうか?また購入価格は平均してざっくり見ると1,764円。高いのか安いのか…?これだけでは何故こんな数字になっているのか、実態や全体的な構造がよく判りませんね。

 

扇子にまつわる数字に少し慣れてきて頂いているところですが、今回はこれでおしまいです。次回のデータで見る国産扇子の危機(後篇)で詳しく数字を見て行きましょう。今回も、お読み頂きましてありがとうございました!

 

(つづく)

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