お早うございます。松竹大谷図書館の武藤です。

 

お陰様で、昨日目標額を達成して以来、お祝いや、喜びのメッセージを沢山頂戴しまして、スタッフ一同、心より感謝申し上げます!締め切りまでの残り3日間、今回のプロジェクトのことを、より多くの皆様に知って頂くため、さらに発信し続けたいと思っております。引き続き最後まで頑張りますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

 

さて、1万円以上ご支援下さった方には、スタッフ手作りの、台本を保護するカバーにお名前を記載するというリターン(お礼)をご用意していますが、映画の台本のリストは次の3種があります。

 

【映画台本】 作品リスト (50作品)

【『釣りバカ日誌』台本】作品リスト (22作品)

【寅さん台本】 作品リスト (48作品)

 

【歌舞伎・新派台本】作品リストについては以下をご覧ください。

【歌舞伎・新派台本】作品リスト (100作品)

※台本カバーの作り方については、こちらをご覧ください。
「年間1,500冊以上」を整理!台本を保護するカバーの作り方動画

 

今回も、【映画台本】 作品リストより、脚本家の橋本忍さんの作品をご紹介します。

 

以前の新着情報「お礼の文庫本カバーのご紹介『妹背山婦女庭訓』『張込み』」でも触れましたが、日本映画界を代表する脚本家である橋本忍さんは、本年7月19日に100歳で逝去されました。

 

1918年4月兵庫に生まれた橋本忍さんは、国鉄に勤務後、1938年に応召されますが結核のため永久服役免除となり、療養中に映画雑誌『日本映画』でシナリオを読んだことから脚本家を志し、伊丹万作監督に師事します。伊丹監督の死後、芥川龍之介の短編「藪の中」を題材にした脚本『雌雄』が黒澤明監督の目に留まり、この脚本に同じく芥川の「羅生門」の要素を取り入れて黒澤監督と共同執筆した映画『羅生門』が1950年に公開されました。この作品は、第12回ヴェネツィア国際映画祭で日本映画初の金獅子賞を受賞するという快挙を成し遂げ、橋本忍さんは脚本家として華々しいデビューを飾りました。

 

以来、黒澤明監督との共同執筆で『七人の侍』などの名作を世に送り出し、松本清張原作のサスペンス映画を手がけ、自ら設立した橋本プロダクションで『砂の器』『八甲田山』などの名作を発表するなど、まさに昭和の日本映画の黄金期を支えた脚本家です。

上の写真は、リストにある全ての台本です。

 

写真左上より (※番号は台本作品リストの番号です)

 

94 『勲章』 1954年/渋谷実(監督・脚本)、橋本忍・内村直也(脚本)

俳優座製作の映画。戦後、元陸軍中将の男がかつて部下だった男から日本の再軍備を促す会の会長になってほしいと頼まれ、引き受けたことから悲劇が起こる

 

95 『生きとし生けるもの』 1955年/西河克己(監督)、橋本忍(脚本)

山本有三の小説を橋本忍が脚色。鉱業会社に勤めるサラリーマンとその弟、会社の社長と息子、その秘書など、様々な人間模様が交錯する作品

 

96 『真昼の暗黒』 1956年/今井正(監督)、橋本忍(脚本)

弁護士正木ひろしが著した「裁判官 -人の命は権力で奪えるものか」を橋本忍が脚色。実際の冤罪事件を基にした社会派映画。製作当時、裁判が継続中だった

 

97 『張込み』 1958年/野村芳太郎(監督)、橋本忍(脚本)

松本清張の小説の映画化。この作品を含め、橋本忍は清張作品の脚本を6作手がけた。かつての恋人のもとに現れるかもしれない容疑者を逮捕するため張込みをする2人の刑事の姿を描いたサスペンス映画

 

98 『夜の鼓』 1958年/今井正(監督)、橋本忍・新藤兼人(脚本)

近松門左衛門の『堀川波の鼓』の映画化。参勤交代で1年2ヶ月ぶりに国許に戻ってきた侍が、妻と鼓師の不義密通の噂を知り、妻への愛と武家社会のしきたりの狭間で苦悩する文芸大作

 

99 『私は貝になりたい』 1959年/橋本忍(監督・脚本)

橋本忍の監督デビュー作。前年に放送された橋本忍による脚本のTVドラマの映画化。戦時中、上司の命令により捕虜の米兵を刺し殺した1人の床屋が、BC級戦犯として逮捕され絞首刑となるまでの悲劇を描いた作品

 

100 『いろはにほへと』 1960年/中村登(監督)、橋本忍・国弘威雄(脚本)

前年に芸術祭文部大臣賞を受賞した橋本忍脚本のTVドラマの映画化。1953年に実際に起きた保全経済会事件をモデルに、高い配当金で出資を集める会社とその不正を暴こうとする刑事の物語

 

101 『ゼロの焦点』 1961年/野村芳太郎(監督)、橋本忍・山田洋次(脚本)

松本清張のベストセラーの映画化。橋本忍と山田洋次が初めて脚本を共同執筆した作品。金沢で失踪した夫を探す新婚の妻が、真相を探るうちに夫の隠された過去を知ることとなるサスペンス映画

 

102 『切腹』 1962年/小林正樹(監督)、橋本忍(脚本)

滝口康彦の『異聞浪人記』を橋本忍が脚色した時代劇。井伊家上屋敷に「切腹したい」と願い出た浪人の口から、ある悲劇が語られる。1963年にカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞

 

103 『霧の旗』 1965年/山田洋次(監督)、橋本忍(脚本)

松本清張原作で山田洋次が監督したミステリー映画。殺人事件に巻き込まれた兄の弁護を断った弁護士への復讐に燃えるヒロインを倍賞千恵子が熱演

 

104 『白い巨塔』 1966年/山本薩夫(監督)、橋本忍(脚本)

山崎豊子の同名小説の映画化で、大学病院を舞台に、権力闘争、医療訴訟などの医学界の闇を描いた社会派映画

 

105 『上意討ち 拝領妻始末』 1967年/小林正樹(監督)、橋本忍(脚本)

会津松平藩を舞台に、封建的な武家社会の掟に翻弄され、ついには藩主に刃を向けることとなる1人の藩士の姿を描いた時代劇

 

106 『日本のいちばん長い日』 1967年/岡本喜八(監督)、橋本忍(脚本)

昭和20年8月15日の終戦の日をめぐるドラマ。ポツダム宣言、御前会議、抗戦を主張する陸軍将校たち、そして玉音放送までの動きなど、歴史の転換期となった波乱の日が描かれている

 

107 『砂の器』 1974年/野村芳太郎(監督)、橋本忍・山田洋次(脚本)

前年に橋本忍は橋本プロダクションを設立、この作品が第1作となる。ある難解な殺人事件の捜査線上に浮かび上がった1人の天才音楽家の暗い過去と、事件を追う2人の刑事の執念が、綿密に構成された脚本によって描かれた傑作

 

108 『八つ墓村』 1977年/野村芳太郎(監督)、橋本忍(脚本)

横溝正史の小説の映画化。戦国時代に尼子の落ち武者8人が謀殺された村で起こる凄惨な殺人事件を描いたミステリー映画。渥美清が金田一耕助を演じた

 

もちろん、当館ではリストの作品のほかにも橋本忍さんによる脚本の台本を所蔵しております。下記資料検索システムで、作品タイトル、脚本家、監督名などで検索してみてください。

https://opac315.libraryexpert.net/lib-shochiku-otani/

 

また、当館は橋本忍さんの単行本も所蔵しています。

左の『橋本忍 人とシナリオ』は、1994年にシナリオ作家協会より刊行されました。巻頭に橋本忍さんが執筆したエッセイ「自分という人」が60ページにわたり掲載されており、生い立ちから脚本家を志した理由などが詳細に著されています。シナリオは『真昼の暗黒』『切腹』『砂の器』の他に、未発表作『鉄砲とキリスト』を収録、新藤兼人監督や山田洋次監督など、橋本忍さんと親交のあった映画人たちのエッセイやインタビューも掲載されています。

 

右の『複眼の映像 私と黒澤明』は、2006年に文藝春秋より刊行されました。橋本忍さんの自伝であり、黒澤明監督を含めた複数の脚本家による共同執筆について克明に著された書でもあります。決定稿を書く際、全員が同じシーンを同時に書く、といった執筆方法など様々な逸話が書かれており、『羅生門』『生きる』『七人の侍』などの名作がどのようにして作られていったか、深く知ることのできる図書です。

 

台本も単行本も、当館の閲覧室でお読みいただけますので、ご興味をお持ちの方は、カウンターでご請求ください。

 

 

また、現在発売中の雑誌『月刊シナリオ』の最新刊2018年11月号は、「追悼 橋本忍」と題して特集が組まれており、橋本忍さんが表紙となっております。是非書店でお手に取ってみてくださいませ。

 

なお、橋本忍さんのふるさとである兵庫県市川町の文化センター内には「橋本忍記念館」があります。橋本忍さんから寄託された膨大な資料を中心に、台本やトロフィーなどが展示されており、また、館内に設置されているパソコンのデータベースで全作品の情報を見ることができます。

 

 

次回の台本リストのご紹介は、毎年恒例キネマ旬報ベストテンの作品です。

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