
歌舞伎ブロマイドデジタルアーカイブプロジェクト レポート3
お早うございます。松竹大谷図書館の武藤祥子です。
現在、当館の【歌舞伎ブロマイド】12000枚は、皆さまのご支援により、立命館大学アート・リサーチセンターにおいて、デジタルアーカイブ化を着々と進めて頂いております。今回の【歌舞伎ブロマイド】のような演劇写真をデジタル撮影する際には、どんな【画像処理】の作業が必要なのでしょうか?
立命館大学アート・リサーチセンターでのデジタル撮影については、立命館大学アート・リサーチセンターの赤間亮先生にご相談して、進めて頂いております。レポート1、レポート2に続いて、赤間先生の研究室の戸塚史織さんに、【画像処理】のレポートを頂きましたので、ぜひご覧ください!
------------------------------------------------------------------------
皆さんこんにちは。立命館大学アート・リサーチセンター赤間研究室の戸塚史織です。今回も【歌舞伎ブロマイド】デジタルアーカイブプロジェクトについてレポートさせていただきます。
前回は【確認作業】についてレポートしました。資料のデジタルアーカイブは、撮影すればすぐに資料画像ができあがる、というわけではありませんでした。客観的な情報が担保された資料画像にするために、ブレや折れ、汚れなどの不備がないか、詳密な点検を行っていることがおわかりいただけたと思います。
さて、約12000枚の歌舞伎ブロマイドの撮影が終に終了致しました!現在行われているのは【画像処理】の作業です。例えば、画像の余白を整える作業があります。
▲画像処理を行う様子
アート・リサーチセンターでは、撮影の時点で余計なものが写らないように、また真っ直ぐな画像になるように調整しながら撮影を行っています。しかしそれでも余白は生じてしまいます。特にアルバムの形になっている資料はその余白が大きく、書き込まれた文字などの余計な情報まで含み込まれてしまうこともあります。
そこで行うのが画像の余白を整える作業です。資料画像の不要箇所を切り取ることで余計な情報が取り除かれ、資料としてのブロマイドが持つ情報を鮮明にすることができます。またこのような画像処理を行っておくことで、利活用が容易になるという利点もあります。画像処理が行われていなければ、資料を活用する際に逐一画像処理を行う必要があり、その度に甚大な労力を費やすことになります。事前に画像処理を行っておくことは、利活用の促進にも繋がるのです。加えて、余分な部分を切り取ることで画像の容量を小さく出来るという利点もあります。
歌舞伎ブロマイドは一つ一つの資料の大きさが微妙に違っています。効率的な作業のため、ある程度のトリミング枠は機械的に設定しますが、最後の微調整には人間の目が欠かせません。一枚一枚、画像を確認しながら微調整を行います。
▲細かな調整をしながらトリミングを行う
その場限りの資料画像が必要なのであれば、写真を撮ってそれで終わり、でいいかもしれません。しかし私達がこのデジタルアーカイブで目指しているのは、データを蓄積・更新し、現在はもちろん将来でも情報の共有・活用ができるようにすることです。それを実現するためには、資料画像を長く活用できるようにする作業が必要になります。そのような点で、このような地道な画像処理も重要な意味を持ってくるのです。
このような画像処理が終わると、いよいよ資料画像がデータベースに登録されていきます。アート・リサーチセンターでは、資料を整理してからデータベースに登録するのではなく、データベースに登録してから整理を行います。アート・リサーチセンターには他にも歌舞伎に関する複数の専門データベースがあり、それらと連繋しながら整理・考証作業をおこなうことで能率良く迅速な作業を行うことが出来るからです。この段階でも、アート・リサーチセンターならではの専門性がふんだんに活かされることになります。
またデータベースに登録されると、Web上でも簡単に歌舞伎ブロマイド画像が閲覧できるようになります。そうすれば、ブロマイドに記録される歌舞伎の舞台や名優たちの扮装・型が歌舞伎製作の現場や演劇の研究者にも活用されていくことでしょう。
歌舞伎ブロマイドのデジタルアーカイブプロジェクトのレポートは以上になります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!
------------------------------------------------------------------------
戸塚さんの過去のレポート記事はこちら
▼歌舞伎ブロマイドデジタルアーカイブプロジェクト レポート1
https://readyfor.jp/projects/ootanitoshokan8/announcements/145204
▼歌舞伎ブロマイドデジタルアーカイブプロジェクト レポート2
https://readyfor.jp/projects/ootanitoshokan8/announcements/146364
------------------------------------------------------------------------
ご報告頂いたように、デジタルアーカイブを構築するためには、写真の処理に関する非常に細かな作業が必要な事が分かりますね!普段何気なく利用している写真データベースですが、大きさや角度が統一されている画像を、当たり前のように使っています。しかし、実際の写真資料は、紙に対して若干曲がって焼き付けられていたり、余白の大きさが四辺でそれぞれ異なっていたり、紙の大きさも微妙に違っていたりと、様々です。その様々な状態を一枚ずつ確認し、丁寧に画像処理して下さっているからこそ、画面上での衣裳の柄などの細かい考証が可能になりますし、将来研究などに利用する場合も、データベースの写真を、そのまま活用できるわけですね。
書誌入力のための考証などもWeb上で行う事で、作業効率があがる事もよく分かりました。類似写真の比較や、複数人数での考証作業も、Web上のデータベースであれば、容易に行えるのですね。
以上のように、将来の演劇写真の研究や利活用に役立てるのに最適な写真をご用意頂いておりますので、ご安心下さい。作業を進めて下さっている、立命館ARCの赤間先生、戸塚さん、そして前川さんはじめスタッフの皆様には、心より感謝申し上げます。
以上のように、現在、立命館ARCでは、【歌舞伎ブロマイド】の画像処理作業を進めて頂いておりますが、画像処理が終わり、データベースへの登録が終わると、次はいよいよ書誌入力作業に入ります。この先は、しばらくお時間が掛かりますが、引き続き『歌舞伎ブロマイド』のデジタルアーカイブの構築作業を、ぜひお見守り下さい!
============================================================================
本年も9月8日(火)より、当館運営費及び、戦前の歌舞伎座の【絵本番付】と【筋書】のデジタル化と保存を目的とした「【第9弾】演劇史を紐解く、歌舞伎座の絵本番付と筋書を後世へ。」プロジェクトを実行しております。
第9弾も、当館の活動をいつも応援してくださる皆様にご支援いただけましたら幸いです。
===========================================
【第9弾】演劇史を紐解く、歌舞伎座の絵本番付と筋書を後世へ。
https://readyfor.jp/projects/ootanitoshokan9
■募集期間:令和2年9月8日(火)~10月28日(水)【50日間】
===========================================
リターン
3,000円
活動報告+サンクスメール+HPにお名前掲載
■サンクスメール
■4月末に報告メール
■松竹大谷図書館HPに名前を掲載
※ご了承いただいた方のみ掲載いたします
- 支援者
- 57人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2020年4月
5,000円

松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー(2種類1組セット)
3,000円のリターンに加え、
■松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー(2種類1組セット)
当プロジェクト限定 歌舞伎台本『曽我綉侠御所染』と、映画台本『男はつらいよ』第一作の表紙デザイン!
※デザインは全て一緒です
- 支援者
- 57人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2020年4月
10,000円

オリジナル文庫本カバー+台本カバーに名入れ
5,000円のリターンに加え、
■台本カバーに支援者様のお名前をお入れします
※【歌舞伎・新派台本】【映画台本】【寅さん台本】の3つの作品リストより、ご希望の作品の「台本番号」と「タイトル」を応援コメントにお書き下さい
※作品リストはプロジェクト本文「リターンについて」の台本カバーの説明部分にリンクがあります
※今すぐ決まらない方は、プロジェクト達成後にもご希望をお伺いいたします
- 支援者
- 108人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2020年4月
30,000円

オリジナル文庫本カバー(3種)+台本カバーにお名入れ
10,000円のリターンに加え、
■組上燈籠絵『富士之牧狩』のオリジナル文庫本カバー
- 支援者
- 15人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2020年4月
50,000円

松竹大谷図書館見学会(歌舞伎記録映像上映付き)+オリジナル文庫本カバー(3種)+台本カバーにお名入れ
30,000円のリターンに加え、
■松竹大谷図書館見学会にご招待
【2019年11月28日(木)開催 午前(15人)/午後(15人)】
「午前」「午後」のご希望を応援コメントにお書き下さい
※今すぐ決まらない方は、プロジェクト達成後にもご希望をお伺いいたします
※11月28日に見学会に参加出来ない方には予約制で、松竹大谷図書館の書庫を1時間ご案内するガイドツアーへの招待券をお送りします
有効期限:2019年12月~2020年7月の平日
(開館日及び整理休館中)
- 支援者
- 15人
- 在庫数
- 13
- 発送完了予定月
- 2020年4月