瀬戸内法50年プロジェクト終了の報告
【クラウドファンディングへのご協力のお礼】
環瀬戸内海会議は,「瀬戸内法50年プロジェクト」を進めるために,2023年3月15日に130万円を目標にクラウドファンディングの募集を始めました。4月20日に目標に到達したため,計画を拡充し,160万円のネクストゴールを設定して募集を継続しました。最終的には,5月13日の締め切りまでに,のべ193名の方から,1,728,000円のご寄付をいただきました。心より感謝申し上げます。環境問題への皆さんの関心の高さと,このプロジェクトへの期待の強さを痛感しました。常にそのことを思い出し,今日まで活動に取り組むことができました。
【プロジェクトの実施状況】
環瀬戸内海会議は,瀬戸内法(瀬戸内海環境保全特別措置法)施行から50年のメモリアルな年である2023年を,瀬戸内海の環境保全について包括的に振り返る年にすべく,「瀬戸内法50年プロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトでは,この50年の変化を,統計資料や海岸調査によって分析するだけでなく,漁業関係者から生の声を聞き取ることにより,瀬戸内海の実態をリアルにとらえること,瀬戸内海の環境を守る活動を次の世代に継承していくために,市民や若者との出会いの場をつくることをめざしました。。
① 瀬戸内海の水産・海洋生物と環境の変化に関する調査
生物多様性の観点から,この50年間の瀬戸内海の環境の変化と魚種の変化等について,瀬戸内海沿岸地域の漁協を対象に調査を行いました。2022年11月~12月に実施したアンケート調査では,約120の漁協から回答があり,魚種や海の環境の変化が海域ごとに異なることが明らかになりました。また,2023年4月~7月にかけて,アンケート調査に回答のあった漁協の中から,「瀬戸内海」(1972年)に調査結果があり,スナメリクジラなど希少種が目撃されており,定置網漁法を行っている漁協を選定し聞き取り調査を行いました。その報告書を10月1日に刊行しました。
②瀬戸内法施行50年シンポジウム
★「豊島シンポ:瀬戸内法50年シンポジウム Part1」2023年7月1日・2日
産業廃棄物の撤去から数十年を経ても今なお復元の途上にある豊島は,環瀬戸内海会議が「未来の森 立ち木トラスト運動」を行った場所でもあり,この地で瀬戸内法50年記念シンポジウム第一部を開催し,瀬戸内海の50年の変化と未来について参加者とともに考えました。シンポジウムの前日には,こころの資料館で不法投棄の実情について学び,北海岸で生物観察を行いました。
・基調講演:山田國廣さん「汚染調査団から50年をふりかえり,これからの瀬戸内海を考える」
・豊島からの報告:石井亨さん「豊島事件と瀬戸内海」
・提言:湯浅一郎さん「瀬戸内法50年と同時進行の『生物多様性の国際取組』を活かそう」
★「神戸シンポ:瀬戸内海の50年をふり返り,これからを考える」2023年10月1日
漁業者へのアンケートと聞き取り調査から見えてきたこど,瀬戸内海沿岸の自治体へのアンケート調査から,瀬戸内法に関する環境行政を振り返りました。そして,瀬戸内法50年間を総括し,環境保全のための今日的課題を明らかにしたうえで将来に向けた提言案を示しました。
・基調講演:鷲尾圭史司さん「水産の立場から瀬戸内海の現在と未来を考える」
・瀬戸内法50年プロジェクト報告:青野篤子:漁協調査/末田一秀さん:自治体調査
・パネル討論「未来への提言」
鷲尾圭司さん・西井弥生さん・安藤眞一さん・湯浅一郎さん
【収支報告】
★収入 1,404,864円(READYFORより)
★支出
ⅰ)漁協への聞き取り調査費用 37万円,ⅱ)調査報告書 編集・デザイン 20万円,ⅲ)調査報告書 印刷費 50万円,ⅲ)シンポジウム開催費 40万円,ⅳ)環境学習ツアー 10万円
※不足分は環瀬戸内海会議で支弁しました。
【リターンの発送状況】
10000円コース:調査報告書冊子版/5000円コース:調査報告書CD版/3000円コース:調査報告書PDF版を,希望された方に送付させていただきました。
【今後の活動】
READYFORのご支援によるプロジェクトはこれで一区切りとさせていただきます。しかし,瀬戸内法50年プロジェクトはもうしばらく継続します。
ⅰ)「未来への提言」をとりまとめ,国や地方自治体に要望を申し入れ,社会に向けて発信を行います。
ⅱ)瀬戸内法50年プロジェクトの全体のまとめを書籍として出版する予定です。
※今後の活動についても,引き続きREADYFORの「活動報告」で告知・呼びかけを行います。今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。