【ご支援くださった皆様・応援くださった皆様へ】
2019年3月5日〜10日までの6日間、公益財団法人せたがや文化財団 世田谷美術館 区民ギャラリーAにて、「東日本大震災を忘れない―3.11から8年、世田谷から考える―天野寛子フリー刺繡画展&『みんなのたからもの』ししゅう高田松原タペストリー展」を開催いたしました。
フリー刺繍画家・天野寛子の作品43点と、国内外から集まった陸前高田の松原をモチーフとする刺繍741点を繋いだ32枚のタペストリーの展示を行いました。
皆さまからのたくさんの温かいご支援をいただきましたおかげで、私どもが初めて挑戦したクラウドファンディングは目標金額に達成し、「世田谷展」を盛会に終えることができました。実行委員会一同心より深く感謝申し上げます。ご支援いただき誠にありがとうございました。
私たちはこれまで実際に東日本大震災の被災地を訪問したことがなく、展覧会開催前に一度自分たちの目で見たいと思い、2019年1月4日~6日に、岩手県陸前高田市と大船渡市を訪問しました。震災後8年が経ち、復興・復旧がされているのではないかと思って訪問しましたが、年月が経過した今もかさ上げ工事が終了しておらず、建物が未だ少ない状態は想像していたものとは全く違いとても衝撃を受けました。現代では地球の裏側の出来事も様々なメディアを通して知ることはできますが、実際に足を運ばなければわからないことはたくさんあるのだということを実感しました。
陸前高田市では、戸羽太市長にインタビューをさせていただきました。市長は「奇跡の一本松」のシンボルとしての意義、陸前高田市の防災の取り組み方と他の被災地との違い、過疎化の進む被災地の将来展望などについて丁寧に答えてくださいました。
市長の「いつまでも<支援する側>と<支援を受ける側>という関係ではなく、学んだことを生かし被害を防いでほしい」という言葉が印象的でした。単なる<被災地>という見方ではなく、自分事として捉える重要性を感じ、災害に対する意識が変わりました。
語り部ガイドの方には、色とりどりの千羽鶴がたくさん供えられている東日本大震災追悼施設や震災前の街の様子、震災の状況が展示されている陸前高田復興まちづくり情報館を案内していただきました。予想以上の津波の高さ、速さに言葉を失いました。さらに、大船渡津波伝承館を訪問し、被害及び復興状況を伺うとともに、「正常性バイアス」という言葉を知り、防災の取り組みについて考える機会を得ました。また、気仙大工左官伝承館に展示されている高田松原タペストリーの実物も初めて見ることができました。仮設住宅モビリアを見学するとともに河原地区災害復興住宅、高齢者デイケアセンターを訪問し、居住者や利用者の方々とお話しました。私たちの突然の訪問に大変喜んでくださり、「また来てね」と声をかけていただきました。災害を自分事として考えなければならないことを強く感じました。
6日間にわたる世田谷展観覧者数は、3/5日64名、3/6日122名、3/7日85名、3/8日136 名、3/9日315名、3/10日176名、計898名でした。加えて3/9日には、世田谷美術館内講堂にて、トークサロン及びチャリティコンサートを開催し、各々167名、120名の参加者を得て、盛会のうちに終えることができました。トークサロンでは多くの来場者の前で20分間の訪問報告をし、とても緊張しましたが、伝える側となり、学んだこと・感じたことを自分たちの言葉で多くの方々に発信できたことは、良い経験になりました。私たちはいままで大人の方々に教えてもらう立場であることがほとんどでしたが、この「世田谷展」を通して、何かしらの想いを感じてくださる方がいることを嬉しく思います。
展覧会の様子は、朝日新聞(2019年3月6日朝刊、3月7日夕刊)、日本農業新聞(3月7日)等に掲載され、それを見て来場してくださる方もいらっしゃいましたし、また、エフエム世田谷の取材も受け、放送されました。
実行委員会メンバーとして加わった私たち昭和女子大学学生が、運営費、チャリティーコンサート開催費、陸前高田市へ取材費、報告書作成費等経費の資金調達を、クラウドファンディングを用いて初挑戦し、目標を大幅に超えた金額を達成することができました。このことによって、世の中には私たちの想いに共感してくださる方々がたくさんいらっしゃるのだということを実感することができ、感動しました。リターンは、お礼のメールや手紙、天野寛子刺繍画集・ポストカード、非常食にもなると考えてサバ缶お送りいたしました。
本展示会を通して災害が多発している昨今、防災・減災について「世田谷から考える」意義と重要性を再確認することができました。
本プロジェクトの実施内容、陸前高田市訪問での学び、トークサロン、チャリティコンサートの内容等をまとめた報告書を作成しました。
【収支報告】
皆さまからご支援頂いた資金873,000円は、会議費6,693円、通信費63,583円、研修費4,000円、旅費交通費217,420円、印刷経費85,639円、レンタカーレンタル等54,610円、
カメラマンによる撮影55,460円、コンサート経費(ピアノ調律・音響等)64,554円、消耗品15,174円、陸前高田市・大船渡市訪問時手土産代9,072円、クラウドファンディング手数料113,140円、振込み手数料2,916円、報告書作成費・リターン送料180,739円に使用させていただきました。ご支援に深く感謝申し上げます。
“東日本大震災”という大きなテーマに関わった以上、生半可な気持ちで取り組むわけにはいかず、一つ一つのことに対して深く考え、時間がかかりましたが、ご支援くださった皆さま、プロジェクトメンバーのほか、このプロジェクトをきっかけに出会った方々から多くのことを吸収することができました。特に、自分の考えを持ち、行動すること、言葉にすることの大切さを学び、展覧会を成功させられたことは大きな自信につながりました。私たちは、来年からは社会人となる予定です。プロジェクトを通して学んだことを大きな財産として今後最大限に活かしていきたいと思います。
ご支援いただきました皆様の益々のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
ありがとうございました。
令和元年10月6日
昭和女子大学人間社会学部現代教養学科
粕谷美砂子研究室