マナティープロジェクトの実施終了報告
【ご支援を頂きました皆様へ】
この度は、クラウドファンディング『マナティーと共存できる未来へ|アフリカマナティー保全プロジェクト』にご支援をいただき、誠にありがとうございました。
マナティーは知名度が低いので、無事に成立することができるかとても不安でしたが、皆様からの応援メッセージに励まされて、最後まで諦めずに情報を発信することができました。第一目標を成立し、ネクストゴールまで設定することができたのは、皆様の温かい応援のおかげです。
マナティーを大切におもってくださる皆様と繋がることができ、私たちもとても嬉しく思います。本当にありがとうございました。
【活動概要のご報告】
皆様からいただいたご支援は、主に2022年度の活動費として使用させていただきました。カメルーンのアフリカ海生ほ乳類保護団体(略してAMMCO)におけるアフリカマナティーの保全に向けた活動費用と、環境教育の教材を開発するための費用に使用させていただきました。
カメルーンのアフリカマナティーの生息地では、新たな問題が起きています。アフリカマナティーの多く生息している河川や湖で、外来種の浮草(Salvinia molesta)が繁茂してしまいました。浮草が湖の半分以上を埋め尽くしていて、マナティーの食べる植物を枯死させてしまったり、生息地利用を妨げています。AMMCOには、寄付金の一部を使用して、この外来種の浮草の駆除を進めてもらいました。
AMMCOはこれまでに、アフリカマナティーの生息密度が高いカメルーンのOssa湖を対象に、マナティー保全活動を進めていました。子供から大人までを対象に環境教育を定期的に実施して、マナティー保全への意識を高める努力を進めています。また、魚網へのマナティーの混獲が問題になっているため、マナティーの混獲を防ぐ漁法を漁師たちに伝えています。この結果、過去3年間で、マナティーの魚網への混獲による死亡数は0件となりました。また、マナティーの混獲で魚網が壊れてしまう件数も減少しつつあります。
しかし、外来種の浮草のために、せっかく保全活動が根づきつつあるOssa湖をマナティーが利用できなくなっています。そこで、AMMCOは浮草の駆除で生息地を回復することを目指しています。
浮草の繁茂によって、漁師たちも漁業をできなくなり、生活が困窮してしまいました。そこで、浮草を駆除した後、木炭化して、これを街に販売する活動をしています。漁師たちの生計のサポートにもなるため、多くの漁師たちの協力を得て、人力での浮草駆除を継続しています。2022年度には浮草を合計220トン駆除し、50kgのエコ木炭の製造を行うことができました。
そして、Ossa湖周辺地域での環境教育も継続しています。2022年度はCovid19の影響が収まってきたことから、寄付金の一部を使用して、対面でのワークショップやイベントを積極的に進めました。2022年度、学校での環境教育には合計1150名が参加し、屋外での実習には合計80名が参加しました。参加者を対象に意識調査を実施した結果、90%がマナティー保全に賛同するという、嬉しい結果となりました。
日本でも環境教育の実施を進めました。生物多様性の大切さをテーマにして、オンラインと対面の両方でワークショップやイベントを実施しました。2022年度には、合計574名の参加者に学びの機会を提供することができました。この参加者を対象に意識調査を実施した結果、98.7%が多様性の保全に同意しており、意識の高まりを感じることができました。
今回の教材開発では、身近なことからアクションを起こせる教材を作りたいと思いました。そこで、いま話題になっている海ごみ問題をテーマにして、普段のごみの出し方を考えてもらう教材を開発しました。こちらは、リターン「教材を一緒に開発する」の皆様といっしょにつくりました。また、ごみ問題について積極的に情報発信を行なっている、お笑い芸人マシンガンズの滝沢秀一氏の協力も得ることができました。
さらに、AMMCOと協力して、アフリカマナティーのリアルなCGを開発しました。実際にカメルーンの湖で収録した水中音、マナティーの鳴き声、餌植物を食べる音を使用して、ASMR動画にしました。アフリカマナティーのように濁った水質に暮らす生きものは観察が難しいので、水族館がない現地では、マナティーのことを見る機会がありません。この教材は日本だけでなく、カメルーンの学校や地域の教育にも活用してもらえると期待しています。これからyoutubeなどにアップして、誰でも閲覧できるようにする予定です。
また、2022年度にはマナティー研究所のHPを整備して、英語ページも作成しました。AMMCOと連携して、英語ページでの教材の配布や情報発信を進めていく予定です。
【皆様からの寄附金の使途について】
皆さまからご支援頂いた資金は、全額を本活動のために使用させて頂きました。
AMMCOのカメルーンでの活動費用として400,000円、旅費交通費に17,009円、イベント開催に223,066円、イベント講師の謝金を含む人件費として581,702円、教材開発に200,329円、HPの整備に154,273円、リターンに121,165円を使用させていただきました。
【今後も活動を進めていきます】
皆様からご支援いただいた結果、新しい活動を展開することができました。本当にありがとうございました。
2023年度、AMMCOは引き続き外来種の駆除に取り組み、今後3年間でマナティーの生息地の回復を目指しています。私たちも、現地を訪問して、アフリカマナティーの生態調査や現地での環境教育に協力していきたいと思っております。
これからもマナティーと共に生きていくために、私たちは希望を持って活動をすすめていきます。国内で開催するワークショップやイベントなど多数予定しております。ぜひ皆様のご参加をお待ちしております。どうぞよろしくお願い致します。