メッセージリレー第14回目は、広島県北の三次(みよし)を舞台に活動する「ほしはら山のがっこう」の浦田愛さんです。

 

「ほしはら山のがっこう」では、学校の裏山を活用した森のようちえん+焚き火カフェ、学校を飛び出して地域全体で学ぶサマーキャンプ、かけっこ教室に防災キャンプなどなど、、、地域の自然を活かし、地域の人たちが先生になって、まさに「みらいのこども舎」の目指す活動をされています。

 

その優しい笑顔と長年の地域での活動の中で培われてきた哲学は私たちの憧れです!これからも沢山のことを学ばせて頂きます!

 

それでは、愛さんからのメッセージ、是非ご覧下さい◎

 

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暮らしとつながった自然、自然とつながった暮らしを体験する

「ほしはら山のがっこう」は、廃校となった木造校舎を活用して、地域の方々とNPO法人で運営している都市農村交流宿泊施設です。広島県三次(みよし)市の「川西地域」と呼ばれる小学校区のなかの上田町にあります。標高は450メートルで、秋になると三次市には朝霧がたちこめるけれど、ここは霧の上。町内の岡田山山頂からは霧の海が望めます。
 

 

「ほしはら」という言葉は、満天の星が見える原っぱのこと。この地域には街灯がなく、まちの灯りからも遠いので、月のない夜は本当に闇のように真っ暗。「ないからこそある」象徴としての言葉です。 約100戸の小さな町。自然と共に今なお暮らし続けている地域。「自然とつながった暮らし」を送っている方々の智恵や技術、地域文化や人々のつながり、また「暮らしとつながった自然」から学ぶ「ふるさと自然体験塾」を私は担当しています。

 

 

私はこの地域に大学卒業と同時に1〜2年くらい山村留学をしてみるつもりで気軽に暮らしはじめました。家は、アルバイト就職した農園の社長宅の離れ。ある日、社長の「奥さん」から、畑の大根を取ってくるように頼まれました。実はそのとき、私は大根を見つけることができなかったんです。畑の土の上にそれまで1度も入ったことがなく、どこを歩いていいのか分からない。やってはいけないことをしてしまうのではないかと不安で、畑に入ることが出来なかった。今思っても悲しいマニュアル人間だったのでした。仕方なく「大根ありませんでした」と家に戻ると、奥さんは「あるわよ、わたしが植えたんだからあるわよ」と言いながら、畑に付いてきてくださいました。「ほらいっぱいあるでしょ」と言われた私は、初めて畑の大根を目の前にして、感動し、「スコップはどこですか?」と尋ねました。赤面するような思い出です。「大学を卒業しても、大根一本抜けないようじゃね。」と言われたシーンは今でも忘れられません。 暮らしとつながった自然、自然とつながった暮らしの体験が、今、子どもたちに欠けているのだと思います。    

 

 

心は「ふるさと」を知っている

自然と関わりの深い暮らしが感じられる「ふるさと」。初めて来たのになぜか懐かしい「ふるさと」。私たちの心は、「ふるさと」を知っているんだなあと不思議に思うことがあります。 私は「ふるさと」という場は、自然体験教育の場として多様な可能性に満ちていると確信しています。向島にも「ふるさと」が今なお残っています。そして子どもたちや親子と、暮らしとつながる自然を、感性から学べる場づくりに取り組みたいという想いに私はとても共感しています。

 

子どもの暮らしは遊びです。子どもたちの遊びの世界に自然を。そのことを伝えている詩があります。「子どもの生まれながらの権利」という詩です。この詩は、1964年米国教育協会議事録に記録されていて、ヘンリー・ターナー・ベイリーという教育者が詠んだそうです。

 

「すべての子は泥んこになって遊び 小川の水をはねかえし 小鳥の歌う神の称える歌を聞く喜びをしらなければならない」から始まる長い詩。

 

この詩のおわりに描かれた「若い頃に、自然の世界と祝福された生活を楽しんだことのない者は、自然、小説、歴史、絵、それから音楽ですら、すみずみまで理解し、そのよさを味わうことはできないのである」という言葉を、子どもの教育に関わる方々とわたしは分かち合いたいと思っています。 たとえば春がようやく訪れた森で「春がきた」の♪山にきた里にきた野にもきた♬、「どこかで春が」の♪どこかで水が流れ出す、どこかで芽の出る音がする♬を子どもたちといっしょに歌いたいです。大人になったとき、自然の世界とつながった体験をいっぱい重ね、全身を通した野山の思い出が、歌詞を通して今ここにいつでも蘇り、きっと豊かに味わえる。

 

 

今、月1回の森のようちえんの日に、私は歌の担当をしています。歌と実体験が結びついていきます。豊かな時間だなぁって思います。こうやって、私たちは自然と共に生きる感性を持った人々の輪を広げていけたらいいなぁって思うんです。それはきっと、これからの持続可能な環境づくりや社会づくりにつながると信じています。田んぼの泥の感触が足先の記憶に呼び起こされるような人が、社会人や政治家として、また選挙で一票を投じる人として、そしてお金という一票を日々の生活で投票する人として、社会を構成していけば、希望ある未来がつながっていくと思うんです。  

 

自然から学ぶこと、子どもから学ぶこと、地域のひとりひとりから学ぶことのできる場が、向島ではじまります。こんなにワクワクすることってあるでしょうか。

 

 

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