「大槌未来の記憶」プロジェクトご支援の御礼とご報告
この度は、私たちのプロジェクトへの温かいご支援、誠にありがとうございました。
おかげさまで、大槌未来の記憶プロジェクトによる展示および関連イベントは10月9日(日)をもちまして無事に終了することができましたことをご報告させていただきます。
2011年3月11日に起こった東日本大震災において甚大な被害を受けた岩手県上閉伊郡大槌町。津波により家族や大切な方々を亡くされ、住んでいた家や愛する町並みが奪われただけでなく、写真に象徴される「思い出」までも奪われたこの町で、写真を通じて再び町の「思い出」を取り戻すことはできないか?という想いがこのプロジェクトの出発点でした。
今回のプロジェクトでは、アレハンドロ・チャスキエルベルグが2012年から2014年にかけて撮影した「Otsuchi Futumre Memories」のシリーズから28点。さらに、新たに今回の展示に合わせて撮影された地元写真愛好家による町民ポートレイト約100点。また地元の中学生が写ルンですを使い撮影された日常のスナップ約100点の、計約230点を展示致しました。
今回の展示において私たちが大切にしたこと。それは、町の人たちとのコラボレーション企画であることです。例えば、地元写真愛好家による町民ポートレイト撮影企画では、仮設住宅に住む高齢者の方を対象に、メイクを施し撮影をするワークショップを行いました。ワークショップ後には、100名を超える町の人たちのポートレイト写真がこのプロジェクトを通じて撮影され、大槌に生まれた新たな「繋がり」が視覚化されたものになりました。
地元の中学生たちが撮影してくれた写真も、今回の展示において大きな役割を担っています。町の中心部が津波により失われ、未だ盛土が終わっていない大槌町では、町中を歩く人たちを見ることはほとんどありません。それは、町から子供たちの姿が消えたことも意味しています。今回、2つの中学校の生徒に彼/彼女たちの日常を撮影してもらうことで、この町で見えなくなっていた「未来の大槌を担う子どもたちが見ている日常」を浮かびあがらせました。それらを展示することで、「見る」という行為を通じて町と子供たちを再び繋げることができたように思います。
また、展示の設計においては、地元の主産業の一つである林業 - 大槌で育った樹齢の異なる杉材- を取り入れ、様々な形、サイズ、役割をもって採用した木組みの構造体を作りました。そこには、それぞれの立場、年齢、役割を通じて、町を支えている大槌の人々の姿が表現されており、その構造体の上に、上述の写真が展示されることによって、「時間の繋がり」そして「人と人の繋がり」という目には見えないけれども確かに存在するものを視覚化致しました。この、「過去、現在、未来へとつながる時間と人の繋がり」を写真によって立ち上がらせることが、今回のプロジェクトの意義だったように今、感じています。
プロジェクトのリターンにつきましては、ポストカードの印刷、スペインの出版社から写真集の輸入、プリントの制作が終わり、すべてにアレハンドロ・チャスキエルベルグの直筆のサインとお礼のメッセージの書き込みが終わりました。また現在、発送に向けて梱包の作業をしておりまして、10月末までにはすべての皆さまにリターンをお送りできる予定です。今しばし、お待ちいただけますと幸いです。
末筆になりますが、このプロジェクトをご支援いただきました皆様との「繋がり」に心より感謝申し上げます。
Aritist: Alejandro Chaskielberg
Directior / Curatior : Ihiro Hayami
Workshop Directior : Mayumi Suzuki
Exhibition Designer / Architect : Masatoshi Hirai
Hair and Make up (for workshop): Yuka Saito
Team Otsuchi
Takemi Kitada, Takanobu Mori, Kazuhiko Chikaoka, Kanae Kamaishi, Takako Okamoto, Hana Ozawa、Mamoru Tobai, Tomohiro Abe, Mami Ishibashi, Misuzu Kamaishi, Midori Ueno, Mariko Ogawa, Natsumi Saito, Akira Nakamura, Yukie Shozushima, Aiko Onihara, Kanari Kemuyama