【プロジェクト達成までの軌跡に奇跡を見る】

先ずはご覧ください。このグラフの数字の動きを見るだけで、私の頭の中では色々な事が走馬灯のように浮かんでは消えます。あの苦しさと嬉しさが複雑に入り混じった2カ月を思い出し、ちょっとだけ気持ち悪くなってしましたが、どうやら苦しさ要素の方が多かったみたいですね(笑)。本当に、皆様とご縁を結ばせて頂き、クラウドファンディングを達成させていただけたことが奇跡のように思えます。

ご支援の推移をグラフにしてみました。実行者の心臓に悪い資金の集まり方!?(苦笑)
それにしても最後の盛り上がりはドラマティック過ぎやしませんか?(笑)

 

思い起こせば、6年近くの歳月をかけて(結果としてかかってしまっただけなのですが)試行錯誤を繰り返し、2015年5月25日に公開させて頂いた本プロジェクトは、私の中では成功するか失敗するかどちらに転んでもおかしくない、「五分五分の闘い」としてスタートしました。ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、42年の人生で培った全てをかけて本気で取り組むべきミッションと位置付けて、その心構えで臨ませていただきました。

 

実はクラウドファンディングという資金を集める仕組みがあることを知ったのは、お恥ずかしながらその2カ月前の3月のこと(苦笑)。当初、どうやって投稿して皆様の共感を得ながらご支援を集めていけばよいか中々イメージが湧きませんでした。

 

しかし、私には5年の間にがむしゃらに取り組んできた体験のストックがありました。コラーニ教授にデザインを描いて頂いたこと、自分でモデルを作って検証したこと、何も知らない余所者が京都の扇子産業の扉を叩いたこと、友人やデザイン会社の力をお借りしてコンセプトを具現化させたこと、扇子産業の危機を身を持って体感したこと、扇子にまつわる生活者調査と分析を行ったこと、そして一人の扇子職人さんの心の声をじっくりお聴きしたこと…。その全てを丁寧にお伝えしていけばいいんだ、そう考えるようになりました。

 

数あるクラウドファンディングの中からREADYFOR?を選んだ最大の理由は、最も自分の取り組みを多くの方に理解していただける「仕組み」が備わっていると思ったこと。私たちの取り組みを皆様と共有させていただき、一緒に国産扇子と扇子産業について考え、世界初の特徴を持つデザインの扇子づくりに取り組ませて頂く「共創ドキュメンタリー」として位置付け、「コラーニデザインの京扇子を創ること」と「国産扇子の危機を訴えること」を同時に実現するマルチコンセプトのプロジェクトとして挑ませていただきました。

 

初夏から暑い夏の2カ月をかけてインターネットだけでなく、様々な場所で沢山の方に告知と支援のお願いさせていただき、記事の投稿に尽力させて頂いたのですが、途中経過は皆様ご存知の通りでして、多くの方々からあたたかいご支援をいただいていたにもかかわらず、殆どの方が「もう駄目なんじゃないか」と本気で思われたくらいにゴールが全然見えなくて大変苦労いたしました。自分の力量不足、熱量不足を痛感しました。

 

しかし、皆様の粋な御計らい(?)のお陰で最後の数日間に大どんでん返しがやってきて、目標金額を大幅に超えてなんと118%で達成させて頂くことができました。苦しい状況でも自分を信じて最後まで諦めなくて本当に良かったと思います。目標達成した瞬間は風呂に入っていたので見ることはできなかったのですが、携帯電話に達成おめでとうメールが沢山入っていたことでその事実を知り、READYFOR?の画面を見ながら小学生の娘と一緒に抱き合って喜んだのを今でも覚えています。

 

因みに、今でも宮脇賣扇庵様を訪問すると「娘さんはおいくつになりました?」と、会話の中に娘が登場します。実は彼女は物心つく前から一緒に京都を訪れて、かはほりあふぎづくりを傍で見ていました。彼女も支援者の一人なのです。

 

【衝撃のメッセージ】

苦しい中にもやり甲斐に溢れていた大興奮のクラウドファンディングが終わり、こころを落ち着かせる間もなくモデルの修正と金型製作が始まりました。皆様から「これからが本番ですね」「今からが本当に大変ですよ」とのメッセージを頂いていたのですが、初めての金型製作に奔走し、いただいた言葉が持つ意味を噛みしめていた10月半ばのある日、突然、面識のないある若い会社員の女性の方から、次のメッセージが届きました。

 

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乙井様

 

こんにちは、いきなりのメッセージ大変失礼いたします。
私は、京都の◆◆◆◆という扇子店の娘です。

基本的に卸を中心とした商売をしているため、ご存じないかと思います。
かはほりあふぎのプロジェクトを拝見し、ご連絡をさせて頂きました。
まずはプロジェクトご成立、まことにおめでとうございます!
扇子に携わるものとして、本当にうれしく思います。

 

恥ずかしながら、プロジェクトを知ったのが成立してからのことで
なんの支援もできずに、申し訳ありませんでした。
プロジェクト成立まで、大変な思いをされたことでしょう。
本当に、お疲れさまでした。

 

マーケティングのお仕事をされているということもあってか、
すべてにおいて完成度の高いプロジェクトだなあと、
尊敬の念をもって拝見しておりました。

 

ご存じのとおり、京扇子は衰退の一途をたどっております。
私も実際、他の企業で働いており、後継は厳しいと思っておりました。

乙井さんのプロジェクトを拝見していくうち、
率直に「悔しい!」という気持ちになったのです。
なぜこのような気持ちになるのか。。としばらく考え続けていると、
やはり私の心の中には「扇子」を大切に思う気持ちがあることに気づきました。

 

そこから紆余曲折あり、私は家業に従事することを決めました

 

現状では厳しいかもしれませんが、京扇子は100年先も続けられる商売であると思っています。環境的な意識が高まりつつあり、外国人観光客をはじめとした海外からの引き合いも強くなってきている。
政策もクールジャパンを支援している中、「機会」は多く挙げられますし、
勝負に出るのなら、間違いなく今がチャンスだと考えています。

伝統は革新の連続、という言葉がありますが、それを強く正しい方向に向かって続けていける会社でありたいと思います。

 

こんな風に考えられるようになったのも、かはほりあふぎを知り、
自分の内面を顧みる機会を頂戴したからです。

本当にありがとうございます。


長文大変失礼いたしました。

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胸がいっぱいになった私の目からは、涙があふれました。
うれしくてうれしくて、何度も読み返しました。

私たちの取り組みが、一人の若い女性のこころを動かしたという事実に衝撃を覚え、重い責任を感じ、こころの奥底から感激に震えました。

 

そして一晩かけてこころの整理をした私は、翌日このように返信しました。

 

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◆◆◆さま

私にとって最高にうれしく感じるメッセージをお送り頂きまして、

本当に有難うございました。
そして、◆◆◆さんの「扇子」を大切に思う気持ちと、
勇気ある素晴らしいご決断に、心より感謝申し上げます。

 

私の行動がご決断に少しでも関われたのだと思いますと、感無量です。
今後のご活躍を祈念しますと共に、心から、また具体的なアクションでも、全面的に応援させていただきます!

実は、昨日の朝にメッセージを拝見し、うれしくて涙が出ました。

私は門外漢として京都の扇子産業に6年という僅かな期間だけ携わらせて頂いただいているだけですので本当に素人ですし、知識も経験も乏しければサラリーマンということもあり、京都式ビジネスの環の中にも入れない(笑)。


あくまで当事者の方々が直ぐにはチャレンジできない実験的なコンセプトを提案し続けさせていただいて、この大きな危機に対して真剣に目を向けて頂き、共鳴していただいて、よいと思って頂けたらご自由にアレンジして取り入れて頂けたらいいなあ…というような立ち位置でやってまいりました。

 

◆◆◆さんの様なご経験と視野をお持ちの若い方が伝統産業に戻られて、
旧来と異なる視座から経営者としてご家業のビジネスに革新をもたらされる事は、真に意義のあることと存じます。

 

私なりに青写真を描いていますが、今の自分にできることは限られています。
◆◆◆さんの様な方と是非色々な革新的な事に取り組ませていただきたいと願っています。真の日本の伝統文化は、日本列島の多様な自然・生態系と、沢山の小さな企業さまや生活者個人が担われています。

 

大きな日本企業やグローバル企業がお金を出したからといって到底担えるものではありませんし、そもそもそのような認識を持つ企業を見つけることも困難な状況です。このような難しい課題にどうやって取り組むべきなのか。

私は、非力ながらもこの課題に本気で向き合い、一人でも多くの方々と一緒に知恵と行動を持ち寄って取り組み、共鳴くださる方々と共に立ち向かって行きたいと願っております。


かはほりあふぎを始めとする京扇子需要喚起プロジェクトの目的の一つは、
正に◆◆◆さんの様な、若くて実力をお持ちで扇子産業の未来について深く考え、本気で課題に取り組まれる方と出逢い、対話し、新しいコンセプトやヴィジョンを共に創って協働させて頂くことでした。

 

かはほりあふぎの過去の記事でもこのように書かせて頂いておりました。

 

『伝統文化の継承に理解があり、新しい顧客や市場を創れる若者たちが、
この京都に乗り込んで扇子をはじめ伝統産業の活性化に参画したいと思ってもらえる空気を創っていきたい、そう願っています。』

 

まさか、こんなに早くヴィジョンが現実のものになりつつあるなんて、想像すら及びませんでした。◆◆◆さんの勇気あるご決断が、そしてこれからのご活躍が、きっと誰かの心を動かして、今の流れを変えていくと確信します。
ぜひ、その瞬間を見せて頂きたいと願っております。

仰るように、環境意識の高まり、クールジャパン、インバウンド消費など、
機は熟しつつあります。タイミングとしてはベストです!

是非、近い将来、◆◆◆さんのヴィジョンをお聞かせ下さい!

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その後、私はこの方と幾度もお会いしてお話を伺い、
彼女のヴィジョンを共有させていただくことになりました。

 

(エピローグ後篇につづきます)
 

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