プロジェクト終了のご報告
この度は、一般社団法人マナティー研究所のクラウドファンディングにご支援いただきまして、誠にありがとうございました。
今回のクラウドファンディングのプロジェクトの実施が終了しましたので報告いたします。
【プロジェクトの進捗状況について】
1. オッサ湖の外来種駆除
私たちは、 Salvinia Weevil(ゾウムシの仲間) を使った生物的防除に取り組みました。この昆虫は オオサンショウモのみを食べる 特性を持ち、すでにアメリカやアフリカ各国(セネガル、ケニア、ナミビア、南アフリカ)でオオサンショウモの駆除に成功しています。
2019年からアメリカ・ルイジアナ州の農業センターと協力し、カメルーンにこの昆虫を輸入。IUCNやオランダの助成金事業 PBNFの支援を受け、オッサ湖への試験的導入を開始しました。
その結果、現在までに、オオサンショウモの覆う面積は 550.02ha(湖全体の14.26%) まで減少しました。 駆除率80%以上 という大きな成果を上げています。AMMCOの予測では、 あと2年ほどで根本的な駆除が完了 する見込みです。

写真1. 茶色に変色したのはオオサンショウモが枯死した部分(撮影 AMMCO)
2. 野生マナティーの確認
AMMCOは、毎月マナティーの生息数調査を実施しています。調査方法として、目視観察(水面に鼻を出して呼吸する様子の確認)と、水中録音装置による鳴き声や摂餌音の記録を行っています。
その結果、2023年の検出率は12%でしたが、2024年には30%に増加しました。さらに、野生マナティーの糞も確認されるようになり、マナティーたちがオッサ湖に戻りつつあると考えられます。
本調査は今後も継続していきます。
また、2025年度の新プロジェクトとして、 アフリカマナティーの衛星追跡調査を実施することになりました。野生のマナティーを捕獲し、尾びれに衛星追跡装置を装着して、長期間にわたる行動調査を行います。
これにより、これまで謎に包まれていたアフリカマナティーの生態が、少しずつ明らかになっていくことが期待されます。
写真2. オッサ湖での調査の様子(撮影 AMMCO)
3. 環境教育の教材開発
生きものと共存していくためには、環境教育が重要だと考えています。正しい情報を知り、生きものの魅力に触れることで、「今、自分にできることは何か?」を考えるきっかけになります。また、絶滅危惧種の問題には明確な正解がなく、個々の考え方が異なることも特徴です。
今回のクラウドファンディングでいただいたご支援は、生きものとの共存について考えるきっかけとなる環境教育教材の開発費として活用させていただきました。
教材は、日本でもカメルーンでも使えるよう工夫し、日本でおなじみの「間違い探し」形式のイラストを作成することにしました。テーマは アフリカマナティー、ジュゴン、ハンドウイルカ の3種類です。
これまでにラフ画が完成し、団体メンバーや知人のお子さんたちに間違い探しを体験してもらいました。その意見をフィードバックしながら、現在、イラストの最終調整を進めています。
可愛らしいイラストには、それぞれの生きものの特徴が詰め込まれており、楽しく学べる教材になると期待しています。完成は3月末を予定しており、私たちのワークショップなどで使用を開始する予定です。カメルーンのNGO団体 AMMCO にも順次共有していきます。
また、海牛類3種類についての分布ポスターを制作することを目指して、リアルなタッチでのイラスト化をすすめました。こちらはイラストが完成した状態です。今後は、世界地図に合わせて分布図のポスター化を目指して、すすめていきます。完成次第、カメルーンのNGO団体 AMMCO にも順次共有していきます。
【収支報告】
皆さまからご支援頂いた資金は、全額本プロジェクトのために使用させて頂きました。
広告宣伝費(デザイン、印刷、送料等)として13万円、リターン品(デザイン、印刷、送料等)として21万円、教材の制作費として20万円、人件費として20万円、人件費(カメルーン)として7.3万円、運営管理費として50万円、旅費交通費(国内)として22.3万円、旅費交通費(カメルーン)として40万円、消耗品費として3万円、合計184.6万円を支出しました。
【リターンについて】
現在全てのご支援者様にリターンの発送が完了しております。
今回のクラウドファンディング活動は一旦区切りとなりますが、本プロジェクトはこれからも継続していきます。アフリカマナティーの生息地回復や、彼らの生態解明に向けた調査など、私たちマナティー研究所は引き続き参加していきます。
今後とも変わらぬご支援と応援を、どうぞよろしくお願いいたします。





















